<現役コスプレイヤーの本音>なぜコスプレイヤーは「コミケ」から足が遠のいているのか?

エンタメ・芸能

さくや[コスプレイヤー]

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毎年年末の風物詩といえば「紅白歌合戦」・・・ではない。筆者にとっては世界最大級の同人誌の祭典「コミックマーケット」こと「コミケ」こそ一年を締めくくる最大のイベントだ。

今回で89回目となる「コミケ89」が12月29日・30日・31日の3 日間、東京ビッグサイトにて開催される。50万人を超える集客が予想されている紅白以上のビッグイベントである。

コミケは同人誌やオタクグッズの売買だけでなく、コスプレイヤーにとっても、年間最大のイベントである。会場内のいたるところにコスプレイヤーたちがひしめいている。

筆者は現役コスプレイヤーとして活動しているが、ここ最近、「コミケ」でコスプレすることはなくなった。国内最大のオタクの祭典にもかかわらず、だ。
筆者は15歳からコスプレを始め、21歳の現在、すでに6〜7年のキャリアを持ち、数多くのイベントや撮影会に参加してきた。もちろん、「コミケ」でのコスプレ経験もある。しかし、「コミケ」でのコスプレは、もう3年ほどやっていない。

(筆者のコスプレ作品・ https://mediagong.jp/?page_id=14014

その理由は、「コミケ」のコスプレは、「コスプレ本来の楽しみ」が薄まってしまったように思うからだ。

例えば、女性コスプレイヤーの「過剰な露出」である。もちろん、結果的に「露出が多いキャラクター」になっている場合は仕方がない。しかし、たんに「周囲の男性にちやほやされたい」、コスプレをしているキャラクターがどうのこうのではなく「可愛い格好をした自分を見てもらいたい」というためだけに、作品には無い過剰な露出をしているコスプレイヤーが多いように思えるからだ。

そのため、「コミケのコスプレ=過剰な露出」という好ましくないイメージも定着してしまい、それを目的とした悪質な撮影者や、無許可でコスプレイヤーの写真を掲載しているアダルトサイトなども多い。

「コミケ」は大規模なイベントであるので、イメージが強い「過剰な露出」のコスプレイヤーだけでなく、こだわりの自作衣装に身を包んだ本格的なコスプレイヤーも、趣向を凝らしたネタ系・面白系のコスプレイヤーも沢山いるのだ。

コスプレの楽しみとは、基本的には「ほとんどが自己満足」である。規則を守った範囲で本人が楽しんでいる分には露出もアリだとは思う。しかし、目についたり話題になりがちな露出系ばかりに関心がいってしまい、「コミケのコスプレイヤー」はどれもこれも「撮られたがり」「エロ」「露出」と思われていっしょくたにされてしまうことは心外である。

また、そのような「露出」のコスプレイヤーだけでなく、ローアングルで迫ってくる「カメラ小僧(カメコ)」も迷惑の温床で、その存在がコスプレイヤーをイベントから足を遠ざける要因にもなっている。

コスプレを撮影できる広場は人でごった返ししているため、お祭り騒ぎになっており、撮影するにあたっての規則が守られないことが多い。撮影する側としては、いちいち声をかけるのは大変であるのかもしれないが、それでも写真を撮るときは一言声をかけてほしいと思うのがコスプレイヤーとしての本心だ。

囲み撮影やローアングルでの撮影が蔓延していることから、露出が少なくてもスカートを履いているだけでローアングルから撮られることが「コミケ」では日常茶飯事である。そうであってはいけないと思うが、嫌な想いをしないためにも、現状はそうであることをコスプレイヤー側も理解しておかなければならないだろう。

その結果、近年、コスプレイヤーたちの「イベント離れ」が加速している。イベントで、キャラクター自身が露出した衣装を着ている「結果的な露出」であるにもかかわらず、単なる「露出オンナ」と思われ、勘違いした「カメコ」に迫られることを避けたいからだ。

そのため、多くのコスプレイヤーがイベントではなく、「撮影会」へとシフトしている。コスプレを理解しあえる仲間と作品やキャラクターの話で盛り上がりながらコスプレを楽しみ、信頼できるカメラマンや仲間同士での写真撮影に取り組む。「お披露目」は写真をホームページやブログ、SNSを利用すれば、それでことたりるからだ。

もちろん、イベントに参加するという臨場感が味わえないことは致命的だが、それでも「カメコ」に断りなしにローアングルから撮影されたり、「露出オンナ」だと思われるよりはマシ、と考えているコスプレイヤーは多いのだ。「コミケ」というイベントが巨大化し、商業化すればするほど、メディアを介して「勘違いされたコミケとコスプレ」が一人歩きしてしまうことは残念だ。

そんなわけで、筆者も「コミケ」でのコスプレは3年ほどしていない。しかし、今年は3年ぶりにして初の「コミケ」へのサークル参加をすることになったので、せっかくということで、コスプレをして参加することにしている。

売り子としてスペースにいることがほとんどであるが、自衛の意識を持って、半年に一度のお祭りを楽しむ気持ちで参加するつもりである。

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