草の根民主主義が日本政治刷新の原動力 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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日本政治刷新を求めているのは日本の主権者である。その主権者である市民が積極的に行動し、「戦争と弱肉強食」の安倍政治に終止符を打ち、「平和と共生」の政治実現を願っている。

日本を「戦争をする国」に変質させ、原発を全面再稼働し、経済を市場原理=弱肉強食主義で運営する路線を突き進む安倍政治。この安倍政治にNOを突き付ける主権者、市民が多数存在する。その主権者である市民は既存の政党による政治刷新を実現させようと力を注いできた。

政治を刷新するには選挙を通じて、市民の意思に沿う政治勢力に過半数議席を付与することが必要だ。現在の選挙制度を踏まえると、そのためには、基本理念、基本政策を共有する野党勢力が共闘体制を確立して候補者の一本化を実現しなければならない。そのために主権者である市民が汗をかいてきた。

ところが、既存の野党勢力の一部政党が党利党略を優先して、野党共闘体制の確立に積極姿勢を示してこなかった。むしろ、野党共闘の確立を妨害するような行動を示してきたのである。

その結果として、2012年12月から5回実施されている国政選挙で、安倍政治を推進する安倍自公与党勢力が衆参両院の3分の2以上の議席を占有し続けている。その結果として「戦争と弱肉強食」の安倍政治が存続してしまっている。

事態を打開するには、「平和と共生」の政治実現を目指す主権者=市民が主導的役割を果たして行動することが必要なのではないか。既存の一部野党勢力は「草の根民主主義」の言葉を使いながら、実際には草の根の市民の声に耳を傾けずに、政党が市民の上に立っている感覚で、政党基軸の行動を示している。市民は政党に従属する存在、市民は政党の指示に従って行動する存在だと考えているようにしか見えない。

こうした現状を踏まえると、これまでの政党依存の市民運動から一歩脱却して、市民自身が、政治刷新運動の核心になり得る革新政党を創設したうえで、政治刷新運動を展開することを検討し始めるべきではないか。

いま、世界政治には新しい風が吹き始めている。それは「草の根民主主義」が政治を大きく変革するという風である。日本のマスメディアは「草の根民主主義」と表現せずに、「大衆迎合主義」の言葉を好んで用いる。「草の根の市民」と「大衆」とは同じものに対する、用語の違いである。「草の根民主主義」は「草の根の市民が主人公である政治の体制」を示す言葉であり、「民主主義」を分かりやすく表現し直したものである。

これに対して「大衆迎合主義」というのは、政治の主役は、市民=大衆=主権者と別に存在し、その政治の主役が主権者=市民=大衆の意思に沿う行動を示すことを批判する意味合いを含む表現だ。つまり、「大衆迎合主義」という言葉は、「大衆=市民=主権者」が主役になる政治を批判、非難、蔑視する姿勢を示すものなのだ。しかし、いま世界で始動している政治の新たな潮流は、まぎれもなく「草の根民主主義」である。

政治を職業とし、主権者である市民=大衆を、上から目線で、政治勢力に従属するべき存在として位置付けてきた既存の勢力による政治支配を打破して、市民=大衆=主権者が主導して新しい政治体制をつくる動きが加速している。

この「草の根民主主義」こそ、日本に求められている新しい政治潮流である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。