予告編だけ見て『超高速!参勤交代』を応援する、ぜひ長いコント映画であってほしい

映画・舞台・音楽

高橋秀樹[放送作家]

 
松竹制作、本木克英監督、土橋章宏脚本(城戸賞)、佐々木蔵之助主演のコメディ映画、『超高速!参勤交代』が6月21日公開された。僕はこの文章を本編を見ないで書いている。言いたいのはテレビや、ネットで流れている予告編のことだからだ。
予告編で見る限りこれは明らかなコメディである。しかし、予告編は同時に、日本人の大好きなウェルメイドでジーンとくるシーンのあるコメディではないという主張もしている。これが吉と出るのか凶と出るのか。予告編を見る限りではコメディというより、長いコントのような予感がしてしまうのである。
それが悪いと言っているのではない。
こういう長いコントのような映画が日本でもヒットして飛しいと願っているのである。
これまでの現実は厳しかった。『ケンタッキー・フライド・ムービー』スティーブ・マーチンの『サボテン・ブラザーズ』レスリー・ニールセンの『裸の銃(ガン)を持つ男』などの、いわば長いコント系のドライな作品は好事家が絶賛したものの、興業的に成功することはなかった。
かつて、日本人は長いコント映画にも拍手を送っていた。初期のチャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド、(僕は嫌いだが)マルクス・ブラザース。日本では斎藤寅次郎監督の一連の作品。
しかし、いつごろからか、こういった、ただただ笑いを取ろうとするものは受け付けられなくなった。
それは寂しいことだ、と思う。だから『超高速!参勤交代』にはヒットしてほしい。長いコントがヒットすれば長いコントでも映画にできる環境ができる。
だから『超高速!参勤交代』の本編を早めに見て、ぼくの好きな長いコントかどうかを確かめねばならないのである。
でも、見るのが怖い。昔味わった『ジャズ大名』の落胆は二度と味わいたくない。きちんと設定にはまったギャグが配置され、チャンと笑えて、感動に逃げたりしていないか。そうでないとしたら、メディアゴンに再び映画評を書くことはないだろう。
 
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