<出来すぎたシナリオ?>「めちゃ✕2イケてる」三中元克のプロレス入門ドキュメンタリー企画に言いたい


高橋維新[弁護士]

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2015年3月7日に放映されたフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」(以下「めちゃイケ」)は、三中元克の「みちのくプロレス」での練習模様を描いたドキュメンタリーだった。

というのはまあ、表面上の話である。

東京でヘラヘラしていた三中が、みちのくプロレスという体育会系の世界に突如放り込まれる。当初は東京でのヘラヘラした態度のままにいい加減な練習を続け、練習生のテストに不合格となり、練習が辛くなって逃げ出す。その後、仲間の説得もあって東北に戻り、辛い練習に絶えて、今度は練習生のテストに合格する。

挑戦。挫折。仲間。再挑戦。成功。

この手の「合宿ドキュメンタリー」としてはお手本のような筋書きをたどっている。台本があるのではないかと疑いたくなるレベルである。

十中八九、あるだろう。

三中に台本に沿った演技(特に一番難しい泣きの演技)をするだけの力があるようには見えない、というのが「これが台本通りの企画ではない」と思わせる一縷の望みである。ただ、泣きの部分だけは、辛くて理不尽な練習を課すことでノンフィクションの映像を撮っておいて、あとの大まかな流れ(不合格→脱走→合格)については台本を作っておくということもできる。最後の練習生テストに合格したことろなんか、シナリオとしてはできすぎなのである。

言いたいことは3つある。

第一に「めちゃイケ」にこんな使い古されたつくりの手法でドキュメンタリーを撮ってほしくないというのが一つ。こういう古い手法をパロディ化して嘲笑ってこそ「めちゃイケ」である。TBS「ガチンコ!」(1999〜2003)のパロディ企画を作っていたのも今は昔である。

第二に「めちゃイケ」でこういう感動系の企画はやってほしくない。

「めちゃイケ」の悪い癖なのだが、岡村隆史オファーシリーズや矢部浩之オファーシリーズなどで、時々感動系の企画を混ぜてくる。他にもパッと思い出せるのは、岡村隆史が休養から復帰した時の回と、2011年の「27時間テレビ」の翌週に放映された、矢部浩之オのマラソンの裏側を特集した回である。

「感動」と普段の「めちゃイケ」が力を注いでいる「笑い」とは、別の種類のエンターテインメントである。もちろん、どちらを見たいかは好みの問題なので、「感動」のエンターテインメントが「笑い」のエンターテインメントより劣っていると言うつもりはない。

ただ、筆者を含め多くの「めちゃイケ」ファンは「笑い」を期待して「めちゃイケ」を見ているはずである。「感動」系の企画をやられると、肩透かしを食らう。

今回の企画でも、笑い所は、最後の岡村と三中の殴り合い、あとジャルジャルが三中の説得に行かされたことに文句をつけたシーンぐらいである。普段「めちゃイケ」の笑いにほとんど貢献していないジャルジャルが救世主となったのは、何とも皮肉な話である。

これは、岡村が復帰した回で、最後によゐこ・有野晋哉が「俺が休養から復帰した時はこんなに大々的にやってくれなかった」という趣旨の文句を言って気を吐いたのと似ている。岡村自身も後にこの有野の発言で救われたということを言っているので、こういう感動系の企画を本来はやりたくないはずである。

第三に、今後の三中元克の処遇である。

三中は、芸人になりたいと言っておきながらネタも作らないし本番中に何をするわけでもないので、芸人には全く向いていない。

番組も彼をテレビに出してしまったことで負い目を感じているのか、何かと気をかけている。お前は素人だから番組から下駄をはかせられているんだというのを岡村が今回最後に暴露していたのは多少驚きだったが、これは、早めに気付かせてやった方が彼のためであろう。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。