<大晦日「笑ってはいけない」はもう限界?>松本人志がキツくなったのなら止めてあげるべき


高橋維新[弁護士]

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2015年の大晦日も、日本テレビ「笑ってはいけない」が放映された。今年のテーマは「探偵」である。

「笑ってはいけない」については、筆者は前年(2014年)にも記事にして言及している(http://mediagong.jp/?p=7134)。前年(2014)に感じた問題点は、要約すると以下の2つである。

  1. キツさの減退
  2. マンネリ化

「笑ってはいけない」は、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」(以下、「ガキ」という)に特有の、肉体的・精神的にかなり辛いギミックが様々に用意されたゲーム企画である。大物になったダウンタウンがとことん体を張る様がこの番組の見られるのが大きな魅力の一つだ。中身がキツすぎて若い女性(F1層)には引かれる場合がかなりあるというのが、良くも悪くも目立つ特徴である。

ところが、去年の「笑ってはいけない」では、特に松本が陰に陽に文句をつけるようになった結果、このキツさが減退したのではないかということが気になっていた。

しかしながら今回は、松本の文句もあまり目立っておらず(無論、編集で目立たないようにしただけかもしれない)、キツさもかなりの程度保たれていたと感じた。今回放映された部分だと、「捕まってはいけない」という過酷な企画や出川チームと上島チームのリアクション芸対決などにこの「F層を引かせるほどのキツさ」は典型的に見てとることができる。

ところが、2.のマンネリ化という問題は解消していない。

今年も、オープニングから見ていくと、放送された企画は「バスネタ」「引き出しネタ」「レクリエーション企画」「昼食の替え歌対決」「捕まってはいけない」「蝶野ビンタ」「豆しぼり」「怖がってはいけない」などの過去にやったものばかりであった。

もちろん、個々におもしろい瞬間瞬間があるのは確かだが、全体を通して見ていると、企画の内容が同じである以上、それに対する演者の反応も含めて既視感が強く、意外性もあまりないのである。笑いで大事な「奇襲感」がかなりの程度損なわれているのである。

過去にはおもしろかったカミカミの藤原も、恥ずかしい実話を暴露されるダウンタウンも、田中へのタイキックも、こっそり出てくるメンバーの身内も、ヘイポーや田中のビビりっぷりも、蝶野に抵抗する方正にも、出川や上島のリアクション芸も、ジミーの天然も、毎回同じようなことをやられてしまったために、今見ても「こんな感じの映像見たことあるな」という感想にしかならないのである。

今回特筆すべき新たな試みは、序盤に中居がプレイヤーとしてゲスト参戦したことである。ただ中居は当然裏の「紅白歌合戦」にも出る人である。

テレビ業界の不文律として、「同じ時間に放映されている複数の番組にカブって登場してはいけない」というものがある。この不文律の合理性はさておき、紅白出演を控えた中居は、7時15分から始まる紅白に備えて、今回の「笑ってはいけない」が始まって40分程度の7時10分には画面上から姿を消してしまっていた。

そのため、論評に値するほどの動きができていたわけではない。

そして、その短い登場時間の中でも、変にバラエティ慣れしている中居の言動には、企画への没入感を損なうようなメタ的で鼻に付くものが見られたため、今後もこの試みを続けるなら中居以外の人物をキャスティングした方がいいと考える。

中居みたいにバラエティ慣れしすぎていない方がいいが、他方で柳楽みたいに黙りこくられても困るので、人選は相当に難しいだろう。

とはいえ「笑ってはいけない」自体、「きつい罰に耐えるダウンタウン」という点におもしろさの根源があるため、ダウンタウン以外の人間を出したところで根本的な問題は解決しないと考える。

もう一度まとめると、ところどころおもしろいところはあったが、今年も、マンネリ化の波からは脱せていなかったということである。このような焼き直しが続くと、あと1、2年しか企画が持たないと考えられるため、ジリ貧になるぐらいだったら早めに新機軸を打ち出した方がいいだろう。

松本も「今年で終わり」という趣旨の発言をしたと伝えられている。この発言は冗談の域を出ない可能性の方が大きいだろうが、大晦日の枠をガキでもらえているうちに、全く新しい企画を考えておくべきである。

さて、以下に各企画ごとに気付いたことがあれば書いておく。

<バスネタ>

1本目のバスネタについては、オカリナがネットで大変なことになるだろうとは思ったが、それはどうしようもない。2本目のバスネタで堀北真希のキャスティングが実現したのはドラマの番宣を兼ねていたからである。

<捕まってはいけない>

これこそ蛇足である。前年とほとんど内容が変わっていない。前年はまだ方正と他のメンバーのつぶし合いが見られたのだが、今年はそのパワーも減退していた。松本が毎回不参加になる点を見ても、松本から陰に陽にスタッフに対して圧力がかかっているのではないかと邪推してしまう。松本が鬼ごっこに参加すれば少し変わるかもしれないが、出ないなら、スパッとやめた方がいいだろう。

<暴露ネタの報告会>

毎回「おもしろくない」「風呂休憩の時間」など散々に言われているコーナーであるが、単純な「すべらない話」状態になっているからだと考える。視聴者がこの番組で見たいのは話芸ではなくて、キツいギミックに対するリアクション芸だということだろう。

<蝶野ビンタ>

今回も最終的には方正がビンタされたのであるが、まず浜田がビンタされそうになるというくだりを挟んでいた。蝶野ビンタでおもしろいのは方正の無様な抵抗っぷりなのだが、浜田の抵抗っぷりにかなりの尺を割いたせいで、方正の抵抗の模様にはあまりフィーチャーされていなかった。浜田をまず狙うという試みは失敗だったと言っていいだろう。これだったら、もっと方正を泳がせた方がおもしろくなった気がする。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。