<「めちゃイケ」の死>お台場合衆国の「宣伝」と面白くない「焼き直し」は番組を殺す

高橋維新[弁護士]
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「旬の有名人」を旬のうちに使い捨てる番組。それが「めちゃ×2イケてるッ!」(以下「めちゃイケ」フジテレビ)である。
最近は(なぜか)あまり放映されなくなったが、「やべっち寿司」のコーナーには、「旬の有名人」がよく登場する。その「旬の有名人」の旬な話題を題材に偶然を装ってコントを行うのが「やべっち寿司」というコーナーの趣旨である。
安達祐美が離婚した時は、その話題に触れようとする岡村隆史とそれを無言の圧力で封殺しようとする安達というコントをやっていた。森公美子のバナナダイエットが話題になったときは、「ダイエットとは言いつつも結局、無意識に寿司を食べてしまう森公美子」というコントをやっていた。
こういうコントでその有名人の出せるおもしろさが出し切られてしまったら、その人は、また新たなおもしろさを生みださない限りは、二度と「めちゃイケ」に呼ばれることはない。これが、「めちゃイケ」によるタレントの「使い捨て」である。
「使い捨て」というのは悪い言い方であるが、良く言えば、「めちゃイケ」が常に「いかにおもしろい映像作品を作るか」という点のみにこだわっているということである。事務所のしがらみやタレントを育てるなどといった観点に囚われて「おもしろくなりようがないキャスティング」をしないということでもある。
そういう意味では、「めちゃイケ」は非常にストイックかつドライな番組であり、作品をどのようにおもしろくするかという方向のみに目を向けてモノづくりを行っていた匠のような存在であった。
ところが「めちゃイケ」のこのストイックさは、すでに鈍って久しい。「めちゃイケ」は売れた。たくさんの人が見るようになった。だからこそ、色々な横槍も入ってくるのだろう。他の番組や映像作品の制作者が、自分の作品を宣伝するために出演者を出そうともするだろう。グッズを作れば売れるから、局の上層部はグッズの宣伝をさせようとするのだろう。お台場合衆国や足柄SAの宣伝がその最たる例である。
全盛期の「めちゃイケ」であれば、こういう横槍もうまくいなしておもしろさに変えてきた。告知をさせるにしても、スタッフがおもしろくなるようになるように知恵をしぼっていた。他方で、どう料理してもおもしろくなりようがない告知や宣伝は、確実に断っていたと思う。その点は、視る側にもひしひしと伝わってきていた。だからこそ毎回の放送に新鮮味があったし、色々な種類の有名人が番組を彩っていた。
ところが今はどうだろう。
毎年「お台場合衆国」の告知をするようになった。足柄SAの宣伝は毎回のように入るようになった。おもしろさを重視して毎回違う題材でやっていたオファーシリーズに、EXILEはもう3度も出ている。EXILEとのカラミはすでにおもしろくもなんともなくなっているのに、関係を断ち切れていない。すでに金まみれでズブズブになっている。
このままでは「めちゃイケ」に待っているのは番組としての「緩慢な死」である。筆者にとってはものすごく好きな番組だったので、死に体のまま生き恥を晒し続けてほしくはないのだが、好きだからこそ、いつか復活するのではないかという期待を今も抱き続けている。だから「告知」と「焼き直し」にまみれた回でも、毎週堪えがたきを堪えながら見ている。
しかし、こういう状態になった番組の多くは、大抵復活しない。そのまま番組として「実際の死」を迎えてしまうのだが。
 
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