<SMAPとジャニーズ>事務所が制限するアーティストの自由な表現


茂木健一郎[脳科学者]

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SMAPのみなさんとは、個別に、あるいはSMAP全員の方と何度か現場をご一緒したことがありました。とても礼儀正しく、才能にあふれていて、すばらしい方々だと思いました。まさに国民的アイドルの名にふさわしい存在です。

この度、SMAPが解散することになったようです。細かい事情などは私などが知るはずもありませんが、本当に残念なことだと思います。同時に、これまでのSMAPの活動は、ずっと記憶されるものと思われます。一人ひとりのご活動も続くことでしょう。

ところで、SMAPのみなさんとジャニーズ事務所の関係は、とても日本的なものだったと思います。たとえば、今回マスコミ各社に送られたFAXの中で、「所属」という言葉が使われていますが、アーティストがある事務所に「所属」するという発想は、日本的なものだと感じます。

アーティストが個人として、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムで自由にその考え、感性を発信する、という現代のやり方と比較すると、ジャニーズ事務所は、メディア政策がネットに対して保守的だと感じます。それは、「事務所の方針」ということで仕方がないとは思います。

もし、アーティストが一人ひとり、ネットで自由に発信し、自分の考え、感性を表現するようになったら、いわゆる炎上や社会問題化、謝罪などの事態が起こることが容易に予想されます。事務所が、それを避けるため、「情報管理」をするというのは、組織としてはごく自然な発想でしょう。

【参考】<SMAP解散>北朝鮮状態のジャニーズは芸能界の縮図

問題は、そのような「組織」への「所属」、及び情報の「管理」というアプローチが、アーティストの活動に与える影響です。私は、以前から、日本のアーティスト(の一部)が、事務所に所属して、情報が管理されることによって、表現の伸びしろ、自由が制限されることを懸念してきました。

たとえば、マドンナやレディー・ガガ、あるいはジャスティン・ビーバーといった海外のアーティストの自由な発言、表現が社会にインパクトを与え、人々の心を動かすのと同じかたちで、SMAPの方々も影響力のある表現をする可能性はあったし、これからもあるのではないでしょうか。

SMAPのメンバー一人ひとりの、表現者としてのポテンシャルは、決して、海外の著名アーティストに劣っているとは思いません。表現は、番組や舞台、コンサートでやればいいという考えもあるかもしれませんが、それだけで済む現代でもありません。

今回のSMAPの解散のニュースは、以上のような、日本の事務所とアーティストの関係の課題について、改めて考えるきっかけのように思います。そして、SMAPの個々のメンバーの肉声をもっと聞きたいと感じる人は、実はかなり多いのではないでしょうか。

  (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。