DJに興味がない濱口優がDJになりきってカッコつける岡村隆史をバカにする「めちゃイケ」の企画は中途半端


高橋維新[弁護士]

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2015年4月25日放映のフジテレビ「めちゃ×2イケてる」は、岡村隆史のDJ(ディスクジョッキー)としての活動に密着するという体のドキュメンタリーコント(ドキュメンタリーのようなコント)である。

番組では、岡村が、DJ KOO・ふかわりょう・やついいちろう(エレキコミック)の3人と一緒に、DJとしてレコードショップや機材店やクラブを回っていた。

そこに、濱口優(よゐこ)と「めちゃイケ」のカメラが入り、DJとしてカッコつけている岡村をバカにするというのがコントの基本的なコンセプトである。あくまで、コントであり、ここに書いたことは何から何まで番組が考えて用意した設定であり、全て台本があるはずである。

本当に休日だったらあの4人が揃うわけないだろうし、4人が4人とも「めちゃイケ」のカメラが入ることを許すわけないだろう。

ただ、この設定は、筆者の推測であり、番組内でそこまできちんと明確にされていたわけではない。つまり、設定のフリが甘かったのである。

「めちゃイケ」の他のドキュメンタリーコント、例えばSMAP 中居正広の日本一周だったら、まず表の「中居くんをもてなして楽しませる」という設定がしつこいぐらいに視聴者に周知される。テロップやナレーションを通して何度も何度も周知される。

これがフリの役割を果たし、ナイナイが(台本通りであるとはいえ)この設定をぶち壊しにして中居くんをひどい目に遭わせたときに、そのズレが際立ち、笑いが生まれる。

今回の企画は、おそらく「休日にDJで思うさまカッコつけて憂さを晴らしたい岡村」というフリがあって、「DJに知識も興味もない濱口がカッコつけている岡村をバカにしてひどい目に遭わせる」というボケで笑いをとるものだったのだが、このフリが甘かった、というよりほとんどなかったので、濱口のボケもあまり浮かび上がってこなかった。ただただ、緩い映像を見せつけられていただけだった。

もう一つ問題があるとすれば、ボケ役を濱口にしたことだろう。

フリにおける企画の主役は岡村なのだが、ドキュメンタリーコントという意味でこの企画の主役を張っていた(=笑いを担っていた)のは濱口なのである。

前述の中居くんの企画等を見れば分かるが、めちゃイケにおけるこの手のコントでボケ役を務めるのは、まずは岡村になる。岡村は演技力が高いので、ドキュメンタリーコントの中で役割を与えられれば、その役割を真面目に演じ切ることができる。

台本通りに色々とボケをかましても、ウケ狙いでわざとボケているのではなくて、本当に真面目にやった結果間違えたのではないかと視聴者も暫時錯覚できるのである。

今回、濱口はヘッドホンの代わりにドーナッツを岡村の耳に当てるというボケを何回かやっていたが、濱口は笑いながら弛緩にまみれた状態でこのボケをやるため、わざとボケているというのが視聴者に一瞬で分かってしまう。

ウケ狙いだと分かった瞬間に、見るほうのハードルは上がってしまうため、笑いも生じにくくなる。他方岡村がこれをやれば、クソまじめに本気でドーナッツを出していると視聴者に思わせることができるので、奇襲がまだ生じやすい。

岡村のあの「フラ」(笑いの対象になるような外見的な面白みや特徴)まみれの風貌も、この錯覚に一役買っている。「ああいう感じのおもしろい見た目の人だから、中身もボケボケなのだろう」と視聴者が思ってしまうのである。濱口には、フラが何一つない。

なぜ濱口が企画中、終始ああいう感じだったのかは分からない。濱口を自由にさせた結果ああなったのかもしれないし、岡村ほどの演技力がないから番組の指示で無理をさせなかったのかもしれない。いずれにせよ、濱口には岡村ほどの演技力がないことになるので、この手のドキュメンタリーでボケ役を任せるのは荷が重いというものである。

総評としては、フリが甘く、主役の濱口もだらけっ放しだったので、ただただ緩い中途半端な企画であった。

ただ、この原稿に書いてあることをすべて実現すると、「岡村がボケ倒すドキュメンタリーコント」という昔からある感じの企画になる。変化球として濱口を主役に据えてみたのかもしれないので、その試みは買う。結果的には失敗だったのだが。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。