[茂木健一郎]<時々のジャンクフードは「元気」の証し?>マックシェークを美味しいと感じた子どもの元気さ

ヘルスケア

茂木健一郎[脳科学者]
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マクドナルドについての報道を見ていて、日本の1号店が出来たのはいつなんだろう、と思って調べたら、私が8歳の夏だったと知った。当時、ものすごいニュースになっていたのを覚えている。それで、初めて食べたのはいつだったか。とにかく小学校の頃だろう。
印象に残っているのは、マックシェークで、確かストロベリーだったと思うが、「この世にこんなにおいしい飲みものがあったのか!」と感激した。バーガーも、おいしかったけれども、シェークが子ども心に最もインパクトがあったのである。
時代が流れて、マクドナルドは、年に数回食べるけれど、あれほど美味しいと思ったシェークは飲まなくなった。だいたい、ビッグマックとコーラ、ポテトがついたセットにすることもある。コーラの代わりに、コーヒーにすることもある。
高校の時、北米に行って、カナダで大人たちが子どもの食べている様子を見て「ジャンクフード」と言っているのを聞いて、初めてこの「ジャンク」という言葉を知った。意味はすぐわかったが、自分たちが食べているものを「ジャンク」と言うなんて、なんだかひどい話だと思った。
そして、世の中の自然志向、健康志向が強まるにつれて、マクドナルドが提供しているような食事が「ジャンクフード」とまでは行かなくても、食べ過ぎは健康によくない、ということになっているみたいだけど、一方で、子どもの頃最初に飲んだシェークのおいしさにも、何か真実があるような気がする。
健康にいい食材を食べるのはもちろんいいけれども、シェークを美味しいと思っていた、あの頃の私の子どもとしての元気さも、信じることができる何かがあるような気がする。つまり、ジャンクフードを食べるのは、元気さの証しになる場合もあるように思うのだ。
大切なのはバランスであり、いわゆるジャンクフードを毎食食べるのは問題だろうけれども、時々食べることに、目くじらを立てることはないように思う。むしろ、口にするものはすべて健康に良いものでなければならないという過剰な意識は、「元気さ」の真逆のような気がする。
時折ジャンクフードを食べるとき、どれくらい本気で「おいしい!」と思えるかどうかが、元気さのバロメータであるようにも思う。子どもの頃、シェークを飲んで、「この世にこんなにおいしい飲みものがあったのか!」と思ったあの元気さを、ずっと持っていたいと思う。
 
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