「政策選択選挙」の争点は戦争・原発・格差拡大 – 植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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大事なことは、主権者の意思を現実の政治に反映させること。

米国のトランプ新大統領をメディアがヒステリックに攻撃しているが、トランプ大統領は武力革命で政権を握ったわけではない。米国の主権者が選挙でトランプ氏を選出してトランプ政権が発足したのである。

トランプ大統領を攻撃することは、米国の主権者の選択を攻撃することを意味する。賛否両論があるのは理解できるが、米国民の選択の結果として誕生したトランプ政権がどのような政策路線を構築するのかを、まずは静観することが必要だろう。

英国国民投票においても、今回の米国大統領選においても、メディアはメディアが望む結果が示されなかったという理由で、主権者が示した判断を罵倒しているだけにしか見えない。

ここにあるのは、メディアの驕りであり、その背景には、世界を支配する巨大資本=ハゲタカの横暴な行動様式がある。ハゲタカが英国のEU離脱や、TPPを廃棄するトランプ新大統領を激しく敵視することは理解できる。

しかし、それはあくまでもハゲタカ巨大資本の事情や利害に基づくものであって、その事情や利害で、人々の情報空間を特定の色に染め抜くことは適正でない。

EU離脱にしてもトランプ大統領の政策方針にしても、賛否両論がある。賛成論が存在しているから、国民投票が離脱になったわけであり、大統領選でトランプ氏が勝利したのである。そのときに、ハゲタカ巨大資本にとって気に食わない結果であるからという、ただそれだけに理由で、情報空間を一色に染め抜くことは適正な行為でない。

米国が難民の受け入れにブレーキをかけたことに対して、批判の嵐が吹き荒れているが、その批判をしている側が、難民を無条件に受け入れているのかを見るべきだ。

そもそも問題は、難民が生み出される背景にある。難民を生み出すような苛政、悪政が存在していることがそもそもの問題である。そして、そのような苛政、悪政を生み出している原因を取り除くことが重要なのである。

シリアを中心とする地域、パレスチナを中心とする地域で、政情不安が長期にわたり存続している。また、基本的人権を損なう苛政、悪政が行われている地域や国が多数存在する。これらの問題を解決することが求められるが、その実現は容易ではない。

シリアのアサド政権とISの問題、ウクライナの政変とロシア・EUとの対立などの裏側には、オバマ政権下の米国諜報組織の関与が深く疑われている。

トランプ大統領は米国諜報機関のISへの関与問題を選挙戦の過程から強く批判していた。トランプ新政権が親イスラエル政策を強化すれば、イラン情勢が急変する可能性があり、世界情勢の流動化には十分な警戒が求められるが、一面的に一つの政策を非難、批判することはできない。

日本で重要になることは、次の選挙を『政策選択選挙』にすることだ。安倍政権の基本政策を「是」とするのか「非」とするのか。これを判断するのは日本の主権者である。

重要なことは、日本の主権者の判断を現実政治に反映させることだ。そのためには、小選挙区を軸に実施される次の総選挙で、対立軸を明確にして、主権者が政策を選択できる選挙を実現することだ。

日本の主権者にとって最重要の政策テーマは『戦争・原発・格差』である。安倍政権が『戦争推進・原発推進・格差拡大推進』のスタンスを明示している。これへの賛成論はある。

他方で、多くの主権者が『戦争認めない・原発認めない・格差拡大認めない』の考えを有している。したがって、次の選挙では、『戦争・原発・格差拡大』を主要争点に位置付けて、「推進」か「認めない」の選択を主権者に委ねるべきである。これが『政策選択選挙』である。

これを実現するためには、『戦争・原発・格差拡大』を認めない側が候補者を1人にすることが絶対に必要である。政党は問わない。政策が重要である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。