<悪夢と夢>TED x Utokyにおける英語トークの「実験」[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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先日、TEDxUTokyoでお話させていただいたのですが、そのことについて一つ技術的な観点から、みなさまにご報告させていただきたいと思います。

TED communityで最初にお話させていただいたのは、2010年のTEDx Tokyoでした。この時は「科学の祝福」というテーマで、お話しました。2012年のTED本会議でのtalkは、東日本大震災からの復興を訴えかけるものでした。

2012年のTED本会議での私のトークは、釜石(岩手県)の記者さんに使用許可をいただいた津波の映像を用い、釜石の漁師さんにお借りした大漁旗を振りました。トークの性質上、映像では公開されておらず、もはや「幻」のTED talkとなっています。

そして、3回目が昨年のTEDx Tokyoでの「人工知能」についてのトーク。そして、4回目が先日のTEDxUTokyoでの「悪夢と夢」についてのトークでした。昨日が初めての試みだったのは、スライドを使わず、その場で即興の発話だったことです。

【参考】生徒が教師を驚かせてこそ、ほんとうの教育[茂木健一郎]

今まで、4回のTED(x) talkをする中で、自分の英語の発話は、決まった文章をそのまま言うよりも、その場で文章を組み立てて発話する方が向いているらしい、と感じてきました。特に、2012年の震災に関するTED talkは、本会議ということもあり、また、テーマが重く、さらに、映像や大漁旗をお預かりしているという責任感もあって、私としては珍しく、一字一句予め書いたトークをそのまま話しました。

結果としてはできたのですが、同時に、脳への大きな負荷も感じました。どうも私の脳の特性として、決まったことを言うのではなく、その場で発話する方が得意のようで、昨日は、初めてスライドも一枚も使わず、だいたいこんなことを言おう、ということだけ決めて、あとはその場で英語を話してみたのです。

やっぱり、というか、会場の流れに吸引されて、自分で言おうとは思っていなかったことを言ったりとか、意外な発見がありましたが、なんとかできたので、これからはこのようなやり方もやってみたいと思います。

お手本、というかイメージにあったのは、Ken Robinsonさんのトークで、「あんな感じでできたら」という発想でした。英語での表現力はこれからも課題と感じていますので、ますます精進したいと思います。ありがとうございました。

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。