<インターフェロンは過去のものに>C型肝炎が「ほぼ100%」治癒の時代が到来

ヘルスケア

松井宏夫[医療ジャーナリスト]
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「27年間、患者さんには良く頑張っていただいたと思います」

と、涙をこらえて言葉を漏らしたのは、「C型肝炎」の治療を行ってきた第一線の医師。
実は、C型肝炎治療はついに治る時代を迎えたのである。C型肝炎は1989年にそのウイルスが発見されて以降、感染経路に対する予防策がとられ、治療はインターフェロンが用いられてきた。その単独治療から抗ウイルス薬のリバビリンやインターフェロンの新タイプのペグインターフェロンが登場。
併用療法がおこなわれて段階的に治療成績も上昇してきた。それでも、ウイルス排除率は最高で約60%。
それが14年に登場したウイルスのNS5Aたんぱくを抑える「NS5A阻害薬」と「プロテアーゼ阻害薬」を服用する治療で、その効果は85%を超えるようになった。
さらに、この後、15年、16年と有効な薬が登場することになっている。これは「ほぼ100%治癒」になる画期的な薬。インターフェロンの治療ではほとんどの患者さんが「うつ」状態に苦しめられていた。患者がその苦しみに耐えてこられたのは、治癒を期待しているから。その「うつ」状態の苦しみを最前線の治療現場で診ているからこそ、医師の前述の言葉が出たのである。
インターフェロンは過去のものになったのだ。そして、治療を来年に先延ばしにしている患者さんもかなりいる。
C型肝炎治療は、まさに医療の進歩の素晴らしさを体験する時代を迎えたのである。
 
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