フジテレビ『すべらない話』が持つ致命的欠陥


高橋維新[弁護士]執筆記事

 

◆フジテレビ『人志松本のすべらない話』

人には好き嫌いがあるので、本当に「すべらない話」なんてのはそうたくさんはない。これは、この番組をずっと追いかけている人ほど共感していただけるのではないか。

ゆえに、この番組のフォーマットのダメなところは、すべってしまったときのフォローが用意されていない(用意できない)点である。番組タイトルからして「すべらない話」だから、すべりようがない。

すべったらすべったで、「すべってるよ」とか「なんの話やねん」とかツッコミを入れられれば、笑いに変えられる。しかもそれは、本当におもしろい話を聞いたときの笑いとは種類が違う笑いなので、アクセントになる。同傾向の笑いに対する視聴者の「飽き」を防止することができる。

ところが、この番組は、番組名からして「すべらない話」と銘打っている以上、演者たちも「すべってますよ」という趣旨のツッコミは入れにくい。あの場にはそのツッコミを入れられるぐらいの実力者が揃っているにもかかわらず、である。

結果、周りはせめて連鎖力を引き出すために愛想の誘い笑いをするしかない。

だから話者は、自分の話がすべってると感じたら、基本的には自分でなんとかするしかない。代表的なのは、オチを言った後に、(その話がすべった空気を出すために一呼吸置いてから)「っつう話です」と言う、というものだ。ただこれだけだと今度はすべった時のフォローがワンパターンになってしまう。

やっぱり、すべった時のフォローは用意しておくべきだと思う。笑点なら座布団を取り上げればいい。「細かすぎて…」なら落とせばいい(全部落とされるが)。「トークダービー」(これも、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の1コーナーである)だったら、不正解にすればいい。

これらは、全て非言語的な手段による「すべってるよ」というツッコミだ。非言語的な手段があるから、言語的な手段(=言葉によるツッコミ)と合わせて多角的なフォローが可能になる。フォローのワンパターン化を防ぐことができる。だからやっぱりすべった時の非言語的なフォローまで用意しておいた「笑点」は、偉大な番組だなと思う。

これが、逃げ道を自ら封殺してしまった「すべらない話」の致命的な欠陥である。

この手のトークだったら,すべらない話よりトークダービーの方が明らかに面白いと思うんだけどなあ。もう1回見たいなあトークダービー。

ただ、例えば第25弾大会などは、村本(ウーマンラッシュアワー)の4本目の話は明らかにすべってる扱いを受けていたので、今後何らかの対抗策を考えていくのかもしれない。

翻って考えてみるに、こういうことが気になるのは、筆者はすでにすべらない普通の「すべらない」パターンに飽きているってことでもある。とはいえ、筆者ほどスレてなくてもたまにすべるパターンもあってもいいと思うんだけどなあ。どうだろうなあ。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。