<原発停止はアベノミクスの最大の足枷>東通原発「活断層でないとは言えない」と書く怪しげな原子力規制委員会


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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各紙で報じられているが、今週12月22日の原子力規制委員会の“有識者会合”は、東北電力・東通原子力発電所(青森県)の敷地内に活断層がある可能性を否定できないとの見解で一致した。

最初にこの情報が筆者のツイッターに流れてきたのは同日午後の共同通信ネット記事。そこには「東通原発の断層に関する原子力規制委調査団は、主要断層の活動性はないとは言えないとの案でおおむね一致」と書かれていた。

この有識者会合は、日本原子力発電・敦賀原発2号機の敷地内破砕帯の調査に関してもそうなのだが、「・・・可能性は否定できない」だの、「・・・ないとは言えない」だの、とにかく断定しない論調が多い。その有識者会合で12月22日に提示された東通原発に関する評価書案を読むと、愕然としてしまう。

これはとても科学的な評価とは言えない。よほど興味のある人か、かなり時間が有り余っている人は、ぜひ御一読されたい。

こんなことでは、日本の原子力規制委員会は、内外から信用を得ることはできないのではないか。このような結論で、大量の低廉安定電力を産み出す東通原発の存続の可否を決するとしたら、日本の原子力規制を信ずる国は日本自身も含めて無くなってしまう。

ところで、東北電力も、女川原発1~3号機(計217.4万kW)と東通原発1号機(110万kW)が停止させられ続けている。主にLNG火力発電の追加燃料費等が嵩んでおり、2013年9月1日に値上げをした。この時は、東通1号機が2015年7月に再稼働する前提で、家庭用は8.94%、産業用は15.24%の値上げ幅であった。女川再稼働は2016年度以降を見込んでいる。

震災前に比べて、この値上げ分(追加燃料費等)は予定外の出費である。

概算で、東北電力の需要家のおカネが「1日6億円」も予定外に海外の資源国に流出している。政府は、こんなことをいつまで続ける気なのだろうか?

因みに、東通1号機が震災前5ヶ年平均稼働率(2006~2010年平均で78.86%)で稼働するとなれば、筆者の試算では、年間800億円程度の節約効果を産み出す。これは国富の温存そのものだ。

安倍政権は、原子力規制委員会の規制運用を早期に改善し、一刻も早い発電再開を容認すべきだ。安倍首相がその旨を会見するだけで十分である。

原発停止は、アベノミクスの最大の足枷の一つとなっている。

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。