安倍政治打倒体制の構築が2018年の最重要課題 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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2018年は次の総選挙に向けて勝負の年になる。来年、2019年夏には参院選がある。そして、その前に統一地方選がある。これらはすべて連動するものだ。

安倍政権与党が衆参両院で議席定数の3分の2を上回る議席を占有している。これを背景に傍若無人の暴政を展開している。「衆参ねじれ」が発生しているときは、参議院が重要なブレーキの役割を果たした。「ねじれが悪い」と喧伝されたが、いまの暴政と比べれば衆参ねじれの方がはるかに良質だった。

「ねじれ解消」が叫ばれたのは2013年夏の参院選の局面だ。この情報誘導でねじれが破壊されて、暴政がもたらされた。昨年10月の総選挙で安倍政権与党に投票した主権者は、全体の24.6%に過ぎない。

主権者の4分の1しか安倍政権与党に投票していない。自民単独では17.9%。6人に1人しか投票していないのだ。その安倍政権が日本政治を私物化して暴政の極致を形成している。維新を除く野党に投票した主権者は全体の25.2%だった。安倍政権与党に投票した主権者よりも多い。

しかし、獲得した議席の比率は25.6%だった。自公が67.3%の議席を確保したことと比較して対照的だ。「民意と議席配分のねじれ」の方がはるかに深刻な問題である。

 

理由は明白だ。小選挙区制度下の選挙で、自公が候補者を1人に絞り込んだのに対して、反安倍陣営が複数の候補者を擁立したからだ。このために票が分散して自公が多数議席を占有してしまった。だから、「安倍政治を許さない!」陣営が候補者を一本化することが何よりも重要なのである。

ただし、ここで重要なことがある。安倍自公以外が単純にひとつになればよいというものではない。基本政策が真逆なのに、候補者を一本化するというのは「野合」でしかない。前回総選挙直前に大同団結が実現する可能性が垣間見えた。

「安倍政治打倒」を最優先課題と位置付けて大同団結するのであれば、意味のある選択であったと考えられるが、希望と民進党の前原代表が主導しようとしていたのは、「第二自公の創設」に過ぎなかった。このことが鮮明になったために、希望は完全に失速したのである。

民進党からの合流に際して、希望側は「踏み絵」を用意した。「踏み絵」を踏んだ者だけが希望に合流できるとした。この行為によって、「安倍政治打倒」での大同団結は雲散霧消したのである。野党陣営の最大の問題は、旧民進党が「隠れ自公」と「反自公」の混合物だったことだ。このために、反安倍政治での野党共闘が構築できなかったのである。

しかし、不幸中の幸いで、希望が馬脚を現したことで、この問題を解消する動きが発生した。これが立憲民主党の創設である。原発・憲法・消費税で、安倍政治に対峙する勢力と、安倍政治を補完する勢力との分離が進展し始めたのである。これを完遂し、反安倍陣営の連帯、大同団結を実現することが求められている。

ところが、この重要な工程が、凍結されてしまっている。希望、立憲民主、民進党、無所属に分離された状態で、フリーズしてしまっているのだ。このフリーズ状態で2019年に移行すれば、主権者の4分の1の支持しか得ていない安倍自公政権が存続してしまう。

いま求められていることは、旧民進党の完全分離を実現することである。言い方を変えると、敵側の狙いは、野党勢力の分断を図ることだ。野党をあいまいな状態にとどめ置く。与党だか野党だか分らない状況を温存する。これが、野党の大同団結を妨げるもっとも効果的な手法だ。そのための工作部隊が「連合」なのである。

そして、その「連合」自体が、「反安倍勢力」と「安倍補完勢力」の混合物なのである。この「あいまい」状況を完全に払拭して、「反安倍自公」の連帯の体制を構築すること。

これが2018年の最大の課題である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。