<上司こそ歩み寄るべき?>「ゆとり世代」こそグローバル社会に通用する逸材世代だ


岩崎未都里[学芸員・美術教諭]

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男性上司「まあ、上司の小言を聞くのも仕事のうちだから」

ゆとり世代部下「いや違いますけど」(と、ゆとり世代部下はビールを注がれるのを拒否。)

(4月18日にKADOKAWAから刊行されたばかりの「言うほどじゃないけど」の2コマ漫画から抜粋)

このやり取りを読んで、当たり前と思うのは「ゆとり世代」。イラッとするのはそれ以外の世代の方々です。先日50代の某上場企業管理職者の方に読んでもらったところ、

「何が面白いの? 失礼な部下だ。」

という返答。「ゆとり世代」の考えでは「ビールを飲むこと」「上司の小言を聞くこと」は会社での出世や円滑に仕事を行う為のモノだとは考えないのです。

「ビールは好んで飲みませんし、就業時間外ですが上司の小言を聞くと残業代でますか?」

と、言いかねません。

この本は「返事をくれない彼氏を追い込むLINEスタンプ」でお馴染み、「ゆとり世代」の森もり子さん(昭和63年・1988年生まれ:現在26歳)が、これまでTwitter上で日々UPしているものをまとめた、上司や先輩のパワハラ・モラハラや、友人とのイライラなど「言うほどじゃないけど/言ってしまいたい」心の声マンガ集です。

特に冒頭のような、40~50代上司とゆとり世代のやり取りの温度差は、30代の筆者は思いつきもしない、到底上司に言えるわけもない、所謂心の声であります。

Twitterでずっと見てきた中で、筆者が特に気になった2コマ漫画は以下のようなやり取り。

男性上司:仕事っていうのはチームワークが大切だよ、例えば全員が強打者でもだめだろう?

ゆとり世代部下:(イチイチ)野球に例えるな。

女性上司:そういうのは社会人として常識でしょ?

ゆとり世代部下:それは、私じゃなくて社会が間違ってると思いますよ

女性上司:もぉー!何考えてんの!?

ゆとり世代部下:何も考えてないから、こうなったんだよ

「ゆとり世代」側の視点から「言うほどじゃないけど、ちょっと嫌なこと」を描く斬新さが「団塊ジュニア世代」の筆者は「よくぞ言ってくれた!」と痛快でもあります。「団塊世代」からは、「屁理屈ばかりいうな。」という反応です。

世代論で言えば、日本の価値観はバブル崩壊を境にバブル世代(競争・上昇志向)VS団塊ジュニア世代(慎重・堅実・リスク回避)と、全く価値観が違う。

ただし、そんな我々団塊ジュニア世代でも、受験戦争や就職氷河期などの「他者との競争」自体は残っていました。

それが、2002年度からの学習指導要領「ゆとり教育(自己肯定・競わない)」の洗礼を受けた「ゆとり世代」では、競争自体が消滅し「自己肯定、マイペース」といった「ゆとり世代」の会社含め社会での扱いにくさは、世の中の定説になりつつあります。

企業の採用係の皆様も「脱ゆとり世代」まで新卒採用は期待できない、と、見捨てる記事も昨今よく目にします。新人歓迎会で、乾杯の飲み物を「とりあえずビール」にならない。上司を待たせても「僕、カシスオレンジで。」と注文してしまう新人「ゆとり世代」は定番のあるあるネタでしょう。

しかしながら「ゆとり世代」を扱いにくい存在と捉える皆さま。グローバル基準で言えば、ゆとり世代の彼等の考え方はむしろ常識且つ合理的でもあるのです。海外駐在中の筆者家族・友人達から耳にする「マイペースな現地ローカルスタッフとの苦労話」と「マイペースなゆとり世代との苦労話」は、とても類似しています。

今までの日本人の価値観自体が世界ではマイノリティになりつつある今、グローバル化した価値観の持ち主が「ゆとり世代」と言えます。彼等は世界市場にストレスなく適応できる、分岐点でとなる初めての世代なのです。

10年後は第一線で日本を担う「ゆとり世代」。上司である目上の人々が歩み寄り、付き合い方ひとつで、グローバル基準で世界へ通用する逸材世代となると、筆者は考えます。

 

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岩崎未都里

岩崎未都里(いわさき・みどり) 11歳より芸能事務所所属。多摩美術大学美術学部映像学科卒。学芸員。英国留学やバックパッカーの経験を通して、32カ国を渡り歩く。その間、パニック障害を完治させた。SJS症候群により九死に一生を得て、現在は闘病しながら あらためて医療心理学を学んでいる。