<高コストで不安定な再生可能エネルギー>2014年度の「再エネ補助金」は1兆円を超える見通し


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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太陽光や風力など「再生可能エネルギー」に対する今年度の買取金額は計1兆円を超える勢い--。こう書くとわかりやすい。

今月1月23日の資源エネルギー庁の発表によると、2014年4~10月の再エネ電気の買取金額は5973億円(添付の図表を参照)。今年度の残り(2014年11月~2015年3月)が同じ程度で推移すると仮定すれば、今年度の買取総額は1兆240億円となる。

 

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エネ庁は、昨年2014年3月に今年度の買取総額の当初見込みを9000億円と設定したので、それを1240億円も超過する計算。太陽光や風力による発電量は天候に左右されるので、発電動向が今後どうなるかはわからない。

だが、それを考慮しても、買取金額が1兆円を超えることは確実だろう。このような巨額の買取金額分は、再生エネ導入のための電力消費者からの「補助金」そのものである。

エネ庁は今月1月、いわゆる「再エネ接続保留問題」を踏まえ、買取制度の運用を改正した。主な改正内容は、電力会社が太陽光発電による電気を制御止できるようにすること。原則として、電力会社からの要請に応じる再エネ発電事業者だけを受け入れることになる。こうした前提で、接続を保留していた電力会社は、中断していた再エネ電気の新規受入れを再開することを表明している。

いずれにせよ、再エネの買取総額が1兆円の大台に乗るかどうかは、再エネの固定価格買取制度(一定価格で10〜20年間の買取りが約束される)に対する電力消費者、即ち国民からの捉え方や政治的視線を変える可能性がある。買取総額は、今年度が終わってから正式に算出されることになる。

原子力や火力と違って、太陽光や風力は我々の身の回りにある自然の恵み。それを電気に変えて利用するのが再エネ発電。だが、好い事ずくめではない。太陽光や風力は、天候に左右される不安定な電源で、今の技術では発電コストも原子力や火力に比べて遥かに高い。

原子力や火力は低コストで安定な電源だが、再エネは高コストで不安定な電源。そうであっても再エネに資金を投入しながら推進していこうというルールが、この固定価格買取制度。だから、原子力や火力とは違った観点で、賛否が渦巻いているのだ。

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。