<任天堂ゲームセミナー>未来のゲームクリエイターの作品には意外な名(迷)作も?④「戦闘団地」


八坂亮[ゲームクリエイター]

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任天堂が開催している学生向けのゲーム開発体験セミナーである「任天堂ゲームセミナー」。約一年間、プロに直接指導されながらゲームを作りあげるカリキュラムです。ちなみに、ここで作られたゲームは一般に公開されており、昨年度「任天堂ゲームセミナー2013」で開発されたゲームも現在WiiUで配信中。

…とのことなのでモチロン遊んでみました!の最終回です。

■団地で拠点を守るゲーム?『戦闘団地』

ラストに紹介するゲームは『戦闘団地』。読んで字のごとく、団地で戦うゲームです!…なんて、意味不明ですよね。でも、実際そういうゲームなのです。

内容はおおよそ「タワーディフェンスゲーム」と言われる物と同じで、自身の拠点を守るべく、攻め込んでくる敵を撃退するゲームです。タワーディフェンスでは、拠点を守ったり敵を撃退するためにフィールドに兵士を配置するのですが、ここに本作独自の“団地”の要素が登場します。

■団地で敵の進行を阻害する!生成した兵士で敵を討つ!

WiiUゲームパッドの画面にはブロックが表示されており、そのブロックをフィールドの好きな場所に設置することができます。この時、空間を囲うようにブロックを配置すると、なんと囲った空間が部屋になります。

ここでプレイヤーが作った部屋は敵の進行を阻害する壁の役割を果たしますが、一つの部屋だけでは多方向から攻め込んでくる敵の進行は止められません。拠点を守るため、あっちこっちに部屋を作っていくと気がつけばフィールドは部屋だらけ。そう、部屋の集合体「団地」が生まれるのです。

オマケに、作った部屋の中にカプセルを設置すると部屋の住人が誕生します。部屋の住人は銃器を持っており、近くにいる敵を攻撃します。こうして、冒頭に書いた「団地で戦う」状態の出来上がりです。

■四つの作品の中でズバ抜けた完成度!だけど…

『戦闘団地』は他のゲームセミナー作品と比較すると、未完成な部分が少なく、よくまとめられている印象です。加えて、ステージのバリエーションや難易度も豊富にあり、完成度の高いしっかり遊べるゲームと言えるでしょう。いい意味で学生らしからぬ出来ですね。

私は、ここまで完成度を高められた要因は他のゲームに比べると目指すべき場所がハッキリしたゲームだったからだと想像しています。

『ポッポハンター』 等、その他のゲームが今まで見たことがない新しい遊びの創出にチャレンジしているのに対し、『戦闘団地』は「タワーディフェンス」という大枠の遊びがすでに決まっているジャンルの上で作られた物です。

こういう物の場合、ジャンルが浸透しているので制作中もスタッフ間でゲームイメージの共有がしやすく、やる事が決まってしまえばそんなに迷わず作れます。見たところ、既存のジャンルから大きく外した内容にはなっていませんし、迷いも少なく、調整に割く時間も多く取れたのではないでしょうか。

もちろん、既存のジャンルだからといってキレイにまとめるのは苦労するし、うまくできない事は往々にしてあります。完成度高くまとめられている事は素直に褒められるべきです。その反面、既存のジャンルの枠を超えない内容に収まっている事には少々思うところはあります。

『ポッポハンター』を見る限りゲームセミナーはチャレンジが許されている場だと思います。そんな、チャレンジができる場で既存の枠のゲームを作るのはちょっともったいないです。大人になるにつれて、どんどんチャレンジできる機会は少なくなります。学生という柔軟な発想ができる年代にチャレンジができる場をもらえてるんだから「もっと攻めてもいいのに!」……なんて思います。(こんな事書いてると、自分も歳をとったんだなと感じます)

『ポッポハンター』を強く推しているのはそんな「攻めの姿勢」を強く感じたからです。『戦闘団地』にもっと見たことがないアイデアが盛り込まれていたらとんでもない傑作になっていたかもしれませんね。

■エネルギーを感じるゲームたち

さて、ここまで四回にわたってゲームセミナー13の作品を紹介してきましたが、どのゲームからも若いエネルギーを感じられました。今後、ここで活躍した学生たちがゲーム業界をどう盛り上げてくれるのか非常に楽しだと思ったと同時に、大きな刺激も受けています。私だってまだまだ負けてられないです。もっと面白いゲーム作ります!(八坂亮[ゲームクリエイター]

 

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八坂亮

八坂亮(やさか・りょう) ゲームクリエイター 1986年、大分県生まれ。大手ゲームメイカーにて、家庭用のゲームソフト開発を行う傍ら、『らくがきラボ』名義でスマホ向けゲームも開発にも従事。一人でも多く人に「ゲームが楽しい」と感じてもらえるよう日々精力的に活動中。