きわめて強く短い言葉で断じて相手の発言を封じるのは言葉や議論にコンプレックスを抱く人にありがちな態度です。コンプレックスがあるかどうかはともかく、菅総理が強く短い言葉で断じたり、不思議な日本語を使うことは周知です。それが口下手や方言、あるいは単なる言い間違いなどなら、それをことさらに論うのは礼を失します。ただし、総理の日本語は日本国民や、世界に向けて発せられるものです。もし発言を過てば、あるいは発言を誤解されれば深刻な影響を及ぼすかもしれません。菅総理には聞く側が正確に理解できる程度に正しい日本語を話す努力が必要です。
*滑舌
筆者が菅総理の発音で最初に気になったのが「自治体」と「自衛隊」の聞き分けが難しいことでした。菅総理の発音はどちらも「自イ体」と「自イ隊」で、ほとんど同じに聞こえます。これなどは少しのトレーニングで改善できるはずです。総理にとって「自治体」も「自衛隊」も重要かつ頻度の高いワードです。こういう重要事例をピックアップしてトレーナーとともに重点的に改善されてはどうでしょうか。
*キーワードの選択
菅政権がキャッチフレーズとして選択する言葉が押し並べて「いささか品位に欠ける」と感じませんか。
「瀬戸際の2週間」、「勝負の3週間」。コロナ対策でなにを勝負するのでしょうか。さらに、「国民のふんばり」、「なんとなくもうひとふんばり」、「飲食が急所」など、いずれも一般人が会話で使うなら問題はありません。しかしふんばりや急所はいささか品位に欠ける意味もある言葉です。まん防という略称もいまごろペレスプラドで踊るのか、よって、年がバレますが、シリアスな状況に相応しい語感とは言えません。もうすこし言葉のチョイスに神経を使われた方が政府への信頼感も増すはずです。
*軽率な言い回しと誤用
改善が難しそうなのは軽率な言い回しです。例えば新規陽性者の下げ止まりを問われて
『何となく下がり切れていない状況じゃないでしょうか』
政府の状況分析を総理大臣が『何となく』と言っちゃあマズイでしょう。『何となく』は総理の口癖なのかもしれません。
『全力全霊』
大漢和まで調べたわけではありませんが、これを言うならふつうは「全身全霊で」でしょう。「全霊全力」という言葉もありますが「全力全霊」はなさそうです。
[参考]<怪しいワクチン供給>菅政権は「奇跡」を実現できるのか?
さらに、ご長男の東北新社就職問題では『就職にはついています』。「職に就いています」もしくは「就職しています」と言うべきでしょうが、このあたりの指摘は「揚げ足取り」とおっしゃる方があるかもしれません。しかし、ご長男との会話について『(長男には)申し上げておきました』と再三くり返されたのはどうでしょう。公的場面で父親が息子に謙譲語とは・・・。
さらに、最近これはマズイと思ったのは、まん延防止等重点措置について記者に聞かれ、
『感染拡大防止を防ぐための措置であります』
もちろん単純な言い間違いですが、重要な発言で防止するのを防いじゃだめでしょ。そもそも菅内閣のスローガンは『国民のために働く内閣』です。国民のために働かない内閣なんてあるはずもなく、発足当初から日本語がおかしかったのですが。
*質問にまともに答えられない。
しかし菅総理の問題は発する言葉ばかりではなく、「質問されたことに答えない」というきわめて単純な姿勢です。ごく最近でも、坂井副官房長官が官邸で私的食事会合を開いていた件について、記者から総理の責任を問われた菅総理は、
『私は参加していない』『私は承知していない』
とお答えになったと伝わっています。また、今回のまん延防止等重点措置の効果が十分でなかった場合は緊急事態宣言を出すのか、その場合の責任は、と問われると、
『ですから、再び緊急事態宣言に行かないような感染拡大防止につながるような対応策であります』
質問は「緊急事態宣言を出すのか?」と「その際の責任は?」です。この質問をはぐらかそうとしてこんな珍妙な日本語になってしまったようです。
菅総理にアドリブ力はありません。なのに、常に質問に正面から答えず、ひたすら逃げ回ることばかりを考えるからますますおかしな日本語が噴出します。発声、発音の技術的な問題ならトレーニングなどで改善できても、質問に答える日本語力は「質問には真っ正面から答える」というご努力をされないと改善されません。このままはぐらかしを続ければ、いつか「国民の失笑を買う総理」になってしまいます。
*言葉の技術か、人間性か
もうひとつ最近の事例です。緊急事態宣言解除が早すぎたのではないかという質問に対する菅総理の言葉を、多くのニュースは以下のように切り取って伝えました。
「解除の指標は満たしていた。知事からの要請があった。専門家に相談した。」
これでは菅総理自らの責任で決断したという決意の強さは伝わらず、無責任さだけが印象に残ります。菅総理はこういう点でも言葉の取扱説明書を熟読すべきかもしれません。もしこの言葉が技術的な未熟さから出たのではなく、考え方や人間性の発露として発せられた言葉だったとすれば、菅総理には言葉の取扱説明書も処方箋も存在せず、即刻辞任しかありません。
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東京都の新規陽性者数が8日連続で前週比で増加した。コロナ新規陽性者数は明らかに増加に転じている。菅内閣は3月21日に緊急事態宣言を終了させる姿勢を示している。3月25日に五輪聖火リレーが開始されるのに合わせた措置だ。五輪開催を強行して衆院総選挙に臨む。これが菅内閣のプランAである。しかし、このプランAが瓦解する可能性は低くない。筆者のブログ、メルマガで繰り返し指摘しているように、コロナ新規陽性者数変化は人流の変化に連動している。
人流の拡大は会食機会等の増加をもたらす。会食機会等の増加が新規陽性者数を増加させる。1月に感染爆発が生じたのは菅内閣がGoto事業を全面展開したからだ。菅首相は12月28日までGotoトラベルを止めなかった。その結果として順当に新規陽性者数が激増した。感染爆発を引き起こしてしまい、首都1都3県の知事に要請されて緊急事態宣言を発出した。
政策失敗は明らかだ。
この失敗を糊塗するために、姑息な対応が取られているが、肝心の基本的対応で失敗を続けている。
12月に英国で変異株が確認された。この時点での最需要事項は変異株の国内流入を防ぐことだった。ところが、菅首相は水際対策強化を妨害した。12月28日に水際対策を発表したものの内実を伴わぬザル対応を示した。外国人入国の太宗を占めるレジデンストラック、ビジネストラックの入国を止めなければならなかったが、菅首相は1月13日まで停止に反対し続けた。
結果として変異株が日本国内に流入してしまった。
緊急事態宣言発出で12月末から1月末まで国内の人流が低水準で推移した。しかし、緊急事態宣言の解除が取り沙汰されるようになり、2月中旬以降、人流が再拡大した。3月中旬以降、新規陽性者数が再拡大する可能性が高いことを、筆者のブログ、メルマガで警告してきたが、その通りの現実が生じている。
実は厚生労働省は1月22日に自治体に対して発した通達で、コロナ新規陽性者数が少なく発表される小細工を行った。自治体に対して「プール方式」で行うPCR検査を公費負担することを通達したのに合わせて、PCR検査の判定に関わるCt値を引き下げることを通達した。Ct値を引き下げると陽性判定される数が減少する。東京五輪開催に向けて、新規陽性者数が少なく発表されるための小細工を施したと見られる。検査方式を変更すれば統計の連続性を確保することができない。少なくとも数値発表に際して、検査方式変更を公表する必要がある。ところがその説明が行われていない。
それでも、3月中旬から新規陽性者数が増加に転じている。人の移動状況を示す指数は2月20日に急増したあと、3月上旬にかけて横ばい推移を続けている。「緊急事態宣言」延長によって、辛うじて人流の急拡大が防がれているのが現状である。3月下旬を迎えて、人流が季節的に拡大する時期に差し掛かる。このタイミングで緊急事態宣言が解除されれば、人流が急拡大することを避けるのは難しいだろう。
人流拡大が新規陽性者数増加となって表出するのは3週間後。4月中旬に明確な感染第4波確認に至る可能性は低くない。
菅内閣は五輪聖火リレー開始を強行して五輪ムードを煽ろうとしているが、この政策対応が4月、5月の新規感染者数急増をもたらすリスクが高い。菅内閣は有観客で五輪を開催しようとしているが、400万人が2週間の間に東京を目的地とする旅行を行う。Goto感染爆発になることを避けがたい。五輪終了とともに日本が「五輪終」というのでは笑い話にならない。
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昨年7月31日、厚労省発のプレスリリース。
『来年6月末までに6000万人分のワクチンの供給を受けることについて、 ファイザー社と基本合意に至りました。』
2021年1月20日、基本合意は一転します。
