<共謀罪は『新・治安維持法』>安倍暴政の暴行暴虐に「泣き寝入り」はやめよう -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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安倍自公政権の本性をむき出しにした「共謀罪」強行採決が実行された。

参議院の委員会採決をすっ飛ばして、委員長が本会議で中間報告し、本会議で採決を強行するという暴挙が示された。参議院委員会での審議時間はわずか17時間50分。衆議院の審議もまったく不十分だったが、それでも時間数では30時間25分だった。参院法務委員会で採決を強行すれば、当然のことながら、委員会室は採決を阻止しようとする野党議員の実力行使と怒号で騒然とした状況になる。

他方、安倍政権は森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」疑惑に対して、まったく説明責任を果たしていない。「逃げ」の一手で、巨大疑惑に蓋をしようとする姿勢が鮮明である。

7月2日には東京都議選が投開票日を迎える。都議選告示は6月23日だ。国会会期を延長すれば、都議選告示のあとに国会論戦が繰り広げられ、「アベ友三兄弟」疑惑に対する政権追及が勢いを増す。そのなかで共謀罪創設の法案審議が進められ、委員会での強行採決、本会議での各種法案可決阻止のための議会戦術が用いられることになる。これらの模様がテレビメディア等を通じて主権者に流布されることを恐れて、安倍政権は暴走を加速させた。

「共謀罪」は犯罪の行為と犯罪結果があってはじめて処罰するという日本の刑法の基本原則を破壊するものである。「組織犯罪集団」が犯罪の「準備行為」に着手した段階で罰するというものだが、市民と組織犯罪集団の線引きも、「準備行為」の定義もあいまいである。

つまり、通信傍受や尾行などの手法で警察組織が市民を常に監視下に置くことを合法化する「弾圧法制」であると言わざるを得ない。特定秘密保護法、刑事訴訟法改悪、共謀罪創設はセットである。これによって、「弾圧法制」が完結する。

『新・治安維持法』と呼んで差し支えない。戦争法制によって、日本は戦争をする国、戦争を推進する国に変質した。他方、安倍政権は市場原理にすべてをゆだねるという搾取=弱肉強食を熱烈推進している。

TPPを前面推進し、「働き方改革」の美名の下に、労働者の処遇悪化、地位の不安定化を促進する各種制度改悪を強行推進している。「戦争」と「搾取」が安倍政権政策の基本であるが、この政策を遂行する上で、最大の障害、最大の邪魔者が「市民」=「主権者」=「国民」なのである。

邪魔になる市民、国民、主権者を排除するための枠組みが弾圧法制であり、この弾圧法制が特定秘密保護法・刑事訴訟法改悪・共謀罪創設で完結する。

かむろてつ氏による指摘、安倍政権「真・三本の矢」は戦争・搾取・弾圧は見事に安倍政権の本質を衝いている。

6月11日の渋谷ハチ公前での『共謀罪に反対する緊急渋谷街宣』における宮台真司氏のスピーチに、私(植草一秀)と思われる人物の事例が取り上げられたが、言葉が一部省略されているので補足しておく。

宮台氏は、山口敬之問題について、

「握って奴隷にするんだ。一見、公共の電波で中立を装っている人間が、そのような形で操られているんだ。操られることを拒否すると、名前を言っていいのかな。なんとか一秀さんみたいに挙げられてしまうっていうことが起こる。」

私は日本の警察・検察・裁判所の前近代性を強く批判し続けている。最大の問題は、警察・検察の巨大すぎる裁量権である。その巨大すぎる裁量権とは、『1. 犯罪が実在するのに犯罪者を無罪放免にする裁量権』と『2. 犯罪が存在しないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権』である。

宮台氏の言い回しが誤解を招きかねない部分があるので、重要な事実を明記しておく。

安倍暴政は弾圧法制を完全に手中に収めた。今後は、「犯罪が存在しないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる」行為が激増することになるだろう。これが「新・治安維持法」の本質である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。