<良い治療は自由診療?>貧富の差が医療格差を生むかもしれない混合診療が解禁


松井宏夫[医療ジャーナリスト]

 

2014年6月10日、医療の新制度「患者申出療養制度」を創設するとの政府方針が発表された。2016年度から一部の施設で自由診療と保険診療とを一緒に受けられる混合診療ができるようになる。日本は皆保険制度で、先進医療以外では混合診療は認められていない。それを認めようというのである。

これまで海外で使われている抗がん剤が日本で保険適用されていないために、その抗がん剤を使うと改善するかもしれないと思っても、すべての治療が保険適用でなくなるために使えない、という方々がいた。それがその薬だけは保険外で支払えばよいということになるのである。

前進した制度のように思われるが、ここでしっかり知っておいて欲しいことがある。

それは、そこでしっかり健康保険の適用に向かって歩めば良いのだが、今後、自由診療で使えるのだから……と、保険適用にならないケースが増えてくることが考えられるのではないか、という心配である。

こうなると良い治療は自由診療になってしまう危険性をはらんでいる。国民医療費の抑制になるだろうが、貧富の差が医療格差になってしまう。アメリカも理想とした日本の国民皆保険が揺らぐ、蟻の一穴にならなければよいのだが……。

 

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松井宏夫(まつい・ひろお) 医学ジャーナリスト 1951年 富山県生まれ。中央大学卒。日本ドキュメントフィルム助監督、『週刊サンケイ』を経てフリーに。最先端医療やがん医療を精力的に取材。名医本のパイオニア。日本医学ジャーナリスト協会幹事、東邦大学医学部客員教授。最新刊に『がんと闘う!名医と最新治療』(主婦と生活社)。著書多数。