『新型コロナウイルスワクチンについて、年内に約1億4400万回(7200万人)分の供給を受けることについて、ファイザー社と契約等を締結しました。』
基本合意が正式契約となったら、「6月末までに6000万人分」が「12月末までに7200万人分」に変わりました。供給量は1200万人分増えたものの、納入期限が6ヵ月も先延ばしです。7月からのオリパラ対策やワクチン接種が遅いと風当りが強い政府にとっては不本意な契約でしょう。
この契約発表の翌日、政府内の混乱が露呈します。
2021年1月21日・午後、
坂井官房副長官 『今年6月までに必要な数量の確保を見込んでいる』
翌日・午前、
河野担当大臣 『情報の齟齬があり(坂井官房副長官の)発言を修正させていただく』『具体的な供給スケジュールは今の時点では未定』
河野大臣が官房副長官の発言を修正というとんでもない閣内不一致。ところが午後に、
河野担当大臣 『確保の「見込み」、確保を「目指す」というところ(の違いで)齟齬はないよねという確認をした。これはたいしたことではない。』
「見込み」と「目指す」ではまったく意味が違います。あったと言った齟齬をなかったと強弁し、閣内不一致を「大したことではない」と言い切る無責任さには呆れます。疑り深い筆者には、これはファイザー社との交渉で日本政府が押し切られた実態を隠蔽するために起きた混乱のように見えました。
ファイザー社は基本合意にある「6月末までに6000万人分」とは努力義務に過ぎないとし、納入期限の変更を日本政府にせまったのではないでしょうか。
ファイザー社は、供給能力をはるかに超えた世界各国からの需要に応えるため、EUにあるベルギー工場の製造ラインを増やす工事を決定します。このため春先までの生産能力は一時的に落ちざるを得ません。こうした中、感染のひっ迫度が圧倒的に高いEU圏への供給を減らすことは難しく、日本に納期延長を迫ったのではないでしょうか。菅政権にとっては、6月末の供給期限が12月末になれば世論の激しい反発は必至で致命的です。そこで世論の反発を避けるために6000万人分のところを1200万人分水増しして発表したのではないかと疑います。生産量不足に悩むファイザー社が日本への供給量を増やすのは考えにくい話ですし、安倍政権以降これくらいの嘘は日常茶飯事です。
しかも1200万人分の供給増は事実ではなくとも100%のウソでもない、と言い逃れるかすかな根拠がありました。12月下旬から、1瓶から注射5回分を取るのではなく注射器によっては6回分を取れるとわかってきたのです。韓国はこの時点で6回取り注射器を大量に発注したといいます。供給量は同じ6000万人分のままでもこれなら20%増しの7200万人に接種できます。菅総理の常套句なら「一方で7200万人分取れる可能性があるのも事実ではないでしょうか」ってことです。取れない可能性も事実なんですけどね。ともかく、このハッタリの結果ファイザー社は日本への供給量を1本も増やさずに期限を半年延ばすことに成功し、日本政府は7200万人分を確保と発表して批判の目先をかわし、というのが事実ではないか・・・5回取りから6回取りで+20%、1200万人分増、数がドンピシャピッタンコ、とても怪しい。これが筆者の疑いです。
[参考]<行政の無能?不作為?>ひと月でワクチン輸送機2機分が消える
状況証拠のような事実もあります。厚労省から自治体への12月中旬までの通知では5回取りの一般的注射器を使うとしていました。ところが正式契約する1月中旬の通知で6回取りの注射器を使うと変更します。そしてこの頃、韓国に出遅れること1ヶ月、厚労省は慌てて注射器メーカーニプロ社に6回取り注射器の在庫10数万本の供出を依頼し、2月に入ると月産50万本の供給とさらなる増産を申し出ます。しかしこの量では焼け石に水で、契約のほとぼりも冷めた2月9日の通知では5回取りの注射器使用に戻すと自治体へ連絡した、と「報ステ」が伝えています。
こうした疑いがゲスの勘繰りかどうかはこれからのワクチン供給状況で分かってくると思います。
3月9日現在、TBS系「ひるおび!」で報道されたファイザー社のワクチン供給予定を見てみます。すべて1瓶から5回取りの計算です。
・2月、3月の供給予定は約135万人分
・4月の供給予定は約428万人分
合計で約563万人分です。この先は未定ですが、おなじみの田崎史郎さんによれば5月、6月はドーンと入ってくるそうです。
政府は6月末までに高齢者3600万人に接種できる量を全国に配送するとしています。ならば先行接種4万人、優先医療従事者480万人を含めると6月末までに必要なワクチンは4048万人分です。
必要量が4048万人分、4月末までの供給は563万人分、これを差し引きすると、政府の発表を実現するには、5月と6月で3521万人分のワクチンが必要です。これは1日あたり58万人分、輸送機2機分です。これが毎日毎日ベルギーからホントに届くのでしょうか・・・認可待ちの他社製ワクチンも供給されるかもしれませんが・・・。
仮にワクチンが供給されたとして、3か月余りで4084万人、1人2回接種ですから8268万回の接種ができるのでしょうか。2月中旬にこんなニュースがありました。
イギリスは昨年12月8日にワクチン接種を開始。2月14日、1回目の接種を受けた人は1506万2189人に達したと発表した。開始から2か月余りで1500万人以上が1回目の接種を受けたことを、ジョンソン首相は「偉業だ」と称賛した。
1回目の接種というニュースですから人数分でカウントすれば750万人です。日本は4084万人ですから、同じ2か月余りでイギリスの5倍以上の接種を実行しなければ政府の言うスケジュールどおりにはなりません。これが実現できたら「偉業」どころか「ほぼ奇跡」です。もっともアメリカは1日あたり220万回の接種をしているそうですから、不可能ではないのかもしれませんが。
注射器について、テルモが7回取りの注射器を4月からの増産で年度内に2000万本を供給予定という朗報が。しかし平均すれば月産167万本、人数では84万人分です。一方、6回取りのニプロは現在月産50万本、数倍と言われる増産は9月以降です。この他インシュリン用の注射器とか、吸引時の工夫とかいろいろな報道がありますが、すべて合わせても残念ながら桁違いに数が足りません。逆に注射器の供給は国が行うようですから、多種多様な打ち方が混在するのは大混乱の元となりかねません。
昨今の政府は時にはほとんどウソでも、平気で口当たりのいいことを言います。それが実現できれば絶賛でしょうが、逆だったらコロナに疲れ果てた国民の失望感が爆発します。ワクチン接種スケジュールもテレビなどで発言するほとんどの識者が政府の言うとおりには実現できないだろうと言っています。実現できるかできないかで政府の感染対策も、経済政策も、オリパラ判断もまったく違ってくるはずでとても重大です。
もう過ちの先送りはやめて、ここは何事も正直ベースで事実を国民に示した方が良いのでは。国民は政府が思っているよりはるかに賢いので、その方が正しい方向へ進む確率は圧倒的に高いと思います。
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菅義偉内閣が発足して間もなく半年の時間が流れる。この間、内閣支持率は下落の一途を辿った。さらに内閣支持率が下落し、危険水域となる3割割れに移行しないよう、一部メディアが不自然な世論調査結果を発表し始めている。
日本経済新聞元経済部長でテレビ東京副社長(当時)の池内正人氏は、2010年9月14日に実施された民主党代表選に関して、インターネット上のサイト「あらたにす」に、次のように記述した。
「大新聞が得意の世論調査をやればいい」
「これが国政選挙の場合だったら、この種の世論調査は不可能だ。選挙法に触れるかもしれない。しかし一政党内の選挙ならば、規制する法律はないと思う」
2010年9月14日の民主党代表選は小沢一郎氏と菅直人氏による一騎打ちの代表選で、この選挙で小沢一郎氏が当選していれば、小沢一郎政権が誕生していた。日本政治の分岐点になったはずの選挙だ。池内氏の主張は、大新聞が得意の世論調査を実施して小沢一郎氏落選を誘導するべきだと解釈できるもの。このように解釈できる理由を池内氏が明言している。
池内氏は小沢一郎氏出馬について、
「仮に小沢氏あるいは鳩山氏が立候補するとすれば、重大な問題を引き起こす可能性がある。この両氏は「政治とカネ」の問題で、民主党の代表と幹事長の職を辞したばかりだ。もし当選すれば、そのまま総理大臣に選出される。特に小沢氏の場合は、首相になってしまうと検察審査会の権限も及ばなくなるという。国民は民主党の規約に口出しはできない。その間隙を縫って、一国の最高首脳が国民の手が届かないところで誕生する形になる。これは議会制民主主義の盲点かもしれない。」
