<幻の映像をノーカット収録>DVD「燃えろ! 新日本プロレス エクストラ 猪木VSアリ 伝説の異種格闘技戦」が発売

エンタメ・芸能

メディアゴン編集部

先日、「燃えろ! 新日本プロレス エクストラ 猪木VSアリ 伝説の異種格闘技戦」(1976年6月26日、日本武道館)と題するDVD付きのムックが発売された。実にいい目の付け所だと思う。これまでにもあったという人がいるかもしれないが、それは3分ほどのダイジェスト版。本領はこの45分版にある。

マットに寝っ転がって、アリのパンチを避けながら、この試合のために編み出したアリキックを繰り出す猪木。3分は笑って見ていられるが、これが45分続くと観客の(もちろんテレビ観戦の人も)試合を見る感情が微妙に変わってゆく。どう変わってゆくかを自ら味わうのが。この試合を見る価値なのでここには書かない。

1995年4月29日、猪木氏が平壌メーデースタジアムで行う興行の切符が発売されたので、編集子は、すべての仕事を投げ打って平壌へと旅だった。名古屋発順安空港行きの高麗航空チャーター便に乗る。飛行機の塗装がはげていたなどの途中の面白いことは端折って、ときは興行当日。「平和の祭典」と銘打たれたこのイベントには19万人もの大観衆が集まった。北の英雄の一人、力道山の一番弟子とあってか、北も威信をかけて動員をかけたのだろう。

イベントは、馳浩氏の開会宣言で始まった。編集子は大枚1万5000円を払ってリングサイドに陣取った(国内興行と比べれば格安だそうである)。ところが観客が全く盛り上がらない。絞め技ばかりが続く地味な展開の前座試合が続く。編集子はなぜか、日本人としてものすごく済まない気になった。「盛り上がる試合をしてくれ」と祈るような気持ちになる。

それが、一変したのは女子プロレスがマットに上がった時だった。派手な投技、マットを体が打つ音。観客は熱狂する。「よかった」

ところが、ハーフタイムのエンターテインメントではまたしゅんとなる。ゲストは「帰ってこいよ」の松村和子と、伝統河内音頭の河内家菊水丸。編集子はまた祈る「これが日本の芸能の最先端だと思わないでくれ」

そしてながいふりを堪えた人だけが味わえる、メインイベント。 まず、登場したのはリック・フレアー。スター&ストライプス、星条旗の描かれたパンツ姿で吠える。そこへ軽快な足取りでロープをまたいだ猪木が、マントを振り捨てるなりキック一発。19万人の大観衆絶叫。地響きのようだ。 あとは一方的に日本が(北の代理人も)アメリカをやっつける。

編集子は日本人として安堵する「盛り上がってよかった」と。 そういう感情を抱く場合ではないのではないかと、頭の片隅で思いながら。

この興行に顔を見せた、北朝鮮の最も高位の人物は対南工作担当の党書記、金容淳(キム・ヨンスン)氏。は、2003年6月、交通事故に遭遇。事故から回復せず死去とされるが、編集子の見たところ、平壌の街を走る車は極めて少ない。

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