ビートたけしNHK「コントの日」に足りなかったモノ?


高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

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11月3日(土)にNHKで放送された「コントの日」は、2時間半の長丁場をコントと間に挟む受けトーク(枠)で構成だった。枠の設定は日本コント協会の会長にビートたけし。会員に劇団ひとり、サンドウィッチマン(伊達みきお・富澤たけし)、渡辺直美、東京03(飯塚悟志・豊本明長・角田晃宏)、ロッチ(コカドケンタロウ・中岡創一)、新川優愛である。

このような番組でコントファンとして一番危惧するのは、「ビートたけしはしゃべりだけで、会員役の芸人にこれでもかのヨイショをされて、コントはやらずに終わる」ということだが、たけしは、コントにはきちんと参加していた。一安心である。最近のビートたけしは、バブルの頃のように収録を休んだりはしないようだが、収録には必ずやって来てコントをやることさえ決まっていれば番組の面白さはある程度担保される。

トークではなく、コントに参加したのは、ロバート(秋山竜次)、ジャングルポケット(斉藤慎二)、ラバーガール、ハナコ、きたろう、山田裕貴、森崎ウィン、小倉優香、泉はる、田中美奈子、風間トオルなど。

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ビートたけしは3つのコントを演じていたが、そのうち、ノストラダムスの大予言の大魔王と新元号発表のコントのアイディアの元はおそらくビートたけしで自身であろう。新元号発表では「平成」の色紙を出すはずなのが、間違えてとんでもない色紙を出してしまう。たとえば「平泉成」というコント。

たけしお得意のコントだが、これは出す色紙のネタが大抵弱いので、ツッコまれたたけしがしゃべりで誤魔化すところがおもしろいのである。たけしのしゃべりは最近は口跡がはっきりしないので聞きづらいし、NHKのスタッフにはフォローのしゃべりまで撮ろうという気迫は無かった。テイク2が撮れないならこのコントはボツだが、スタジオトークが挟んであるので、その部分で落ちを言うことも可能であった。

ところで、コントは設定と、その設定を受けたコナシ(芝居部分)と「落ち」で構成される。「大事なのは設定とコナシで落ちなんかどうでもいい」というのはそのとおりであるが、「落ちなんかどうでもいい」というのは落ちなんかいらない」とは、全く違う。なぜなら「落ちはいる」からである。

誤解を恐れずに言えば「とってつけたような落ち」でも「無理矢理持っていく落ち」でも「落ちは必要」。落ちにむかって設定とコナシを繰り広げていきその後に、終われればいいだけの「落ち」が必要なのである。その点今回のコントはみな「落ち」がなかった。テレビ局がカットを変えることで「落ち」にするのは(要するに暗転)芸人の逃げにつながる。芸人は甘やかしてはいけない。

それから、ビートたけしは、芸人にはやはり芸が必要と言うことを力説して、その例として由利徹の「花街の母に合わせての裁縫振りの芸」をあげていた。これは筆者もまさしくそう思う。コントをやる芸人には、コントの演技力のほかに、必ずや芸が必要である。その芸は、誰にも真似できない強烈なキャラクターでも構わないのだが、今回その点で合格点なのはロバートの秋山竜次だけだったのは、残念なことである。

もし、また「コントの日」をやるなら、間に挟むスタジオトークはいらない。そのぶんの予算でもっとコントをやって欲しい。出演させて欲しい芸人もまだまだいる。ドランクドラゴン塚地武雅、雨上がり決死隊宮迫博之、ナインティナイン岡村隆史、中川家剛・礼二、インパルス板倉俊之、チョコレートプラネット長田庄平・松尾駿などだ。

 

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