池内氏は小沢氏を当選させないために、「大新聞が得意の世論調査をやればいい」と述べたと推察される。小沢氏と鳩山氏が民主党代表、幹事長職を辞したのは、西松事件の勃発で次期衆院選に悪影響が生じる懸念があり、その影響を排除することが理由だった。西松事件勃発に伴う引責辞任でない。小沢氏は無実潔白を明確に述べていた。しかし、メディアの攻撃によって次期衆院選に悪影響が生じるため、「筋を曲げて」民主党代表職を辞した。池内氏はメディアに身を置きながら、事実を正確に伝えず、誤導をもたらす発言を示した。
因みに、「西松事件」とは、西松検察関連の二つの政治団体「未来産業研究会」、「新政治問題研究会」からの寄附を事実通りに記載した政治資金収支報告について、検察が「虚偽記載」として小沢一郎氏資金管理団体の責任者を逮捕した事案だ。同じ事務処理を行った政治家資金管理団体は10以上存在したが、検察は小沢氏の資金管理団体だけを立件した。当時の漆間巌官房副長官が「この問題は自民党には波及しない」と発言して問題になった。
2010年1月13日の西松事件第2回公判で西松建設元取締役総務部長の岡崎彰文氏が、二つの政治団体に事務所があり、専従の職員が存在することを証言した。この瞬間に、小沢氏事務所の収支報告は正真正銘の適正な報告であったことが確定した。検察はその後、冤罪ねつ造を隠蔽するために、小沢氏資金管理団体による世田谷不動産取得の収支報告への記載が「虚偽記載」だとする無謀な犯罪創出に突き進んだが、この事案も明白な冤罪ねつ造であった。
閑話休題。
テレビ東京副社長による「世論調査を利用する」発言を見落とすことはできない。直近の世論調査から、日経新聞と読売新聞による、菅内閣支持率下落の流れを変えようとする人為的な匂いが立ち込める。五輪を有観客で開催することを支持する国民が多いかのような世論調査結果も極めてミスリーディングだ。そもそも、五輪を開催するべきでないと考える国民が全体の7割ないし8割以上だ。
怪しげな世論調査に惑わされることなく菅内閣の早期退場を実現しなければならない。
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第1便(2月12日)=64,350バイエル 接種386,100回
第2便(2月21日)=75,000バイエル 接種450,000回
合計で836,100回、418,050人分。これは1バイエル(以下は瓶と表記)あたり6回接種を前提とした数とだそうです。しかし、1瓶から6回分の薬液を採るには特殊な注射器が必要です。
すでにはじまった4万人ほどの先行接種はすべて1瓶から6回接種できる特殊な注射器を使っています。これは厚労省が1月末になって日本で唯一特殊な注射器を生産するニプロ社にアプローチし、2月はじめに出荷を受けたニプロ社在庫分10数万本です。ちなみに厚労省がニプロ社に以後の増産を依頼したのは在庫出荷後の2月第2週ごろのようです。
その増産について日経新聞は、『(ニプロの)タイにある工場の月間生産量は約50万本。9月ごろには1か月で数百万本の供給を目指して生産体制の増強に向けた検討を進める。』 (要約)と書いています。9月までニプロ社からは雀の涙ほどしか手に入らないということです。
一方で2月18日の化学工業日報という業界紙に 『テルモ、6回接種注射器、開発着手 』という記事がありました。
『FNシリンジは薬液がほとんど残らない構造。1瓶から6回分取れることが期待されるが皮下注射用で筋肉注射を想定していない。針を長くし筋肉注射に使えるように対応する。』 (要約)
日本の代表的な注射器メーカー2社のうち、ニプロは月産数百万本の増産準備に入ったが出荷は9月以降。テルモはこれから改良型を開発するという話。1瓶から6回接種できる注射器は世界中で奪い合いとなっているそうで、大量輸入は期待できず、テルモの改良型の完成時期と生産量が分からない現状では、しばらくの間入手できるのはニプロの月産50万本だけとなるようです。6回採り注射器の調達について河野大臣は、
「何とかしたいと思っているが今のところ意気込みだけだ」
とコメントは絶望的です。
すでに始まっている4万人への先行接種はテストランで、ほどなく医療従事者470万人への接種が始まります。おそらく使われる1瓶6回採りの注射器はニプロの月産分50万本で、1人に2回接種ですから25万人分です。470万人から25万人を引いた残りの445万人は1瓶5回採りの注射器を使うことになります。
1瓶6回採りの注射器なら445万人に接種できる量でも5回採りの注射器では370万人にしか接種できない計算です。注射器の違いにより差し引きなんと75万人分、ワクチン輸送機3機分以上が丸々消えてなくなるのです。これは医療従事者470万人の話で、当初4月初頭から始まるとされていた(河野大臣は4月中に開始と1ヶ月遅れる発言をし始めている)高齢者3600万人への接種ではワクチン輸送機何十機分が無駄になるのか・・・怖ろしいような話です。
政府は昨年7月にファイザー社との間で基本合意を交わし、
「2021年6月中までに6000万人分のワクチンの供給を受ける」
と公表しました。これを受けて政府は1瓶5回の一般的注射器を大量に発注しています。もし長い交渉の過程で「1瓶から6回接種」というカウントに気づかず、確認もしなかったのなら呆れるばかりです。厚労大臣は「接種回数ではなく「人数分」での契約だから大丈夫」との弁明をくり返しました。しかし「1瓶から6回接種でカウントする人数分」だったらまったく大丈夫ではありません。そうではなくて「1瓶から5回接種で6000万人分」という契約だから大丈夫というなら慌てる必要はないのですが、政府はとても慌てているように見えます。なぜこんなマヌケなことになったのでしょうか。
[参考]「与太郎総理」と「尾身のご隠居」 笑えないコロナ対策滑稽噺
特殊な注射器なら1瓶から6回分採れるとファイザー社が発表したのが12月だったという報道もあります。ならば厚労省は12月には知っていたことになります。その12月、韓国は自国注射器メーカーに大増産を依頼しています。
日本の厚労省はどうでしょうか。日本で唯一特殊な注射器を生産するニプロ社にアプローチしたのは1月の末。在庫分10数万本の入手が2月初旬。増産の依頼はさらにその後です。これはテレビのインタビューでニプロの担当者が断言していますから間違いありません。遅い!のひと言では。これに限らず、この1年間、政府、厚労省のコロナ対応はあまりにオソマツです。そして厚労省ばかりか政治、行政の劣化を思わせる信じられないような事が次々と起きています。なぜ劣化が起きたのか、いま話題の総務省接待問題は象徴的です。
ごく一般的な常識では電波行政を所掌する総務省の最高幹部が東北新社からの接待を受けるはずがありません。そのメリットはゼロ、リスクは巨大です。優秀な彼らが、タメ口で話す馴染みの菅正剛氏や木田社長が子会社の役員だと知らなかったという脇の甘い話もありえません。総務省最高幹部たちは安倍・菅政権の振る舞いに慣れ、堕し、緩んだとしか考えようがありません。
内閣が平気で虚言をくり返し、事実を隠し、無理を通せば、官僚もこれに倣います。公文書を改竄し、統計数字をねじ曲げ、保存すべきデータを廃棄しました。そんな忖度が高く評価され人事に反映されるなら真面目に仕事するのはバカげています。安倍・菅内閣の悪しき振る舞いが官僚たちのモラルを破壊し、仕事を劣化させ、それが数々の省庁の失態や懈怠となって噴出しているのが今です。あまりに深刻な政治家の劣化、行政の劣化により大きな損失を被るのは国民です。
必要な注射器を調達できないことで、ここひと月で輸送機3機分のワクチンが捨てられます。貴重な税金で購入した7200万人分のファイザー社製ワクチンですが、いったい輸送機何十機分を無駄に捨てることになるのでしょうか・・・。
これはほんの小さな一例です。日本は壊れつつあります。今すぐにでも声を上げて政治家と官僚の劣化を止めなければ、とんでもないツケを支払わされることになりますよ。
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東京五輪組織委は何も変わっていない。東京五輪組織委の最大の問題はこの組織がオリンピズムの根本原則から逸脱した非民主的な組織であるということ。森喜朗氏が女性蔑視、女性差別発言で引責辞任に追い込まれた。しかし、最後まで森喜朗氏は自己正当化に終始した。引責辞任しながら記者会見で説明責任を果たすことさえ放棄した。
後任会長選出に際して「透明性のある選出プロセス」を掲げながら、選考委員会メンバーを非公表、検討委員会討議内容を非公表というギャグのような対応を押し通した。スポーツ報知は組織委の非民主的な議事進行について委員の声を紹介した。
「組織委は森会長、武藤事務総長ら一部の方が、ほとんどのことを決めて、理事はその決定事項を会議で聞かされているという流れ。せっかく、様々な分野から集まってきているのだから、もっと意見の交換をすることが必要だと思う」
