<アメトーーク芸人の超辛口採点>「アメトーーク」でやりたいと思う企画を芸人がプレゼンするという「企画」


高橋維新[弁護士]

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2015年9月10日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、「若手芸人プレゼン大会」であった。若手芸人が「アメトーークでやりたいと思う企画をプレゼンする」という回である。

中身は、若手芸人のプレゼンごとにぶつ切りになっており、全体的に論ずべきことは特になかった。言うとしたら、「ここがおもしろかった」とか「ここが良くなかった」とかいった各論のみになる。

それぞれの出場者の採点をしてみたい。5点満点である。

【アントニー】(マテンロウ)2.0点

彼のプレゼンした「スニーカー大好き芸人」は「何かを褒める回」なので、あまり見えてこない。それこそ、スニーカーコレクターで「出たい」と言っている佐藤隆太で釣るだけの企画になってしまうのではないか。おもしろポイントも「小4の頃からスニーカーの靴ひもを抜いてはいていた」というエピソードだけだったので、今回のパフォーマンスも褒めることはできない。

せっかく日本人離れした顔立ちというキャラクターがあるのだから、もう一皮むけるにはこのキャラクターをもっと生かした立ち回りができるといいのだが、あまりやりすぎると人種差別的になってしまうという難点はあるのか。どうなのか。

まあ、そのキャラクターを活かして一瞬売れたとしても、それを5年、10年と続けていくには地力が必要なのだが。

【横澤夏子】1.7点

バカにすべき人物やシチュエーションを見つける観察眼、それを余すところなく伝えきる表現力が彼女の持ち味である。プレゼンの内容が「卓球芸人」だったので、その持ち味がほとんど生きていなかったのが問題である。

「卓球芸人」自体も「何かを褒める回」になる未来しか見えなかったので、やっぱり期待ができなかった。卓球が好きだという枕をフリにして、本来好きなはずの卓球のバカにすべきポイントを表現できたら芸人として本物なのだが。

顔がデカいというフラも持っているのに、それも冒頭にツッコまれただけだった。アントニー以上に強みが活きていなかった印象である。

【ゆいP】(おかずクラブ)2.6点 + 【オカリナ】(おかずクラブ)3.0点

2人でプレゼンしたのが「バージン芸人」である。まあ、キャラクターも生きるし「何かをバカにする回」なので一定のおもしろさも見える。オカリナは、いつものキス芸もやっていたので3点はあげられるが、ブサイクが少し客を引かせてしまう(あるいは可哀想と思わせてしまう)レベルに達しているのが辛いところである。

あと、女が女を捨てているという芸は、なかなか飽きられるのが早いので、息の長い女芸人連中のように地力をつけていかないといけない。

【池田直人】(ひので)1.8点

プレゼン内容は「母親に愛され過ぎている芸人」だった。自分の母親が自分をいかに溺愛しているかをバカにして語る企画である。ただ今回おもしろいエピソードは全部出してしまったような気がするので、実現したらそれ以上話すことがあるのかというのが問題である。また彼の母親は、話を聞く限りかなり異常な域に達していたので、同レベルの題材が他に集まるのかというのも心配である。

母親の異常性を示すエピソード以外の強みが出せていなかったので、点数としてはこんなもんである。なんというか、お母さんがおもしろいだけなのである。

そのお母さんも、東京で独り暮らししている息子と同居しているとか、彼女と3人でデートしたいと発言するとか、かなり常軌を逸していたので、視聴者を引かせてしまったのではないかと心配になった。

息子が今まで6人の女性と経験があるというのを本番中に暴露したときのリアクションも、「素」が出過ぎていて笑いに還元できていなかった。笑いを生み出そうとするなら、もっとオーバーにやる必要がある。まあ、素人に文句をつけてもしょうがないのだが。

【伊地知大樹】(ピスタチオ)2.0点

変なしゃべり方がウケて売れかけているコンビの片割れ。内容の伴わない芸人が変なしゃべり方「だけ」で売れると、普通のトークの時にこの強みが一切取っ払われてしまうので、瞬く間に凋落してしまう。ヒロシ・波田陽区・スギちゃんなど先人の死屍は累々たるものである。

伊地知も今回「元ホスト芸人」として普通にしゃべっていた。その内容自体は色々と興味深かったが、「元ホスト」の引き出しが全部なくなった時に彼の真価が問われるというものである。まあ、本当に引き出しがある人であればこういう機会に色々と出していけるはずなので、今回出なかったということは前途多難であろう。

【まぁこ】1.6点

伊地知が「プライドが高そうだからホストにひっかかりそう」と言っていたのにまともに反論できていなかったのはいただけない。ちゃんと対応すれば、何らかの笑いは生まれたはずのシチュエーションである。マジでムッとしてしまったのなら、芸人としてはダメである。

確かに話を聞いていても自分のデブやブサイクといったフラはあまり活かされていなかったので、本当にプライドが高いのかもしれない。まあ知らんけど。

【小宮浩信】(三四郎)2.7点

滑舌が悪く、ちゃんとしゃべれないという「出川ライン」の芸人。その天然っぷりを笑われるのが、彼の立ち位置である。今回も「辛い物大好き芸人」をプレゼンしているのに番組が用意した激辛ラーメンに青息吐息であり、基本的には前記の立ち位置が守られていた。

ただ、後にこの激辛ラーメンを食べたアイアム野田は何ともないリアクションをしていたので、最終的に全てが鼻についたというのが結論である。

激辛ラーメンがアイアム野田の反応通り実際は辛くないものだったとしたら、小宮は演技で辛いリアクションをしたことになり、「『辛い物大好き芸人』をプレゼンしているのに実際は全然ダメ」という流れも当初からの既定路線ということになる。平たく言えばヤラセである。

ヤラセだったとしたら、小宮単独で見ればそれなりの(ヤラセだとは断定できない程度の)リアクションはできていたので、アイアム野田のノーリアクションがそれをバラしてしまったことになる。つまり、アイアム野田はポンコツだということにもなるのである。小宮のフリでの「辛い」リアクションができていた藤本とは雲泥の差である。

まあ、激辛ラーメンが本当に辛いものであり、アイアム野田が実際には小宮より辛さに強かった可能性もゼロではないのだが、そんな辛いラーメンに泰然としていられる人は珍しいと思うので、そうは考えにくい。

【アイアム野田】(鬼ヶ島)1.0点

前記の通りポンコツ疑惑がある。プレゼン内容は特に記憶にない。

【藤本敏史】(FUJIWARA)3.2点

若手をイジって引っ掻き回す役。若手のために控え目にしていたのかもしれないが、若手が全体的に期待外れだったのでもっと前に出てよかった。

【宮迫博之】(雨上がり決死隊)2.5点

藤本よりも前に出るのを控えていた印象。

【蛍原徹】(雨上がり決死隊)1.0点

見せ場はオカリナとのキスのみ。キスする前にもっと嫌がる芝居をするだとか、キスした後にもっとリアクションをするだとか、魅せ方はあったはずである。ビジネスで漫然とキスをしてしまったところが彼のセンスのなさを端的に表している。

【鈴木奈々】0.8点

ゲストの女性タレント枠。特に何もしていないと思う。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。