<なぜaikoのライブは女性が多いのか?>初音ミクが男女ともにウケている本当の理由


高橋維新[弁護士]

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世の中には、女性の片思いを主題にした歌がいくらでもある。

AKB48にはこの手の歌が多い。「ヘビーローテーション」「フライングゲット」「恋するフォーチュンクッキー」全部そうである。作詞は全て秋元康なので、「おっさん」がティーンエイジガールの心の浮動を言葉にしているわけだが、どんな顔で詞を書いているのかが見てみたいところである。大ヒットを飛ばすにはそれぐらいの開き直りが大事なのだろう。

女性の片思いを主題にした歌は、女性の気持ちを歌ったものなので、女性ウケする可能性を常に秘めている。しかし、男性ウケをするには満たさねばならない必須の条件が一つある。

歌詞の語り手が、かわいくなければならない。

歌においては、歌詞の語り手は大体の場合が歌っている「歌手」である。歌手じゃなかったとしても、聞き手はほとんどの場合歌手が歌詞の語り手だと考える。特に、シンガーソングライターとされる歌手(やバンド)においては、歌手が自らの体験や主義主張を語っているのが「歌」であると聞き手は考える。

つまり、歌手がかわいくなければ、女性の片思いを歌った歌の場合、男性ウケはしない。それは、有り体に言えば、ブスが「先輩が好きだけど気持ちを伝えられな〜い」などと悩んでいても、殴りたくなるだけだからである。

すなわち、aikoが片思いを歌にしても、女性ウケこそすれ、男性ウケは絶望的である。現に、aikoのライブの観客は女性が大多数を占めると言われる。

だから、世知辛いことに(そして、本質的ではないのだが)、歌手が売れるには見た目が重要なのである。音楽を「観る」時代になった今日であれば、その傾向はますます加速している。いくら歌がうまくても、聞き手の琴線に触れる曲や詞が作れても、見た目が良くないとそれだけでハンディキャップになるのである。

この点、「初音ミク」を始めとするVOCALOIDの良いところは、(アニメ絵であるとはいえ)容姿をいくらでも良くすることができる、ということだ。だから、初音ミクの片思いが歌われた「メルト」という歌も、女性のみならず男性にもウケているのである。

VOCALOIDは、初音ミクを始めとする架空のキャラクターを歌い手として、素人でも自由に曲作りができるのが売りなのであるが、その真のストロングポイントは、音よりも歌い手の容姿を(ソフトの作り手が)自由に設定できるところにある。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。