森喜朗氏は2月3日のJOC評議委員会で「女性が入ると会議が長くなる」、「組織委の女性はわきまえている」と述べた。会議で上層部が提示した提案にケチをつけるなということなのだ。NHK番組に出演して、政府の施策に対する市民の批判の言葉を紹介したところ、「いちいちケチをつけるもんじゃない」と言い放った自民党幹事長がいたが、これと同じ構図。組織委会長森喜朗氏と事務総長武藤敏郎氏らが密室で決定する。組織委会合は密室で決定したことを追認するだけのお飾りと化してきた。後任会長選出も初めから結論は保持されていた。
その初めから決まっている結論を導くために密室の「選考検討委員会」が設置された。オープンな議論を行う予定はもとよりなかった。橋本聖子氏は森喜朗氏直系の議員。森氏、武藤氏の言いなりになるロボット会長が創設されようとしている。
その橋本聖子氏にパワハラ、セクハラ問題がつきまとう。2014年のソチ五輪で日本選手団団長を務めていた橋本氏が、閉会式後に開かれた飲酒を伴う打ち上げパーティーで「高橋選手に抱き付いてキスをした」と報じられた。2014年8月20日発売の「週刊文春」が報じたもの。現場写真もネット上で流布されている。
キス強要であれば刑事事件に発展する可能性もある事案だった。東京五輪組織委員会のイメージは地に堕ちている。その修復は不可能な状況だ。組織委員会の最大の問題はオリンピズムの目的を正しく理解していないこと。
オリンピズムの根本原則
1.(前略)その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。
2.オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。
4.スポーツをすることは人権の1つである。 すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。(後略)
森喜朗氏は「コロナがどんな形でもかならず(五輪を)やる」と述べた。この発言がオリンピズムの根本原則に反することは明白。
「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」がオリンピズムの目的と明記されている。「世の中がどうなろうと五輪を開催する」との姿勢は、オリンピズムの目的を全否定する暴言だ。この森喜朗氏が自分自身の責任について説明責任も果たさずに辞任した上で、自分が影響力を及ぼせる人物を後任会長に据えようとしている。
東京五輪組織委員会の姿勢に日本の主権者全体がNOを突き付ける必要がある。残念ながら東京五輪開催の気運は完全消滅したと言うほかない。
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五輪は誰のもの。五輪は政治権力の私有物でない。スポンサー企業の私有物でもない。アスリートの私有物でもない。五輪は国民のもの。なぜなら五輪開催費用を負担するのが主権者である国民だからだ。東京五輪は「コンパクトな五輪」として招致活動が行われた。1990年以降、日本経済は長期停滞を続けてきた。
しかし、これもウソ。ウソで塗り固められた「悪魔の五輪」。
2012年12月に第2次安倍内閣が発足して自称「アベノミクス」が展開されたが結果は無残なものになった。2013年1~3月期以降の日本の実質GDP成長率(季節調整済、前期比年率、%)の単純平均値は+0.4%。東日本大震災、フクシマ原発事故が発生して日本経済が暗闇に包まれた民主党政権時代でも実質GDP成長率単純平均値は+1.6%だった。
アベノミクス下の日本経済がいかに悲惨な状況であったのかを示す客観的データだ。人々の暮らしに直結する最重要の経済指標は一人当たり実質賃金。一人当たり実質賃金は2013年7月から2020年7月までの7年間で8%も減少した。日本は主要国で最悪の賃金減少国になった。多くの中間層が下流に押し流された。
国税庁の民間給与実態調査によると、1年を通じて働いた給与所得者の21%が年収200万円以下、55%が年収400万円以下である。格差は拡大し、市民は日本経済の長期停滞にあえいできた。安倍内閣、菅内閣が推進する労働市場の規制改変は、大資本の労働コスト削減要請に応えるもの。「働き方改革」ではなく「働かせ方改悪」が推進された。
長時間残業の合法化
定額残業させ放題プラン労働の拡張
低賃金外国人労働力の輸入拡大
正規・非正規格差の温存
解雇の自由化
などの措置が推進されてきた。働く市民にとって何よりも重要なことは、時間当たり賃金の増大と雇用の安定だ。しかし、最低賃金の引き上げはほとんど行われていない。最低賃金を全国一律で1500円に定めれば、年間2000時間労働なら年収300万円が保障される。現在の最低賃金は792円(/1時間)。2000時間働いても年収は158万4000円にしかならない。
さらに庶民の生活を圧迫しているのが消費税大増税。所得税は所得の少ない個人の課税額がゼロになるが消費税は違う。所得の少ない人は収入の全額を消費に充てざるを得ない。そこから根こそぎ10%のお金が巻き上げられる。10億の収入がある人が1年に1億円消費するとき、収入に対する税負担率は1%になる。庶民を苦しめ、富裕者に極めて優しいのが消費税の特徴だ。
1989年の消費税導入以降、消費税で400兆円のお金が巻き上げられた。その一方で法人税が300兆円、所得税が275兆円減免された。消費税収のすべてが富裕層と大企業の減税に回された事実を多くの国民が知らない。菅内閣の感染拡大推進策によってコロナ感染が爆発した。多くの庶民が、コロナに感染しても入院も宿泊療養施設での保護もされず、放置され、死に至らしめられている。
7月までにコロナが収束する可能性はゼロ。主権者である国民の8割以上が2021年の五輪開催に反対している。日本が国民主権の国であるなら、五輪についての結論は確定している。米国もバイデン政権が誕生してコロナ感染抑止を最優先課題に位置付けた。米国は五輪に参加しないと思われる。速やかに五輪開催中止の決定を行うべきだ。
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落語で観客から見て右側は上手、左側は下手です。必ず上位者を上手に置いて演じるのでご隠居と与太郎ならば上位者のご隠居が上手、与太郎は隠居の左側、下手にいます。
1月7日緊急事態再宣言記者会見での2ショット、下手・与太郎サイドに菅総理、上手・ご隠居サイドに尾身茂分科会長が立っていました。テレビなどでは上下原則はルーズなので別に気にすることもないのですが、会見が進むにつれて「この二人の関係は与太郎とご隠居じゃないか」と思えるような展開になってきたのでした。
記者の質問にまず菅総理が短く説明をし、「詳しくは尾身さんから」とすぐに尾身会長に話を振るというパターンが繰り返されました。それだけでも、情けねえ、という印象は否めないのですが、お偉方の言いなりだなんて陰口も聞こえるご隠居ポジションの尾身会長は、さすが老獪に菅総理をあしらい、与太郎サイドの菅総理はそのあしらいに気づかない?という、まさに与太郎滑稽噺の一場面を見せられているような気がしてきたのです。もちろん笑えない噺ですが。
それが会見ではっきり見えたのが2月7日までの1ヶ月という緊急事態宣言期間の話です。冒頭発言で菅総理は「1ヶ月後には必ず事態を改善させる」とミエを切ったのですが、記者から宣言解除の条件について問われると「仮定のことについては答えは控えさせていただきたい。何としても1ヶ月でという思いで・・・」とトーンダウンし、すぐに「1ヶ月で収束するかといった見通しなどは尾身会長の方がよろしいと思います」とご隠居ポジションに振って逃げちゃったのです。
しかし、この前々日、尾身氏は「1ヶ月で下火にするのは至難の業、それが3月、4月か分かりませんけど」と語り大きく報道されていました。菅政権はこの発言を無視する形で1ヶ月と決め、菅総理はその上で話を尾身氏に振ったのですから、尾身氏は二日前の発言を修正するものと思われたのですが、そこはご隠居、与太郎にひれ伏したわけではありませんでした。
尾身のご隠居「1ヶ月で感染を下火にして、ステージ3に近づきたいと思ってます。私どもは、その近づくための条件が4つ、私はあると思っています」として以下の4つの条件を挙げました。
1.具体的な、強い効果的な対策を打つこと
2.国と自治体が一体感を持って明確なメッセージを国民に伝える
3.できるだけ早く(特措法の)改正をして経済支援などとひもづける
4.国民のさらなる協力を得る
これは実に奇妙な発言です。この記者会見で菅総理は国民に向かい、効果的な対策?を示し、明確?なメッセージを伝え、法改正を急ぐとし、国民に協力を求めたばかりです。ところが尾身のご隠居の文言は国民に向かってではなく菅・与太郎政権に向かって実現のための条件を突き付けている文言なのです。与太郎さんにもわかるように言い換えれば、尾身のご隠居は与太さんに向かってこう言っています。
「与太さん、お前さんたちは強い手を打ってないし、あんたらお上のご意向は世間に伝わっていないじゃないか。法の改めも遅れてるし、こんな事で世間が動いてくれるのかい?」
そして尾身氏はこう結びました。
