「ガキの使い」特別版は「普通の番組」になって視聴率を目指す?


高橋維新[弁護士/コラムニスト]

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2017年7月17日に放映された「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ)の特別版を見た。月曜日の22時から1時間半にわたって放映されたスペシャルである。

「ガキ」は、過去にはたびたび時間帯を変えてスペシャル番組を放映していたが、年末の「笑ってはいけない」絡み以外でこのようなスペシャルを放映するのは12年ぶりらしい。

内容は、通常放送回でもすでに5回の放映を重ねている「スマホなしで待ち合わせ」のスペシャル版である。「スマホなしで待ち合わせ」は、「高いビルといえば?」「大きな公園といえば?」などといったお題を与えられた参加者が、実際に各々がお題を聞いて思い浮かんだ場所に赴き、全員集合を目指すというゲーム企画である。

今回は、「ガキ」のレギュラーの5人にゲスト5人を加えて、総勢10名になった参加者を松本チームと浜田チームに分け、先に全員が合流できたチームが勝ちというルールになっていた。他方で、「ジョーカー」として蛭子能収も同じお題を与えられて10人と同じように動いており、ジョーカーと合流してしまった人はたとえ自分のチームの誰かと合流していても解散しなければならないというルールが加わっていた。

【参考】ダウンタウン「ガキ使」8年ぶりの漫才はどうだったか?http://mediagong.jp/?p=22411

さて、「スマホなしで待ち合わせ」自体は、すでに述べた通り通常放送回でももう5回も放映しているので、やっぱり人気企画なのだろう。だからこそ、今回のようなスペシャル企画も放映されたのである。ただ、筆者にはこの企画のおもしろさがピンと来ない。

「ガキ」特有のキツさもなければ、ダウンタウン(というより松本)特有の場の空気を支配する世界観もなく、淡々とタレントがゲーム企画をこなしているだけだからである。タレントが番組の用意したゲームに挑むというコンセプトは、ウリナリを彷彿とさせる。

笑いは、他の人と全然行動を合わせることができない田中みたいな「落ちこぼれ」を他のメンバーがイジる瞬間に生まれるが、「ガキ」の普段のキツさと比較すれば全然大したことはない。笑いながら見る番組というよりはメンバーが合流できるかをハラハラドキドキしながら見る番組になっているので、「ガキ」のフォーマットでやる意味がそんなにない。

普段のとんがった「ガキ」が好きなコアなファンは本当にこの企画が好きなのだろうか。多分、この企画が好きな人たちはもっとライトな層ではないだろうか。でも、ライトな層の方がコアなファンよりは多数派だとは思う。そして、多数派に合わせるのが数字(視聴率)をとるということであり、プロとして番組を作るということである。

少数派に合わせて数字がとれなくなったら本末転倒である。テレビ局は、売れる番組を作って、広告枠を売らなければならない営利企業なのである。そこを目指すことは、何の間違いもない。これは、皮肉ではない。

ただ、コアなファンのことも忘れないで欲しいというのが筆者の願いである。両奪りができれば理想的だが、そんな都合のいい企画はポンポンと生まれないのが現実である。ただ、常にそこを目指すことは忘れてはならないと思う。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。