新型コロナよりアベ・ファースト?

山口道宏[ジャーナリスト、星槎大学教授、日本ペンクラブ会員]

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「医者にかかるな」「学校は休みに」「会社は行くな」「外出は控えろ」が我が国の「基本方針」という。

ここにきて政府からのお達しだが、無責任、丸投げ体質が露骨に示された。あとは国民一人ひとりで、あとは自治体ごとの判断でというものだ。

「これでは社会崩壊だ」(千葉市長)の発言はもっともだ。とくに学校の休校措置の要請はパニックを生んだ。子どもをあづけられない親はどうするのか、それも「自己責任で」というのか、子ども、親、学校、自治体の戸惑いは隠せない。

「子どもだけでおうちにいたことがない」

「(子どもの)お昼ご飯はどうしよう」

「といって会社は休めないし」

「もし休めても減収になるし」・・・。

ニッポンの労働者5660万人の4割は非正規労働者だ(2019年度総務省)。これだけでも異常な雇用関係だが、ましてや「テレワーク」など一様の世界でない。そもそも派遣、パート、アルパイトなど雇用自体が不安定、「働き方改革」など無縁に近いひとは多い。もはやすべてが死活問題だが永田町の面々は鈍感だ。マスクの心配もない。これも議員特権か、秘書がドラックストアに並んだという話は聞かない。

お隣の韓国では誰でもどこでも「受診」は公費で完璧に、「会社を休む」となればとっくに「休業補償」を国が補填する手はずという。この種の連動した配慮は韓国だけではない。感染症対策として海外の一般的な「決まりごと」というから、ああ情けない。「アベ友」「スシ友」で知られる田崎史郎(ジャーナリスト)ですら、韓国との比較を問われると「この分野ではニッポンは後進国です」と発言する始末だ (2.26テレビ朝日)。

我が国は「休め」「休め」と見切り発車。「診療報酬が決まっていないから」と医療拒否をその理由としたり、追加対策は雇用調整助成金拡充を「検討中」だから滅茶苦茶だ。

後手後手の連続はいかに我が国の施政者に想像力がないか、を国内外に露呈した。「安部さんは、クルマ事故の死者を無くすためにクルマを廃車に、運転をやめろと言っているみたい。そしてクルマ事故は無くなりましたと言いたいがために。ただし、経済も移動もなくなりました!! が分からない大変なお粗末ぶりだ」と。

国の基本方針に、市井の反応は厳しい。

シンガポール5000億円、米国2700億円、台湾2200億円、韓国1800億円、日本153億円(薬の開発とマスク生産)。各国のコロナウィルス対策の予算比だという(2.27東京新聞)。

「安心安全の国」とは、なにより国民の「いのち」と「くらし」の保障に他ならない。「これで桜も消える」「これで検事長定年延長も消える」と目論むのか。もうじき「3.11」だ。アベ・ファーストは、どこか「安心安全宣言の原発に似ている」。

 

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