「私は、今申し上げた4つの条件を満たすために日本の社会を構成するみんながしっかりと頑張れば、1ヶ月以内でもステージ3に行くことは可能だと思っています」
「日本の社会を構成するみんな」とは一般の国民ばかりでなく、行政のリーダーたちを指していることは2日前の尾身会見で明らかなのです。
「国や自治体のリーダーは選挙で選ばれた人たちですよね。自分らも汗をかく。自分らも難しいことをやる、いろんな措置をやる、経済的支援をやる。自分らも汗をかく、だから一般の人もやってくださいというメッセージがないと…このことが私は極めて重要だと思います」
尾身のご隠居は短い文言中に「自らも汗をかく」を2度くり返し、明らかに菅・与太郎総理に向かって厳しく叱咤激励しているのですが、菅総理は自分への叱咤だと気づいたのかどうか。
これと似たようなことがもうひとつあります。宣言の解除条件です。解除に前のめりな政府はステージ3とか東京の新規感染者数が日に500人とかのきわめてゆるい条件をさかんにアピールしています。尾身氏は2日前の会見ですでにこの点にも触れていました。
「緊急事態宣言によりすみやかにステージ3に下げ、宣言解除後もステージ2までは対策を続けることが重要です」
宣言を解除してもステージ2まで対策を続けなければ意味がないと菅総理に説いているのですが、これも与太さんに届いているのかどうか。落語の世界で粗忽者の象徴が与太郎ですが、じつは与太郎はまるっきりの馬鹿ではありません。正直で隠しごとのできない町内の愛されキャラで、時にはけっこう賢く立ち回る役割なのです。怖れ多くも天下の総理大臣を与太郎に準えてきた非礼をお許し願いたいのですが、そうした与太郎に学ぶところがないわけでもないと感じるのです。
菅総理は言葉が流暢ではありません。論理的な説明や感情表現もお上手とは言えません。時に「何言ってんだかわんない」状態です。だから説得力に欠けます。さらに決定的なのは安倍政権の官房長官だった菅総理に対する国民の信頼が薄いことです。安倍・菅政権は理不尽な無理筋通しを続けました。それを何とか言い逃れても国民は納得したわけではありません。そのたびに信頼は確実に削り取られて来たのです。この不信感の蓄積が二人を襲っています。信頼されない総理に説得力はなく、このままで菅政権のコロナ対策が成功することは困難でしょう。
そこで起死回生、ここは一番、与太郎に倣って「馬鹿正直」でやり直したらどうでしょう。すべての事実をぶっちゃけて、町内の若いもんから「しょうがないね与太は、なんでも洗いざらい言っちゃおしまいだよ」なんてからかわれているうちに、「与太の言うことにウソはないよ、腹に悪い了見なんぞこれっぽっちもねえんだから」てなことになって行きます。
昨春以降のPCR・医療・保健所体制の強化失敗、GoToこだわりの弊害、第3波対応の遅れ、無謀な五輪への固執、ワクチンだって順調に進んでも集団免疫を獲得するには1年2年かかるのがホントの話。国民の多くはそう思っています。もう謝るところは謝り、事実とエビデンスをすべてぶっちゃけて出直したらどうですか。
コロナ対策に成功した台湾のオードリー・タン氏を取り上げたTBS「報道特集」の中で、「徹底した透明性と公開性」により台湾政府が信頼され、市民の強い協力を得てコロナを克服したとしています。信頼とは口先ではなく徹底した透明性と公開性で獲得するものです。その上で、信頼されるリーダーにより人々の気持ちがまとまることがコロナ対策の要諦と尾身のご隠居も多くの方々も言っているのですが、肝心要の与太さんには届かない話なのかもしれません・・・。
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「ちょっと何言ってんのかわかんない」はサンドウィッチマンのネタですが、菅総理の「ちょっと何言ってんのかわかんない」話の数々を聞いているうちに医療ばかりか日本社会が崩壊しそうな気配になってきました。
菅総理の「わかんない話」にはいろいろなパターンがあります。まずは言葉そのものが何言ってるのか聞き取れないパターン。1月10日NHK「日曜討論」での発言。
「政府と与野党の協議会というのがありまして、まあ、キセスベキケントウ、シンチョウスベキ、ケンチョナガアリマス」
なんどもくり返して聞き直しましたが、筆者にはカタカナ部分は理解できませんでした。わかりますか?
次に言葉はわかるものの、その意味がとれないパターン。同じ番組で緊急事態発出後の「人出の状況をどう評価しているか?」と聞かれて、
「まだ始まったばかりでありますから、最初はやはりテレワーク7割減と私もお願いしました。しかし休みの前の打ち合わせ等がありましたのでそこは下がっていますけど、思ったほどではなかったのですが、今はかなり大丈夫だろうと思っています。」
これを何度も何度も聞き直したところ、おそらく以下のような意味の文言ではないかと。
「最初はテレワーク7割減とお願いしました。その時はまだ始まったばかりで休みの前の打ち合わせ等がありましたので、実行割合が低く、期待したほどではなかったのですが、今はかなり実効割合が上がって大丈夫だろうと思っています。」
自民党の方が「菅総理は語彙が少ないので説得力がない」と言ったそうですが、語彙よりも話の構成、ことばの並びがメチャクチャなことがわかりにくい要因でしょう。放送を視ながら素直に理解できた視聴者はほとんどいなかったのではないかと思います。どうしてこの時にこういう趣旨の発言をするのか、という意味で「ちょっと何言ってんのかわかんない」パターンも多々あります。
1月4日年頭記者会見。感染者が激増し、2度目の緊急事態宣言発出について菅総理は江川紹子さんの質問にこう答えました。
「どこが問題かということはかなり明確になっていますので、(飲食に)限定的に、集中的に行うことが効果的だというふうに思っています」
せっかくの緊事宣言という切り札を切って国民の危機感を高めようとするはずが、限定的、集中的にと言葉を弱め、アピール効果を薄めてどうすんの、っていう話です。さらに1月7日再緊急事態宣言発出の記者会見、菅総理の冒頭発言です。
「期間は1か月です。第1に飲食店の20時までの時間短縮、第2にテレワークによる出勤者数7割減、第3に20時以降不要不急の外出の自粛、第4にスポーツ観戦、コンサートなどの入場制限であります。」
この4点を対策パッケージとし、飲食店の営業時間短縮が対策の急所と語りました。4点パッケージには昼間の外出自粛要請4県境を越えての往来の自粛などは含まれていません。なぜこんなにユルーイ対策なのか、何のための宣言で何がしたいのか「ちょっと何言ってんのかわかんない」です。
ところが、菅政府は強い批判を浴びて翌週には、「昼間の外出自粛要請をしていないというのは国民の誤解だ」と言い出しました。「第3に20時以降不要不急の外出の自粛」としか言っていないのでから絶対に国民側の誤解ではありません。誤解だなんて「ちょっと何言ってんのかわかんない」発言です。
さらに県境をまたいでの往来自粛要請についても、分科会の一部の専門家は「今回の宣言の中に含めるよう強く主張し、認めれて宣言に含まれている」とテレビで公言しました。しかしなぜか4点パッケージにはありませんし、政府側から宣言の中にあるという話は聞こえてきません。まったくもう「ちょっと何言ってんのかわかんない」状態がひどすぎます。
とにかく政府と国民の間のコミュニケーションがとれていません。これほど菅政府の言うことが「ちょっと何言ってんのかわかんない」状態では感染抑制が進むはずもありません。いまや菅政権のやることなすことすべて裏目裏目の連続で国民の信頼は地に落ち、医療崩壊とともに政権崩壊状態です。こんな状態に筆者はかなり怖くなってきました。大げさではなく日本社会の崩壊すらも視野に入ってきたのではないかと感じたからです。
若者たちは感染しにくく重症化リスクも低いので医療崩壊など怖くないのかもしれません。しかし、医療崩壊を越えて日本社会が崩壊したら、あるいは日本社会の未来が大きく傷ついたら、その影響を真っ向から受けるのは老人ではなく若者です。
コロナに注ぎ込んだ何十兆円という膨大な予算のツケはいずれ誰かが支払わなければなりません。経済力が落ち込めば様々な社会サービスは低下し、世界とはマイナスハンデの競争を強いられます。コロナ禍が強く長く続けば、その分だけ若者は近い未来に過酷な重荷を背負うことになるのです。
コロナなど自分には関係がないと行動を変えない若者のみなさん、そのことでひどく傷ついているのは実は自分たちの未来だとは思いませんか。しかしそうは言っても、きっと若者にはこう言われるんでしょうね・・・。
このジジイ「ちょっと何言ってんのかわかんない」
老兵は消え去るのみ、傷ついた世の中に残ってツケを払うのはあなた方若者なんですがねぇ。
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菅義偉首相が国会での説明から逃げ回るなら直ちに首相を辞任するべきだ。
