<転んでもタダでは起きない中国>食べ物の毒成分を検出できる「IT箸」を中国・百度(バイドゥ)が開発

デジタル・IT

保科省吾[エッセイスト]
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中国のネット検索最大手「百度(バイドゥ)」が、食べ物に触れれば、安全な食品か、どうかががわかるIT箸「スマート箸」を開発した。転んでもただでは起きない中国の面目躍如である。
「食の安全に悩まされる中国の消費者に朗報だ」と、会社は謳うが、食の危険を輸出している中国にして何をかいわんやである。
中国語での商品名は「筷捜」。「箸で、捜す」という意味だ。捜すのは「毒」だけでは、なさそうだ。温度や塩分、pH値も測定できるそうだ。集めたデータを機器が分析、安全ならばLEDランプが青く光るそうだ。危険だともちろん赤。ブラックジョークみたいな箸をまじめに作るところがすごい。
油脂分も判定できるそうで、排水溝から回収した「地溝油」や、使用済みを回収した「回鍋油」が蔓延する中国では、大きな需要が見込まれるという。しかし、いったいこれは何を自慢しているのだろうか。
この箸は、やがてインターネットにもつながるようになるだろう。そうなれば、どこで、何を食べているか、わかるだけでなく、よだれからDNAも判定できるようになって、健康状態もわかり、病気もわかり、おそらく今の機嫌なんてのも、わかってしまうだろう。
そう考えると、この箸は、中国に利用者の情報をすべて握られる可能性のある怖い箸なのだ。「ITフォーク」から作らなかったのは、アメリカに配慮したのか? と悪い勘ぐりさえしてしまう。
 
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