TV情報番組に「御用バッジ」を導入 -植草一秀

社会・メディア

植草一秀[経済評論家]

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山田真貴子氏が総務省情報流通行政局長の職位にあった時期に東北新社子会社の衛生放送事業会社が不自然な認可を得た。菅正剛氏が取締役を務める東北新社グループの子会社「株式会社囲碁将棋チャンネル」が2018年に総務省から「東経110度CS放送に係る衛星基幹放送の業務認定」を受けた。この認可が極めて不自然である。

当時、総務省はハイビジョン化を進めるために衛星基幹放送の大幅な組み替えを行なっていた。認定においてはハイビジョン放送であることが重視された。実際、このとき認定を受けた12社16番組のうち、11社15番組がハイビジョン放送だった。

ところが、「囲碁将棋チャンネル」番組だけ、ハイビジョンではない標準画質放送であるのに基幹放送の業務認定を受けた。この認定を決定した情報流通行政局のトップが山田真貴子氏だった。その山田氏が総務省職員ナンバー2の総務審議官の職位にあった、疑惑認可の翌年に東北新社から過剰接待を受けた。一人7万4000円の飲食饗応接待を受けた。

東北新社衛生放送事業子会社の役員は利害関係者であり、公務員倫理規定に違反する。しかも、7万4000円の高額接待は収賄罪が成立する可能性のある金額だ。国会に招致して説明を求めても、明白な証拠がない限り、口からでまかせの問題にならない答弁を行うことは目に見えている。

TBSの情報番組に出演するコメンテーターが山田真貴子氏の説明を絶賛したが、TBSは工作員まがいの茶坊主のようなコメンテーター起用をやめるべきだ。日曜朝の情報番組でも司会者や出演者が工作員であることを告白するような政権擁護発言を繰り返す。

電波メディアの生殺与奪の権を総務省情報流通行政局が握っている。その支配下に置かれているからテレビ局は政権工作員的な人物を番組の要所に配置しなければならないのだろうが、仮にそうであるなら、バッジなどを付けさせて、視聴者に分かるような配慮をすべきだ。

「御用バッジ」のようなものを製作して、御用コメンテーター、御用司会者には、そのバッジを付けさせる。これがあれば、視聴者は御用発言があっても、「これは御用人の発言」と認識して受け止めることができる。

インターネット上のニュースポータルサイトに、ニュース記事を装った広告が散りばめられている。しかし、よく見ると「PR」の表示がついているから一般の記事と区別できる。テレビに登場する「御用人」については、その属性が分かるように「御用バッジ」を付けさせて視聴者に配慮するべきだ。

テレビ局が自主的に対応できなければ、市民がコメンテーター等の属性を評価、判断する格付機関的な第三者機関を立ち上げて、広く市民に情報を周知させる必要もあるだろう。その一方で、政治権力に対しても厳しく批判を展開する良質な指揮者が画面から遠ざけられている。

そのマスメディアに睨みを利かせるのが総務省情報流通行政局。菅義偉氏は菅氏に巨額の資金支援を行う企業に長男を入社させた。親のコネで入社したことは客観的に見て間違いないと思われる。バンドマンをしてぶらぶらしていた菅正剛氏を、菅氏が総務相に就任した際に大臣秘書官に起用した。

菅正剛氏は大臣秘書官を退職したあと、東北新社に入社した。大臣秘書官時代に総務省幹部と面識を得た。東北新社に入社し、衛星放送事業子会社の役員を兼務して、総務省幹部に対する違法接待に邁進したのが菅正剛氏だ。

菅氏ら東北新社幹部による総務省幹部に対する違法接待の場では、衛星放送事業子会社の業務にかかわる会話をしていたことが明らかにされた。総務省幹部は国会に招致されて追及されてもウソを突き通していた。しかし、音声データという決定的な証拠が突き付けられると、発言内容を変えて事実を認めた。国会に招致しても、決定的な証拠がなければウソを突き通す人物たちなのだ。

総務省情報流通行政局は極めて不透明な認可を行った。その時期の局長に対して翌年過剰接待が行われている。この関係を突き詰めれば、贈収賄事件に発展する可能性もある。

国会でいい加減な答弁を行い、懲戒処分もなし、内閣広報官更迭もなし、で幕引きを図ろうとするなら、主権者国民が黙っていない。この一点を理由に次の世論調査で内閣不支持を広げる国民運動の展開が必要だ。

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