11月に感染拡大が鮮明になった。11月12日に国内の新規陽性者数が3ヵ月ぶりに過去最高を更新して1660人になった。11月18日には新規陽性者数が初めて2000人を超えた。東京のGoToトラベルが始動したのが10月1日。その影響を順当に反映して新規陽性者数が急増し始めた。
11月18日の会見で日本医師会の中川俊男会長は「GoToトラベルが感染者増のきっかけになったことは間違いない」と明言した。11月20日には菅内閣のコロナ対策分科会会長の尾身茂氏がGoTo見直しを提言し、「英断を心からお願いする」と述べた。
しかし、菅義偉首相は12月14日にGoToトラベルの全国一時停止を発表するまで何もしなかった。何もしないどころか、11月21日からの3連休に全国各地に人が移動するGoToを全面推進した。11月25日から「勝負の3週間」と唱えたが、実態は「感染拡大推進・勝負の3週間」だった。
GoToの人出急拡大を受けて12月中旬から新規陽性者数の拡大に歯止めがかからなくなった。12月11日のニコ動に「ガースーです」と自己紹介して登場した菅義偉首相はGoToトラベル一時停止について「そこはまだ考えていません」と述べた。
ところが、12月13日発表の毎日新聞世論調査で不支持率が支持率を上回ったことを受けて12月14日に突然のGoTo全国一時停止を表明。しかし、その足で向かったのは銀座での高齢者8人によるステーキ忘年会だった。国民には5人以上の会食を控えるように要請しておきながら、自分は8人での忘年会に参加した。しかし、GoTo一時停止を12月14日に表明しながら、実施は12月28日だった。12月27日まで全国で「駆け込みGoTo」が沸騰した。北陸地方では12月28日までズワイガニ相場が異常高騰を示した。
すべてはGoTo狂騒曲によるもの。12月31日に東京都の新規陽性者数が1000人を超えた。首都圏1都3県の知事が1月2日に緊急事態宣言発出を要請した。このときも菅義偉首相は自分で対応せずに裏に隠れた。支持率がさらに急落することを恐れて、1月4日になって緊急事態宣言発出の「検討に入る」ことを表明したが、このときには1月9日からの実施とする腹積もりだった。1月6日の全国の新規陽性者数が6000人を超えた。GoToで日本全国にウイルスをまき散らしたことに伴う順当な結果だ。
1月7日に菅内閣が緊急事態宣言を発出するにあたり、国会は政府から事前報告を受けることを決めた。国会では1月7日、衆参両院で議院運営委員会を開き、政府からの報告を受ける。時間は各院それぞれ40分。野党は菅義偉首相の出席を求めたが、自民党が拒絶した。例によって森山裕自民党国対委員長と安住淳立憲民主党国対委員長が協議して決めたが、なぜ、安住氏は自民党の言いなりになるのか。
国民が緊急事態に直面している。菅義偉首相が強引に主導したGoToトラベル事業が国民の危機を創出した。菅首相が出てきて説明するのが基本の基本。都合が悪くなると姿をくらまして部下に説明を押し付ける。さすがは令和版インパール大作戦首謀者だ。
しかし、与党の言いなりの安住淳氏も更迭されるべきだ。重大事案であり、衆参両院で2時間ずつ時間を確保して、野党による質疑を行うべきだ。GoToEatと叫んでいた菅義偉首相が一転してDon‘tEatと叫んでいる。国会が菅義偉氏に厳しく問いただすことは当然でないのか。
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菅内閣の能力不足が日本の市民を不幸に陥れている。東アジアのコロナ被害は相対的に軽微だ。中国、台湾、韓国、日本を比較してみる。
人口100万人当たりコロナ死者数は以下だ。
台湾:0.3人
中国:3人
韓国:19人
日本:29人
欧米では、
ベルギー:1700人
イタリア:1253人
英国:1108人
米国:1091人
日本の人口当たりコロナ死者数は欧米比では30分の1から50分の1だが、中国の10倍、台湾の100倍だ。コロナ感染抑止のための菅内閣政策対応が後手後手だ。国内の新規陽性者数が1660人になり、3ヵ月ぶりに過去最高を更新したのが11月12日。11月18日には新規陽性者数が初めて2000人を超えた。
東京がGoToに組み込まれたのが10月1日。人の移動拡大が3週間後の新規陽性者数拡大につながる。この関係を順当に反映して新規陽性者数が急増した。11月20日にコロナ対策分科会が感染拡大地域のGoTo見直しを提言。
「英断を心からお願いする」
と述べた。しかし、菅内閣は11月21日からの3連休の人出拡大を意図的に放置した。感染抑止よりも旅行業界への利益供与を優先したのだ。札幌、大阪、遅れて東京でGoTo見直しが行われたが、すべて、それら地域を目的地とする旅行だけの停止で、これら地域を出発地とする旅行は停止されなかった。
11月21日からの3連休の人出拡大を背景に12月中旬から新規陽性者数が急増した。12月12日には全国の新規陽性者数が初めて3000人を突破した。このなかで菅義偉首相は12月11日にニコ動に出演。「ガースーです」と自己紹介し、GoTo一時停止について問われると、「そこはまだ考えていません」と答えた。
12月12日に新規陽性者数が3000人を超え、12月13日発表の毎日新聞世論調査で内閣支持率が40%に急落する一方、不支持率が49%になって支持、不支持が逆転した。世論調査結果を受けて菅首相の態度が急変。12月14日にGoToトラベルの全国一時停止が表明された。
しかし、菅首相はその発表後に銀座で開かれた8人でのステーキ忘年会に参加。GoToの一時停止も12月28日からの実施とされた。感染拡大を放置すれば影響は幾何級数的に拡大する。2週間後の実施という判断に菅内閣の驚愕の「のろさ」が表れている。
12月31日、東京都の新規陽性者数が1300人を超えた。これを受けて1月2日に首都圏1都3県知事が緊急事態宣言発出を要請した。菅首相が対応することは可能だったが、表に立たなかった。しかし、内閣支持率がさらに急落することは必至で、この点に思いを致したのか、1月4日になって緊急事態宣言の検討に入ることを表明した。12月28日から実施した外国人の入国制限も、もっとも数が多い、感染状況が落ち着いている国・地域を対象にした、
1.出張などの短期滞在者を2週間待機免除で受け入れること
2.駐在員や技能実習生などの中長期滞在者を2週間待機付きで受け入れること
を除外したものだった。菅首相は「先手先手」と自画自賛したが、ザルの入国規制だった。1月7日に発出されると見られる「緊急事態宣言」もザル宣言になる可能性が高い。単なる「夜8時以降の飲み会禁止」宣言に過ぎないものになる可能性が高い。相変わらず「戦力の逐次投入」で、「戦略失敗の認定と撤回」が行われない。
菅中将のインパール大作戦は大失敗に終わり、菅中将は責任を明らかにする必要が出てくる。それでも菅中将は、「作戦は私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した」と言い張るのだろうか。
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安倍首相が国会で完全虚偽の答弁を繰り返していた。国会では安倍首相が関与するスキャンダルのオンパレードだった。国会自体が安倍スキャンダルの総合商社の様相を示した。森友、加計、桜のトリプル疑惑。河井案里氏の参議院議員選挙の際には安倍事務所の要員が選挙活動を仕切っていたと伝えられている。
河井克行・案里夫妻は公職選挙法違反で起訴され、公判で審理が行われている。さらに、安倍晋三氏自身が暴力団関係者に面会して選挙妨害を依頼したとの疑惑も存在する。2017年2月17日の衆院予算委員会で福島伸亨衆議院議員の質問に対して安倍晋三氏が、
「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、(中略)私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」
と答弁して以来、国会審議の大半は安倍スキャンダルに充当されてきたと言って過言でない。すべての疑惑は、いまなおまったく解消されていない。このなかで、いまから1年余り前の2019年11月の参院予算委員会で日本共産党の田村智子議員が桜疑惑について問いただした。政府主催行事の「桜を見る会」に安倍首相が後援会関係者を多数招待しているのではないかと追及したのだ。
これを契機に桜疑惑も一気に拡大した。政府主催行事であるにもかかわらず、安倍首相が自分自身の後援会関係者を多数招待していることが判明した。後援会関係者は大挙して上京し、桜を見る会の前夜には、全日空ホテルやホテルニューオータニで大規模な前夜祭が開催されていた。その前夜祭の参加費が一人5000円であることが明らかになり、常識をかけ離れた低価格にも疑問が集まった。
国会答弁で安倍首相は、
*前夜祭について安倍事務所が関与していないこと
*前夜祭の契約は参加者各個人とホテルとの契約によるもので、安倍事務所は無関係であること
