<感動の押し売り?>音楽番組に「観客の顔のドアップ」も「聞いている芸能人の顔」もいらない


黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ]

***

観客を入れた音楽番組は多い。

「幕張メッセから生放送です」などという作りの番組は、なかなかライブに足を運べない田舎住まいの視聴者にとっては、ライブの臨場感を堪能できて、楽しいし嬉しい。お客さんに囲まれて歌うアーティストの姿は、ファンの観客に囲まれていないスタジオからの映像より笑顔がキラキラしていて、魅力が倍増しているように思う。

でも、その臨場感をブチ壊す演出が、一つだけある。「観客の顔のドアップ」である。あれは、要らない。ライブに行って、大好きなアーティストが歌ってる時に、周囲を見回して「あ、あの子の笑顔かわいい」なんて考えてるファンが居ると思ってるのだろうか?

居るわけがない。みんな、ステージに集中している。全員の視線は、舞台上のアーティストに注がれているのだ。

大勢の観客に囲まれて、楽しそうに歌っているアーティストの姿に、せっかく浸っているのに、ふいにカメラが切り替わり、客席を写したりする。「ほーら、お客さんもこーんなにもりあがってますよ-」とでも言いたいのか? もちろんそんな気遣いは余計なことだ。興味のない「観客の顔」を写さなくても、十分にその盛り上がりは伝わっている。

バラードをスタジオでしっとりと歌い上げるアーティストに、ふいに割り込む「涙を流す観客のドアップ」も要らない。「感動の押し売り」をされているようで、むしろ冷める。たとえその観客が芸能人であったとしても。今、見たいのは、それを聞いてる「観客の顔」」でも「芸能人の顔」でもなく、歌ってるアーティストの姿なのだから。

ライブに行けない筆者のような田舎住まいの視聴者の楽しみを奪わないでほしい、と改めて思う。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

黒田麻衣子

黒田麻衣子(くろだ まいこ) 徳島テレビ祭スタッフ。もと高校国語教師。ドラマ好きのアラフォーおばちゃん。「平安時代文学の広報部長」。現在、徳島に高校生・大学生の社会体験を支援する団体『ソーシャル・ポート』設立準備中。