フジ免責アピールに懸命な面々
植草一秀[経済評論家]
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中居正広氏を巡るトラブルに関する報道の一部を週刊文春が訂正した。問題の本質には関わらない細部の訂正である。ところが、この訂正を針小棒大に取り上げる人物が存在する。
古市憲寿氏:「文春は廃刊にしたほうがいい」
ほんこん氏:「週刊誌側も会見したら?」
音喜多駿氏:「世紀の大誤報では」
箕輪厚介氏:「会見なりを開くのが筋。さすがに許されない」
フジサンケイグループはグループ崩壊の危機に直面している。局面を打開するために文春訂正をゲームチェンジャーとして活用したいとの願望はよく分かる。そのゲームチェンジに積極的に協力する面々をしっかりと記録しておくことが重要だ。何らかの意図、目的をもって行動していると推察される。
中居正広氏のトラブルが発生したのは2023年6月上旬、気候情報などを踏まえると6月2日夜との推察が示されている。この当該期日に女性X子さんが中居氏自宅に出向くきっかけは中居氏本人の勧誘であったと見られる。この当該期日についてはフジテレビ社員A氏の直接関与はなかったと見られている。
しかし、中居氏とX子さんがプライベートで親しい関係にあったのではないと推察されている。当該期日の直前に中居正広氏の自宅でBBQが行われ、このBBQにX子さんが参加していたとされる。このBBQ期日は2023年5月31日であったとされる。
BBQにはタレントのヒロミ氏や笑福亭鶴瓶氏も参加していたとされる。ヒロミ氏が明らかにしたのが、日程が2023年5月31日だったということ。この日にゴルフが予定されていたが雨のために中止になった。そこで、中居氏が中居氏自宅でのBBQを提案し、ヒロミ氏や鶴瓶氏が参加したという。このBBQにフジテレビA氏およびフジテレビ関係者が多数参加したという。そのなかにX子さんが含まれていたとされる。
文春報道では、この日のBBQの延長でフジテレビA氏、中居氏、X子さんが寿司屋に移動して会話をしたとされている。そこで、携帯番号等の交換が行われ、中居氏がその携帯番号を使ってX子さんに当該期日の会食を呼び掛けたと推察されている。中居氏がどのような文言でX子さんを誘ったのかは明らかでない。しかし、X子さんサイドの文春等への情報提供によると、A氏等を含む複数での会食にX子さんを勧誘したと見られている。
X子さんは5月31日のBBQの延長の誘いとして中居氏宅への訪問を受諾したと見られる。5月31日のBBQへのX子さんの参加がフジテレビ社員A氏の介在によるものであるならば、X子さんはフジテレビの業務の一環としてBBQへの参加を了承し、その後の会食への勧誘に応じたと推察される。現時点で事実関係の確認はなされていない。
もし、当該期日直前のBBQへのX子さんの参加もフジテレビ社員A氏が一切関与しておらず、中居氏が旧知のX子さんに直接勧誘し、X子さんが中居氏とのプライベートな関係からBBQに参加し、当該期日の中居氏宅訪問も中居氏が2人だけの会食であることを告げて勧誘し、これをX子さんが受諾したということであれば、フジテレビ社員の関与はなかったということになる。
しかし、当該期日直前のBBQへのX子さんの参加に関してフジテレビ社員A氏の関与があったとなると、その直後の当該期日の問題はBBQの延長上の事案ということになる。
週刊文春は、
「(当該期日において)X子さんは中居に誘われた」
「A氏がセッティングしている(BBQ等の)会の“延長”と認識していた」
と発表したが、上記後段を前提とするなら、文春の説明は正当である。週刊文春は昨年12月26日発売号で中居氏のトラブルについて、文春に先んじて第一報を報じた『女性セブン』を間接的に引用して次のように記述した。
「記事によると、2023年にX子さんは中居、フジテレビの編成幹部A氏と3人で会食する予定だったが、A氏がドタキャン。彼女と中居は2人で会食することになったが、そこでトラブルが発生。」
こう記述した上で、X子さんの知人の証言を紹介し、多人数の会食に誘われて応諾したが、結局他の参加者の参加がキャンセルとなり、2人での会合になったと伝えた。これらの経緯が明らかにされる必要があり、すべての経緯においてフジテレビ社員A氏の関与がなかったことが明らかにされない限りは、フジテレビの関与が全否定されることにはならない。
文春の訂正を針小棒大に取り扱い「世紀の大誤報」などと表現することが著しく「失当」である。
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