ワクチン接種「メリット」の正体-植草一秀
植草一秀[経済評論家]
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メディアはワクチン接種推進キャンペーンを展開している。菅内閣はワクチン接種に巨大な予算を計上した。この措置で最大のメリットを受けるのはワクチンメーカーである。しかし、日本で国民多数がワクチンを接種する必要性は高くない。大きな矛盾がある。
「ワクチン利権者のワクチン利権者によるワクチン利権者のためのワクチン接種」であると考えられる。英国アストラゼネカ製ワクチンで血栓が生じ、死亡する事例が報告されている。ワクチン接種は死のリスクを伴っている。アストラ社製ワクチンは日本政府のワクチン調達計画全体の約4割を占める。しかも、国民はワクチンの種類を選べない。
担当相の河野太郎氏は当初、接種を受ける人がワクチンの種類を選ぶことができると明言していた。しかし、これを撤回した。どの種類のワクチンを接種するのかを選べない。人気のあるワクチンと人気のないワクチン。日本政府の誰がどのようにその地域別配分を決めるのか。抽選などの方式を取らないと不公平になる。日本の個人の多数において、ワクチン接種のメリットはワクチン接種のリスクを下回る。しかし、大半のマスメディアはワクチンに対するネガティブ情報を隠蔽してワクチン接種を推進する報道を展開する。
テレビメディアはワクチン推進専門家しか画面に登場させない。現実には、ワクチン接種を推奨しない、ワクチン接種忌避を呼びかける専門家も多数存在する。こうした専門家をテレビメディアが排除している。メディアも巨大なワクチン利権の利益享受者の一角を占めている。ワクチンメーカーの経営最高責任者は自社株価が急騰した局面で保有株式を市場で売却して巨大な利益を獲得している。本来、ワクチン認可プロセスは極めて厳格だ。とりわけ大きな壁になっているのが第三相治験。このプロセスを完了しなければ認可が下りない。ところが、コロナワクチンでは第三相治験が省略されている。莫大なコストを要する第三相治験で優良な結果を得られなければ認可は下りず、メーカーは開発費用を回収することができない。しかし、コロナワクチンでは、特例で第三相治験が省略されている。メーカーは第三相治験なしで認可を獲得している。
それだけではない。ワクチンで事故が発生した場合の損害賠償責任を負わない特約まで付与されている。ワクチンメーカーは濡れ手に粟の巨大利益を供与されている。その利益の一部がワクチン利権関係者にキックバックされる構造が存在すると見られる。コロナワクチン利権の巨大な闇が存在する。東アジアの現状を踏まえれば、ワクチン接種の正当性が存在しない。重篤化しやすい基礎疾患を持つ者、重篤化しやすい高齢者は、ワクチン接種に一定の合理性がある。ワクチン接種のメリットがリスクを上回るケースがある。しかし、高齢でない健常者においては、ワクチン接種のメリットがリスクを上回るとは言えない。高齢でない健常者が重篤化する事例が極めて少ないからだ。
その一方で、ワクチン接種で血栓が生成され、死亡する事例が報告されている。テレビメディアが喧伝する「ワクチン接種のメリットがワクチン接種のリスクを上回る」の言い回しは一種のペテン。国民多数がワクチンを接種することは政治権力者にメリットがあるが、一人一人の国民にとってはリスクがメリットを上回る場合が圧倒的に多い。政治権力者にとっては少数の国民が命を落としても痛くもかゆくもない。この少数の国民の犠牲によって集団免疫を確保でき、利権も確保できるなら、政治権力者にとって、この方が都合がよい。
これが「ワクチン接種のメリットはワクチン接種のリスクを上回る」の正確な意味だ。高齢でない健常者はワクチン接種を忌避するのが適正だ。
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