<「とと姉ちゃん」という矛盾>NHKが広告をやらないなんてウソ

テレビ

メディアゴン編集部
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毎週、日本一視聴率の高い番組の座を守り続けるNHK『とと姉ちゃん』。
モデルはご存じの通り『暮しの手帖』の創業者・大橋鎭子と編集長・花森安治。大橋は小橋常子(高畑充希)、花森は花山伊佐次(唐沢寿明)として登場する。
『暮しの手帖』は商品の批評を公平して行うため、広告主に編集に口出しさせないために一切の企業広告を載せず、雑誌販売のみにて収入を得て、今日まで続いている。
ココがエピソードとして描かれた8月第一週の「あらすじ」はこうだ。
雑誌の出版を続けるために、独断で「あなたの暮らし」に広告を乗せる契約をした常子を花山は「金のために魂を売るのか!」と叱責する。怒りの収まらない花山は会社を去った。
常子は花山不在のまま次号の制作に取り掛かる。誰でも簡単に作れる小麦粉料理としてホットケーキの作り方を紹介しようとしたところ、広告主の料理学校からレシピを載せるように要求が届いた。宣伝である。
【参考】<総合放送の崩壊>テレビは日本に残った最後の「護送船団ビジネス」
このシーンを見ながら思わず笑ってしまった人もいることだろう。
広告を「金のために魂を売るのか!」として排斥するセリフは、「NHK」でしか書けないものだ。言うまでもなく、民放は既にあらゆる資本に魂を売っている。
とはいえ、このドラマ自体が『暮しの手帖』の宣伝になっているのではないのか?
「NHK」の広告主と言えば予算を握る国会と言うことにから、「金のために魂を売るのか!」は「政治家の圧力に負けて魂を売るのか」にも言い換えられる。
「NHK」が広告をやらないなんていうのはウソで、自局番組の宣伝は目に余る。
そんなことを感じたのはメディアゴン編集部だけではあるまい。
 
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