アメトーーク「ピンポイントアカデミー大賞」は全体としておもしろみに欠けている


高橋維新[弁護士]

***

「ピンポイントアカデミー大賞」をテーマに放送された2015年1月21日のテレビ朝日「アメトーーク」。

出演する芸人たちが、自分の伝えたいことを伝えるという企画であるが、過去にも何回か放映された企画である(http://mediagong.jp/?p=11830)。ここでしゃべったテーマが、通常回で取り扱われることもある。

今回プレゼンをしたのは5人の芸人。基本的に芸人間の相互の関連はないのだが、どうせ同じ番組でやるならぶつ切りにするのではなくて何らかの連続性を持たせてほしいものだ。

本稿では各芸人のプレゼンを論評する。

【佐藤哲夫】(パンクブーブー)

テーマは「プラモデル」である。「プラモデルの『マニアック』というマイナスイメージを払拭したい」というツカミから始まったが、結局プラモデルを綺麗に作り上げるための細かい技術の話になってしまい、「マニアックだ」という印象を植え付けただけだった。スタジオで観覧している女性客の反応も頗る鈍かった。オタクが相手のことを考えずに自分の趣味のことを一方的に語ったという感じである。

最後には「パーツ探しのために100円ショップで7時間過ごせる」などといったエピソードを披露して笑いをとっていたが、要はモデラーのマニアックな生態を自らバカにして「ファニー(こっけい)」の方向に進んだ形である。筆者としてはこの方向でいいと思うが、結局プラモデルのマイナスイメージを振り払うという当初の目標は全く達成されていないので、何がやりたいのかよく分からなかったというのが正直なところである。

その点に対する宮迫のツッコミもなかったため、全体的に宙ぶらりんの出来だったが、打ち合わせが足りなかったのだろうか。

【ケンドーコバヤシ】

こういう企画でも得意の下ネタを全開にしてふざけるのが芸人・ケンコバの魅力でありプロ根性なのだが、今回は「マイレージの貯め方」という極めて実用的な話をしていた。

ケンコバも、随所随所でふざけてはいたが、全体的にただの生活情報番組のようなことを延々としゃべっていたため、おもしろくはなかった。

宮迫もわざわざ「今までこいつはふざけてばっかりだったけど、今日は本当に役立つ情報をしゃべる」というようなフリをプレゼン前に入れていたが、ケンコバがあまりボケずにまじめにプレゼンをしてしまったため、フリとして機能していなかった。さんまが宮迫のポジションにいたら、最後に「ボケんのかい!!」というツッコミを入れていた気もするが、ケンコバのプレゼンが長かったので間は難しいところである。

【なだぎ武】

ダムの話である。これも、スタジオの女性客たちの反応が頗る鈍かった。

また、全体的に短く、カットされた箇所が多かったのではないかと感じた。放映されていた部分も笑いは少なかったので、ただただ真面目にダムのことをしゃべってしまったのではないだろうか。

【渡部建】(アンジャッシュ)

「ゾンビへの対処法」という一番フザけた内容である。ただ実際の中身は「はっちゃけ」が足りない。

  • 「ゾンビに会ったら」→「とにかく逃げろ」
  • 「どこに逃げるべきか」→「食料と武器のあるところ」
  • 「ゾンビに有効な武器は」→「バール」

など、正解なのかもしれないが大して意外性もなくおもしろくもない一問一答が続いていく。そもそもゾンビの性質というのはゾンビが出てくる作品によっても違うだろうから、まずどのようなゾンビ(どの作品のゾンビ)を想定しているのかをはっきりさせてくれないと、興味深くもならない。題材でここまでフザけたら、中身ももっとフザけないと駄目なのである。

ふたを開けてみたら内容が大したことなかったわけだから、周りも、有吉が渡部に接するときのように、もっとぞんざいに扱った方が笑いが生まれたのではないだろうか。

【中岡創一】(ロッチ)

「道具を使わずにカニを剥く方法」という内容だったが、これこそ生活の豆知識に過ぎず、何の面白味もない。また、実際に披露された方法もあまり有効なものではなく、ピンと来なかった。

分解されつつあるカニの身と中岡の不潔な風貌の取り合わせは画としては非常に不穏だったため、再考の必要があろう。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.
高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。