NHKドラマ『半分、青い。』有田哲平の演技と松本人志


高橋秀樹[放送作家]

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役者の演技の方法は様々有るが、分類する方法として、

(A)役に自分を寄せていく方法
(B)自分に役を引き寄せる方法

に、2分類にする法がある。

もっとも、「B:自分に役を引き寄せる方法」をやってもいいのは大スターだけであり、三船敏郎、森繁久弥、高倉健、木村拓哉、米倉涼子など、その数は少ない。この演技方法はどんな役をやっても木村拓哉にしか見えない、という批判も生むわけで、演技は一本調子で下手だよなあ、という感想にもつながる。

つまり、役者のほとんどは「A:役に自分を寄せていく方法」を取っているわけで、芝居が上手いなあ、樹木希林は、柄本明は・・・という感想につながるのである。上手いだけだと言う悪口につながることも指摘しておく。

さて、いまNHKの連続テレビ小説『半分、青い。』に、くりぃむしちゅーのコント芸人・有田哲平が出演している。有田が演じるうさんくさい男、津曲雅彦(つまがり・まさひこ)は、かつて大手広告代理店・電博堂に勤めていたが独立し、「ヒットエンドラン」という会社を立ち上げた。いまは、商品プランニング、マーケティング、コンサルティングなど、これまたうさんくさい仕事に従事している。

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脚本の北川悦吏子さんが、有田しかいないと思い、あて書き(俳優をあらかじめ決めて〜イメージして〜脚本を書くこと)したのだだそうである。有田にとっては大変名誉で願ってもない仕事だろう。

さて、これから筆者は、コント芸人(大ぐくりにして、笑いを主戦場にする芸人としてもよいかもしれない)が、芝居に出るときの方法について記してみたい。笑いの芸人が芝居に出る時の演技方法は原則として、「コントの表現技法を3分の1にして芝居に寄せて行く」。これしかないのである。

笑いの人はどうすれば笑うか正解に近い演技方法を知っているから、ドラマで、その演技をしようとするが、それでは、オーバーアクションで、あきらかに現実にはない芝居になってしまい、他の役者の演技と比べてみるとプカプカ浮いてしまう。現在の有田哲平はこうなっていると筆者は思う。

笑いに人で、この芝居に寄せた演技が出来ない人の代表は欽ちゃん。欽ちゃんは、コントにい於いて冒頭の「B:自分に役を引き寄せる方法」で、演じることが出来た希有な人である。何をやっても欽ちゃんで、しかもおもしろい。そういう人が芝居に出ると「恥ずかしい(本人・談)」ので、コントの芝居しか出来ないのである。現在ではこれに当たるのは松本人志だろう。

笑いの芸人から役者になるひとはたくさんいるが、これが役者になって成功するかどうかの境目なのではないか。芝居に参加して、コントの演技をしなくても恥ずかしくないこと。

その代表は渥美清。渥美が、大人気のお笑いスターの座をなげうって、『男はつらいよ』をやり始めたのは40歳のときだった。筆者は岡村隆史に渥美清を見ていたがモウ48歳になってしまった。

ところで、逆に役者さんがコントに出演することが有る。こういう場合の役者さんは大抵が勘違いしている。コントに寄せた芝居はしてはならない。見ているこちらの首筋のあたりがむずがゆくなる。普通にやれば良いのである。

 

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