<労基法改悪に警鐘>いくら働いても残業代ゼロ?「1日8時間労働」の瓦解を目論む「残業代ゼロ」法案


山口道宏[ジャーナリスト]

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かつて「名ばかり管理職」という言葉があった。

しかし、「管理職なら残業代を払わなくても済むから」といった構図はやがて露呈されたが、「だったらこれはどうか?!」ばかりに、悪しき政財界らの企ては続いている。

深刻な労働力不足を目前にして、貴重な労働力を大事にしないで何が「少子化対策」か。現在進められている労働基準法(労基法)の改悪は、国を滅ぼすだろう。

与党が今国会で成立を目指すという労基法の改悪法案は、高額年収の専門職を対象というもので、いくら働いても残業代ゼロ。これにより「1日8時間労働」の瓦解を目論んでいる。

それは「労使合意」を前提というが、そもそも労使は対等ではないし、労働組合組織率とて全労働者の2割を切ったから「合意」は画餅だ。企てには、その対象を全労働者にも拡げたいとの魂胆が見え見えだ。

おひざ元の厚労省調査でも「過労死企業の半数で違法残業、月270時間の例も」と伝える新聞報道もある。つまり、これはそっくり過労死促進法なのである。「アベノミクス」の労働政策は、とうとう人権問題(ILO)に抵触するレベルと国内外に教えるのか。

また「これでは残業させ放題になる」と昨秋実施の労基監督官へのアンケート回答で(全労働省労働組合2000人調査)、過半数が反対と答えた。労働基準監督署は、税務署と並んで会社経営者や労務担当には「怖い」存在だ。労働基準法の遵守に関して指導監督する役所で、とくに近年は少ない陣容ながら「サービス残業」「長時間労働」の撲滅に目を光らせる。

労働者の職業生活や健康を守り労働条件の確保と改善を図るのを任務とする専門官(労働基準専門官)は法令に基づき工場や事務所に立ち入り、調査、指導を行う。その彼らも「監督指導の根拠を失う」と指摘するが、もっともだ。

国を挙げてブラック企業化を図る企てで、誰がほくそ笑むのか。

これでは「サービス残業」「長時間労働」「過労死」を誘導するから、家族の崩壊、家庭の崩壊に拍車をかける。「少子化対策」の前に、親の生命が危ない。

 

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