<加計理事長記者会見>モリカケの悪霊は安倍首相から離れない


両角敏明[元テレビプロデューサー]

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あるニュースキャスターが『史上サイテーの記者会見』と切って捨てたのは、6月19日の1回目の記者会見でした。これをはるかに凌駕したのが10月8日・2度目の記者会見です。中身は1度目とまったく同じ。いい加減な会見姿勢、言葉も同じ、間違った日本語まで同じ。加計学園のみっともない姿を世間に見せつけただけの会見でした。

加計理事長は安倍首相と「会ったという記憶も記録もないから会っていない」と繰り返すばかり。「記憶も記録もないなら会ったかどうかはわからない」という子どもでもわかる理屈さえ理解できないようです。

なによりも加計理事長が肝心の愛媛文書を一度も読んでいないと断言したのですから、会見場は絶句。ならば愛媛文書をもとに当事者の渡辺事務局長(当時)から聞き取りもしていないのかと問われ、ためらいなく「はい」と答えたのですから衝撃です。

加計理事長は問題の調査・検討などしていなかったのです。渡辺事務局長に対する減給10%/6ヶ月という世間をバカにしたような処分も、テキトウに決めたのでしょう。学校法人のTOPとは思えない知性と常識、そして狡猾で鈍感。社会に対しあまりに非礼な会見でした。

90億円を助成する愛媛県も今治市もナメられたものです。今治在住の4人家族なら20万円近くを加計学園へくれてやる計算なんですが・・・。そして勇み足とやらで何度何度も名前を騙られ、補助金90億円のダシに使われた日本国総理大臣もナメられたものです。

【参考】<腐敗の根源>犯罪もみ消し山本特捜部長の栄転が物語ること

この会見を受けて、けっして反安倍ではない政治評論家がテレビでコメントしました。

「安倍さんは一日もはやく加計氏と面談したことを認めて国民に謝罪し、この問題に決着をつけてから次の課題へ向かうべきだ」

安倍・加計面談はあった事が前提の発言です。これがもう常識なのでしょう。それほどに2015年2月25日(または近接した別日)に安倍・加計会談がなければ辻褄が合わないのです。

2015年2月12日の愛媛文書(No.15・報告)にこの時期の状況が書かれています。登場するのは安倍さんのいつものオトモダチです。この頃、新獣医学部が新潟県に決まってしまうと焦る加計学園は、多忙な安倍首相と加計理事長との面会が実現しない中で、官邸への接触を図り、後にご飯論法で批判される地元選出の加藤勝信内閣官房副長官(当時)との面会を予定しています。また後に加計学園関係者からのパーティ券購入が問題化する下村博文文科大臣(当時)がこの時点では加計の獣医学部に積極的でないことも報告されています。

次の愛媛文書(No.16・報告)では、学園が加藤官房副長官と面会し今治市への設置は難しいと言われたことが報告されています。状況は真っ暗です。しかし加計理事長が安倍総理と面談する動きもあるとも報告しています。

そして最も重要な愛媛文書(No.17・報告)です。これによれば、「加計学園から、理事長と安倍総理の面談について報告したいという申し出」があり、3月3日に加計・愛媛県・今治市の三者報告会が実現します。総理との面談があったから、というアポ取りですから、この事実だけでも問題の嘘は「ふとその場の思いつきで」という説明が成り立たないことは明らかです。

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総理が「いいね」と言ったとか、柳瀬秘書官から資料の要求があったとかいうこの報告会以降、真っ暗だったはずの状況は大逆転します。柳瀬首相秘書官(当時)や内閣府の藤原氏との度重なる面談が実現し、懇切丁寧な指導やらアドバイスを受けます。その後は官邸+霞ヶ関の親安倍軍団が一丸となり、あの手この手をひねり出して石破4条件やら、文科省の抵抗やら、ライバル京産大などを蹴散らし、平成30年4月開校という無理筋まで設定して、強引に加計獣医学部を実現したというのが事の結果です。

では加計理事長が言うように面談話は嘘で、加計・安倍面談も「総理のご意向」もなかったのなら、はたしてこの結果は生まれるのでしょうか。嘘で愛媛県と今治市を騙しても、その嘘と官邸+霞ヶ関は無関係です。愛媛の嘘に東京が反応し、真っ暗だった状況が一転する理由がありません。

ところが現実には劇的な状況変化がおきました。当然、じゃあなぜ?という疑問が生じます。その説明は簡単なはずです。ほんとうに起こった事を語れば良く、事実は強い説得力を持ちます。ところが安倍・加計コンビは、説得力のある説明をしません。それが国民に「面談とご意向」があったという心証を与える状況証拠となっています。

これまで、安倍首相の乱暴な主張の多くは薄皮をはぐように次々と覆されています。そんな中で加計理事長のデタラメな記者会見を見せつけられれば、安倍・加計面談はあり、総理のご意向にそって獣医学部が実現したと、ますます強く受けとめるのが常識的な感覚でしょう。

10月9日、テレビにもの凄いスリーショットが映りました。二階幹事長が、左にあの金田勝年幹事長代理(元法相)、右にあの稲田朋美筆頭副幹事長(元防衛相)という自民党マイナスイメージのシンボルのような二人を従えて、加計理事長の会見について語りました。

「速やかな対応ができるように積極的にご相談をしたい」

真意不明、国会早々に加計理事長を参考人招致して幕引きを図るのかもしれません。しかし目論見どおりに行きますかどうか。

安倍首相に取り憑いたモリカケという悪霊は強力です。なにせこの悪霊とは国民70~80%の不信の念ですから安倍流の「ていねいな説明」などではけっして成仏しません。いつまでも安倍首相に取り憑いて離れません。この悪霊払いに効くのはただひとつ事実」によるお祓いなのですが、それがもし安倍首相のクビをふっ飛ばすような事実なら使えません。さて安倍首相はどうやって悪霊払いをされるのか。

このままでは「モリカケの安倍」として歴史にその名を残しそうです。

 

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両角敏明

両角敏明(もろずみ・としあき)テレビディレクター、プロデューサー。 バラエティ、報道、情報、すべての番組を手がけてきた。