<フリートークのできない芸人の末路?>アメトーーク「波風立たせたくない芸人」はハリセンボン近藤春菜だけが及第点


高橋維新[弁護士]

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2015年9月24日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、「波風立たせたくない芸人」であった。

普通の人であれば怒ってしまうようなシチュエーションで「波風を立たせたくない」ために下手に出てしまう芸人の悲哀を面白おかしく話す回である。どちらかというと「何かをバカにする回」(http://mediagong.jp/?p=8317)には当たる。

ただ、全体的には単発のエピソードの連続ばかりで、あまり有機的な絡みがなかった。これであれば、全員を一つのスタジオに集めてトークさせる意味がない。

唯一あったのは、「波風を立たせまくるゲスト」として登場したmisonoにキレる近藤春菜(ハリセンボン)という絡み。今回及第点をあげられるのは春菜のみである。

他の芸人は自分の話をするだけに止まらず、もっと他の芸人にガヤなどを通して絡んでいくことを意識しなければならない。博多華丸や宮迫博之はそれができるはずであるが、今回は軒並み大人しかった印象である。

総論はこれぐらいで、出演者を5点満点で採点してみたい。

【博多華丸】(博多華丸・大吉)2.9点

前述の通り普段ならできるはずの有機的な絡みがあまりなかった印象。「波風立たせたくない芸人」という触れ込みであったため、その設定を守るべく大人しくしていたのかもしれないが、misonoにキレた春菜には特に違和感を覚えなかったので、その必要はなかった。もっと、前に出てよかった。

唯一の絡みといってよかったのは、misonoに「3の倍数が好きなんだね」と言った瞬間であるが、印象に残ったプレイはこれぐらいである。

【飯尾和樹】(ずん)2.7点

華丸から印象に残ったプレイを引いた感じ。ギャグはたくさん持っているが、自分のトークの順番が回ってこないとやらない(できない)ので勿体ない。ザキヤマやFUJIWARA・藤本みたいにもっと割って入ることができれば化けると思うのだが、それがやりたくないのであれば無理にとは言わない。

【近藤春菜】(ハリセンボン)3.2点

前述の通りmisonoにキレるという絡みができていたので今回の面子の中では一番高い点数にある。ただこのガヤをmisonoが出てくる前からやってほしかった。

【岩尾望】(フットボールアワー)2.7点

飯尾と全く同じ。

【川村エミコ】(たんぽぽ)2.7点

めちゃイケに出ている時よりは喋れていたが、自分の話ができていただけなので飯尾や岩尾と同じ点数である。

【伊達みきお】(サンドウィッチマン)2.8点

やっぱりほとんど自分の話しかできていなかった。伊達の迫真のツッコミは非常に効果的なので、もっとどんどん入れていってほしい。今のままでは堤下に負けている。「台本通りの漫才しかできないからM-1をとっても伸び悩むのだ」とも言われかねない。まあもう筆者が言ってるが。

【宮迫博之】(雨上がり決死隊)2.8点

今回はつなぎ程度の仕事しかしていなかった印象。

【蛍原徹】(雨上がり決死隊)1.7点

唯一の仕事は「波風立たせる芸人」として出てきた村本に「おまえも波風立たせたくない芸人やないか」とツッコんだ部分。

【村本大輔】(ウーマンラッシュアワー)2.4点

「波風立たせる芸人」としての登場。波風立たせたくない芸人とケンカをしておもしろくする役割だが、蛍原にツッコまれた通りその役割はあまり果たせていなかった。

村本が自分でも押している「ファンに手を出すクズ」「人とケンカをしまくる」というキャラクターは、どうにもテレビ的な意味で無理して演じているような印象がある。

今回村本は伊達の事務所を聞いたうえでそれをバカにするというネタも入れてきたのだが、それを前日から考えていたと自分で述べており、宮迫も指摘していたように根はとても真面目だと思われる。自分の素と異なるキャラクターも迫真性を持って演じ切れるのであれば問題はないのだが、見ている限り村本自身には演技力もキャラに徹しきる意志も不十分であるため、奏功していない。

以前に村本が出演した「マイナス思考芸人」(http://mediagong.jp/?p=11274)や「寂しがりや兄さん」(http://mediagong.jp/?p=11569)でも、嘘くさいエピソードやわざとやっているのではないかという行動が見てとれたというのは指摘したところである。今のままでは、「テレビに出るために無理して自分を繕っている痛々しい人」でしかない。

ただ、その「痛々しい人」というのも一つのキャラクターであるため、それをイジられるというのもテレビの出方としてはあり得る。実際村本はそういう扱いを受けていることも間々あり、今回も何度も述べている通り蛍原から「波風立たせる芸人」を演じ切れていないことをツッコまれていた。あとは村本自身がそういう扱いを受けていることにまだ十分に自覚的でない気がするので、波に乗れるかどうかである。

最後に、今回村本は「アメトーークのスタッフが自分の悪口を言っているのを偶然聞いてしまった」というエピソードを話していたが、全体的に分かりにくかったのでもっと話し方や何をどう話すかという順番は考えた方がいいと思う。早口で誤魔化し過ぎである。

【misono】2.5点

女性タレント枠だが、村本と同じく「波風を立たせる人」という枠での出演である。

わざわざ波風を立たせる言動をしたエピソードを色々と話していたが、なぜそういう行動をとるのかということにあまりピンとくる説明がなかった印象である。そうなると、村本のように「話題作り」や「キャラ作り」でわざとそういうことをやっているのではないかという疑いは消えない。だからこそ嫌われ者になっている面は、否定できない気がする。

ただ、春菜がキレることで視聴者は溜飲を下げることができたので、致命的なほどの不快感はなかった。春菜の動きを引き出せたという意味では仕事はしたことになるが、こういう形で怒られないままに番組が終わると、「ただの嫌な奴」というのが最終的な印象になってしまうので、注意した方がいいと思う。番組としての取り扱いにも注意が必要だろう。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。