*参加費はそのままホテルに手渡され、ホテルから個々の参加者に領収書が手交された
*安倍事務所とホテルとの間では見積書の交付も請求書、領収書等のやり取りも一切なかったこと
などを繰り返し説明した。ところが、これらの安倍晋三氏の国会答弁がすべて真っ赤なウソだったことが判明した。ホテルと契約したのは安倍晋三氏が代表を務める政治資金管理団体の「晋和会」だった。
前夜祭に参加した後援会関係者が1人5千円の会費を支払い、後援会の収入、支出は一切ないという、安倍氏の説明は虚偽で、安倍氏側が毎年200万円前後を補填していたこと、ホテルは後援会でなく安倍氏の資金管理団体である「晋和会」に領収書を出していたことなどが検察の捜査で判明した。
東京地検特捜部は安倍氏の公設第一秘書で後援会代表の配川博之氏らから事情聴取をしており、年内にも政治資金規正法違反の罪で略式起訴する方針だと伝えられている。「晋和会」の責任者である安倍晋三氏は違法行為について認識していなかったことにして、秘書が略式起訴され、安倍晋三氏は不起訴になると報じられている。
その安倍晋三氏を国会に招致することが検討されていることも報じられている。重大な犯罪が秘書の略式起訴、責任者の無罪放免、かたちばかりの国会での陳述で済まそうというストーリーが公然と流布されている。こんな国民を愚弄する決着が許されてよいわけがない。まず注目しなければならないのは立憲民主党の対応だ。いつものように国対委員長の安住淳氏が登場している。
安住淳氏は12月18日、「総理を辞めて3ヵ月後に東京地検特捜部の捜査対象になっている。虚偽答弁がずっと残ることになったら、憲政史上の汚点だ」とした上で、
「責任の重さを考えれば、今年中に実現するのが当然のこと」
「最低限、国民の皆さんが生でその一挙手一投足を見られる形にしなかったら国会に来る意味がない」
と発言した。
「言うだけ番長」とならぬよう、安倍晋三氏の予算委員会への招致が最低限必要だ。安住氏がいつものように森山裕自民党国対委員長の言いなりにならないか、監視が必要だ。
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共同通信社が12月5、6日に実施した全国電話世論調査で、菅内閣の支持率が前回11月調査から12.7%ポイント急落の50.3%になった。
また、政府の新型コロナウイルス対策を「評価しない」が55.5%、感染防止と経済活動のどちらを優先すべきかの問いに対して、「どちらかといえば」を含め「感染防止」と答えた人が76.2%になった。
「桜を見る会」疑惑に関して、安倍晋三前首相の国会招致を求めるが60.5%、政府による再調査を求めるが57.4%になった。
安倍首相は桜疑惑や河井克行夫妻事件で追い詰められて、疑惑から逃亡するために病気退陣を演出した。メディアがこの三文芝居をもっともらしく報じたために安倍首相辞意表明後に内閣支持率が上昇した。さらに、菅義偉氏を苦労人宰相として持ち上げる報道が展開されたために内閣発足後の支持率が高く表示された。もとより、主要メディアの世論調査の信用度は著しく低い。世論調査結果は質問文の作為によって誘導可能だ。また、集計が適切に行われている保証もない。
それでも、同一社の世論調査結果の時系列推移にはある程度の実態が表れることが多いだろう。この意味で菅内閣の支持率急落は注目に値する。新聞を購読する者が激減している。インターネット上にニュースが配信されるため、多くの国民はインターネットからニュースを入手することが多い。この意味で、インターネット上の報道ニュースのポータルサイトの影響が極めて大きくなっている。
多くの市民がグーグルニュースやヤフーニュースを閲覧し、ここからニュースに関する情報を入手する。この現状を踏まえて、メディアコントロールを強める権力はインターネット上のポータルサイトに対する影響力を強化している。ポータルサイトがトップページにどのような記事を見出しとして掲載するのかが極めて重要な意味を持ってくる。大手のポータルサイトは巨大資本が運営しており、この資本の属性が情報表示に強い影響力を発揮する。菅内閣が発足した直後に共同通信の世論調査で内閣支持率が急落したことは最大のニュースである。
ところが、この特大ニュースがポータルサイトのトップ画面に表示されない。典型的なインターネット上の情報操作だ。桜疑惑で安倍晋三元首相が検察の聴取を受けることも報じられている。元農水相の受託収賄疑惑も表面化した。まさに菅内閣は発足直後から重大危機に直面し始めている。だからこそ、内閣支持率急落の情報は極めて重大である。その重要情報を隠蔽する意図がくっきりと浮かび上がる。
週末に渡部建氏の記者会見を主要メディアが時間を割いて報道したが、安倍元首相問題、菅内閣問題から目を逸らすための「スピン」の色彩も強い。
菅内閣の支持率急落は順当。想定されたとおりの現象。最大の問題は菅首相が国民に対する説明責任をまったく果たさないこと。記者会見を開かない。記者会見を開いても自由な質問を許さない。質問を事前に確認して官僚が答弁を用意する。菅首相はそれを朗読するだけ。LeaderでなくReaderにすぎない。
答弁の用意されていない質問に対して「自助」で答えることができない。菅内閣はコロナ感染症を第2類相当プラスに区分している。もっとも強い警戒を必要とする感染症に区分している。その下で感染を全国に拡散するGoToトラブルキャンペーンを展開していることは完全な自己矛盾。新規陽性者数が史上最高値を更新するなかで、専門家が人の移動を抑制する必要があると提言を受けながら、GoToを見直さない。
記者会見での自由な質問に応じることは、国民に対する説明責任を果たすこと。説明責任を果たさずに自分の独断を押し通す。官房長官時代からの横暴な態度を一向に改めようとしない。菅内閣が崩壊する大きなチャンスが接近している。この千載一遇のチャンスを生かさない手はない。
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大相撲11月場所は大関の高景勝が優勝決定戦で小結の照ノ富士を押し出しで破り、2度目の優勝を果たした。2横綱2大関が休場する異常事態の下、高景勝が大関の重責を果たし、見事に優勝を決めた。
小結の照ノ富士は本割で高景勝を浴びせ倒しで破ったが、優勝決定戦で敗北し、3度目の優勝を逃した。勝利した高景勝は優勝インタビューで、優勝を決めた瞬間に感無量の表情を見せたことについて、
「1人では優勝できなかった。調子が悪い時でも懐で守ってくれた千賀ノ浦親方、おかみさんはじめ、皆さんのおかげで結果を残せた」
と語った。
敗れた照ノ富士は優勝を逃して悔しいとしながらも、今場所について、
「悔いはまったくない。決定戦では悪い部分がでてしまった。体が高かった。」
と冷静に敗因を見つめていた。高景勝、照ノ富士ともに大きな怪我に見舞われ、厳しい局面を克服しての現在の状況だ。とりわけ照ノ富士は大関に昇進後に怪我に見舞われ、序二段まで番付を下げた上での現在の快進撃である。3度の手術で洋式トイレに自力で座れないほどの状態だったといい、引退を決意したことが何度もあったそうだが、伊勢ヶ濱親方に説得されて現役続投を選んだという。
両名とも話す言葉が謙虚で、強者の風格を示している。横綱白鵬と天と地の開きがある。天が与えた試練が人間を大きく育てる姿が示されている。高景勝にしても照ノ富士にしても困難を克服してきた者が示す風格が備わっている。相撲は単なる格闘技ではなく相撲道というひとつの「道」である。腕力と傲慢と怠惰が幅を利かす風潮に大きな一石を投じたと言える。
さて、GoToトラブルキャンペーンが文字通りのトラブルに迷い込んだが、主因は菅義偉首相の支離滅裂にある。報道特集の金平茂紀氏は「馬鹿な大将敵より怖い」というある財界人の言葉を紹介したが、この言葉が現実化している。政府は新型コロナを第2類相当指定感染症に区分した。その後、追加措置を決定し、一部の取り扱いは第1類感染症に準拠したものになっている。
1類と規定されているのはエボラ出血熱やペスト。
2類は結核やSSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)
3類はコレラや細菌性赤痢
菅内閣が新型コロナを第2類相当と区分していることは、この感染症を最大の警戒を要するものと位置付けていることを意味している。この前提に立つなら、政府が取り組むべき第一の課題は感染抑制、感染収束である。経済活動を維持することは重要だが、優先順位としては、まず感染抑止が優先され、このことに支障が生じない範囲での経済活動維持ということになる。
GoToトラブルキャンペーンをもっとも積極的に推進してきたのが菅義偉氏である。GoToトラブルキャンペーンを全面展開してきたことは、取りも直さず、新型コロナの感染を日本全国に拡散することを意味する。そしていま、順当に日本全国に感染拡大が進行している。
