「安倍晋三記念小学校」問題で安倍内閣総辞職か – 植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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「政治の腐敗」とはどういうことを指すのか。

自民党やメディアは元民主党代表の小沢一郎氏を「腐敗の代表」であるかのごとく叩き続けた。

しかし、2009年に問題にした「西松事件」は「未来産業研究会」と「新政治問題研究会」からの政治献金を事実通りに政治資金収支報告書に記載したものが、「虚偽記載」だとされた「冤罪ねつ造事件」だった。

まったく同じ事務処理をした自民党議員の資金管理団体が多数あったが、刑事事件化されたのは小沢一郎氏の資金管理団体だけだった。

警察庁出身の漆間巌官房副長官が「この件は自民党には波及しない」と発言して問題になった。「西松事件」の「冤罪ねつ造」が明らかになって追い込まれた検察が、「窮鼠猫を噛む」で、更なる「冤罪ねつ造」に突き進んだのが「陸山会事件」だ。

これは、2004年10月に代金精算が行われ、2005年1月に登記された世田谷の不動産の取得について、これを2005年の政治資金収支報告書に記載したことを「虚偽記載」だとして刑事事件化した「冤罪ねつ造」事案である。

そして、小沢一郎氏は検察がねつ造した虚偽の「捜査報告書」によって、強制起訴されたが、最終的に無罪潔白が確定した。無罪潔白の小沢一郎氏が「真っ黒」としてメディアから攻撃され続けた。

ところが、本当の「真っ黒」を自民党も、メディアもまったく攻撃しない。これが日本の現状である。

大阪で塚本幼稚園を運営する学校法人の森友学園が、国有地を市場価格の10分の1で払い下げられて、ここに「瑞穂の國記念小學院」を開校しようとしている。その「小學院」の名誉校長に安倍晋三氏の妻である安倍昭恵氏が就任している。

同学校のHPに掲載されている安倍昭恵氏のあいさつは次のものだ。

「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。そこで備わった「やる気」や「達成感」、「プライド」や「勇気」が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております。」

この「瑞穂の國記念小學院」が寄付集めに際して、学校名を「安倍晋三記念小学校」と表記していることが、日刊ゲンダイによって報じられている。

安倍晋三夫人に名誉校長をお願いしておきながら、この学校の代表者である籠池泰典氏は、まったく気配りを欠いている。

「瑞穂の國」だの「小學院」だの、やたら難しい漢字を使用するのが好きなのかも知れないが、これでは安倍晋三氏が正しく読めない可能性が高いと思われる。まったく気配りが足りないと、人ごとながら感じてしまう。

問題は、国有地が不正に安価で払い下げられた疑いが濃厚であることだ。朝日新聞のスクープだが、他紙がほとんど後追いしていない。しかし、不正である疑いは濃厚で、やがて、安倍政権はこの不正が端緒となって退陣に追い込まれるだろう。これこそ、「政治の腐敗」そのものである。

東京では、築地を豊洲移転に関わる不透明、不可解な事案が問題化している。豊洲汚染地が2011年3月に東京ガスから東京都に売却された。

売却価格は1859億円。東京ガスは汚染対策費100億円と追加費用負担78億円を支払った。しかし、汚染対策はこの金額で実現せず、東京都がさらに849億円の資金を投下した。それでも、いまなお、汚染は解消していない。この土地取引も重大疑惑である。

この機会に、不正の有無を洗いざらい、徹底検証することが絶対に必要である。そして、不正があったなら、その不正を明らかにし、責任ある当事者の責任を厳正に問う必要がある。

この問題で安倍政権が終焉する可能性は高いを思われる。

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