人の移動と新規陽性者数推移に明瞭な連動関係が観察される。注意が必要なのは人の移動がタイムラグを伴って新規陽性者数確認につながること。タイムラグは約3週間と判断される。GoToトラブルキャンペーン全面推進がタイムラグを伴って新規陽性者数の急拡大を生んでいる。
このことについて、
テリー伊藤氏は「『Go To キャンペーン』だけが悪者になっているような気がする」と発言、
杉村太蔵氏は「『Go To トラベル』で救われた命もかなり多いんだろうなというのが僕の考え。菅総理もおっしゃっていましたけど、旅先で感染した方は4000万人の利用者に対して176人だった。」
と述べる。
こうした太鼓持ち要員に画面を占拠させているのが現在の御用メディアの実態だ。安倍内閣はGoToトラブルキャンペーンを全面推進する際に東京都を除外した。この運用を指揮したのは菅義偉氏であると見られている。都道府県に区分してGoToトラブルキャンペーンの運用を支配してきたのは政府である。どの地域のGoToトラブルキャンペーンを一時停止するのかを決めるのが政府でなければ整合性が取れない。支離滅裂菅内閣は発足直後から窮地に追い込まれている。
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菅内閣は新型コロナ感染症の感染拡大を推進している。最大の要因はGoToトラブルキャンペーン。人の移動と感染拡大は明瞭にリンクする。人の移動指数推移と新規陽性者数推移は約3週間のタイムラグを伴って連動する。
また、季節性も影響する。冬期は気温と湿度が低下する。室内換気も悪化する。このために、冬期に感染が拡大する傾向がある。日本における陽性者数拡大は必然の結果だ。菅義偉首相が「感染拡大防止に全力をあげる」と発言する意味が不明。「感染拡大推進に全力をあげている」と発言するべきだ。他方で、菅内閣は新型コロナ感染症を第2類相当指定感染症に区分している。極めて危険の大きい感染症として新型コロナ感染症を位置付けている。この区分に位置付けながら感染拡大を推進するのは「殺人行為」だ。
現状の運用は陽性者の隔離、全数調査、濃厚接触者追跡などを義務付けている。このまま進めば医療崩壊は確実だ。菅内閣は感染拡大防止と経済活動維持の両立が必要だと唱える。その理由から、GoToトラブルキャンペーンを中止できないという。しかし、そもそも、経済活動維持のためにGoToトラブルキャンペーンを推進することが間違っている。最大の理由は、巨大な国家予算の配分が公正でないこと。新型コロナ感染拡大で経済には重大なダメージが生じている。そのダメージは旅行と飲食に限られていない。
また、GoToトラブルキャンペーンは主に旅行と飲食をターゲットとするものだが、旅行と飲食でダメージを受けている事業者に対して、均等に恩恵を施すものになっていない。GoToトラブルキャンペーンの利用者も利益を享受するが、利益をまったく享受できない者が多数存在する。巨大な国費を投じる事業の公平性が保たれていない。旅行関係の事業者がコロナの影響で苦境に直面したが、GoToトラブルキャンペーンによる利益供与には著しい偏りがある。1泊4万円の宿泊に対する利益供与が最大になるため、この価格帯での宿泊サービスを提供する事業者に利益供与が集中している。
これらの事業者は、これまで値引き販売していた価格を定価に引き戻し、さらにサービス内容を微修正して、実質値上げを行って、GoToトラブルキャンペーンに合う商品を提供している。この結果、コロナ以前の収益を大幅に上回る濡れ手に粟の利益を享受する事業者が続出している。
その一方で、コロナ不況にあえぐ一般市民はGoToトラブルキャンペーンの利益供与から完全に取り残されている。自殺者も急増している。政府が真っ先に手を差し伸べなければならない人には完全な無策で、政府と癒着する事業者、富裕層にだけ巨大な利益を供与する施策は健全な施策と言えない。安倍内閣の下で特定事業者に利益を供与することによって見返りを求める利権官庁と利権政治屋が主導して、このような筋の悪い施策が策定された。経済産業省、国土交通省の利権体質が生んだ産物だ。
他方、新型コロナ感染症を第2類相当指定感染症に区分していることがコロナ騒動拡大の主因になっている。日本では当初から新型コロナの検査が十分に行われてこなかった。日本のコロナ対応は大失策だった。
東アジアにおけるコロナ被害が軽微に収まったことで九死に一生を得たが、東アジアの被害が深刻であれば日本の被害は突出して甚大なものになったと考えられる。
安倍内閣は感染抑止よりも五輪開催優先のスタンスを示した。そのために、1月28日に第2類相当指定感染症に区分しておきながら、感染抑止の強い措置を取らなかった。いま、菅内閣は新型コロナを第2類相当指定感染症に区分したまま、GoToトラブルキャンペーンを全面推進している。
「感染拡大防止に全力をあげる」と言いながら、外国人の入国制限緩和、訪日外国人の公共交通機関利用制限緩和などの措置を検討し始めている。すべてにおいて支離滅裂。この支離滅裂が菅内閣を早期に退場に追い込む主因になるだろう。
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IOCのバッハ会長が来日して菅義偉首相や東京都の小池百合子知事と会談するという。11月15日に来日し、18日まで滞在すると報じられている。菅内閣は2021年の五輪開催を強行する姿勢を示しているが、欧州ではコロナ感染が急拡大している。
日本でも陽性者数が急増している。2020年秋から2021年春にかけての感染再拡大が懸念されてきたが、その懸念が早くも現実化しつつある。欧州各国は再び行動抑制を強めている。この状況下でのバッハ会長の来日であるために、五輪中止の打診ではないかとの憶測も生まれている。
1日当たりのコロナ死者数は再拡大に転じている。昨年4月に1日当たり死者が週平均で6799人のピークを記録して以来、5000人規模に減少していたが、10月末から11月初にかけての1週間の1日当たり死者平均値が6586人に達した。昨年4月のピークを更新する勢いが示されている。
東アジアでのコロナ死者が少ない状況に変化はないが、菅内閣は五輪実施に向けて海外から日本国内への人の移動制限を緩和する方針を示している。感染が急拡大している欧州からの人の移動を拡大させれば、連動して国内での感染が再拡大する可能性は高い。
また、菅内閣はGoToトラベル事業を全国展開しており、この結果として日本全国に感染が広がっている現状もある。菅内閣はコロナ感染拡大の影響が限定的であるとの判断を前提に置いて、GoToトラベル事業の全国展開を推進し、感染拡大に対する警戒姿勢を示していない。
日本のコロナ感染死者数推移から見れば、過度の警戒強化は必要ないと言えるが、その一方ですべての国民に対するワクチン接種を政府が無償で実施する方針を示している。
二つの施策は完全に矛盾する。
コロナ感染拡大に対する警戒を緩めるなら、国民全員に対するワクチンを政府が一括買い上げる必要は生じない。ワクチン接種にかかる事故発生時の損害賠償責任を国が肩代わりする必然性も生じない。
ところが、菅内閣はコロナ感染拡大に対して警戒的な姿勢を取らないのに、ワクチンについては巨額の財政資金を投じて一括買い上げ、賠償責任肩代わりの措置を取ろうとしている。コロナ騒動を背景にワクチン事業者が濡れ手に粟の巨大利得を獲得することを政府が全面支援しているように見える。
コロナ感染拡大の影響が欧米と東アジアでまったく異なる様相を示す。欧米の被害状況は極めて深刻である。この被害状況が存在するなら、感染拡大阻止に対する徹底的な政策対応が必要になる。
他方で、東アジアの被害状況は極めて限定的だ。通常のインフルエンザによる被害をはるかに下回っている。この状況を踏まえるなら、政府が巨額の財政資金を投下してワクチンを一括買い上げる必要性は乏しい。
五輪開催の場所は日本だが、観客有りでの開催を強行するなら、人の移動がもたらす影響を考慮する必要が生じる。欧州で再び感染が拡大し、コロナ死者数も再び増加している。この状況下で海外からの観戦者受け入れは感染者受け入れになってしまう。
欧州の現況を踏まえてIOCが有観客開催に難色を示す可能性は高い。無観客での開催が検討される可能性があるが、五輪開催は五輪開催時だけを考慮して決定できない。五輪参加選手が確定していない競技種目も多数存在する。これらの競技種目では十分な準備期間が必要になる。
予選に参加する選手が十分な事前練習を実行できなければ公正な代表選出を行えない。五輪競技を有効なものにするためには、五輪開催前に十分な練習期間が確保される必要もある。20年秋から21年春にかけて、欧米で感染の本格的な再拡大が生じる場合、これらの条件は満たされない。
これらの状況を踏まえてIOCが2021年の東京五輪について新たな提案を示す可能性は低くないと見られる。日本政府は現実的な対応を検討するべきである。
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