[茂木健一郎]<「新年の誓い」と自己満足>「ビッグになりますよ!」という言う人はビッグになりづらい


茂木健一郎[脳科学者]

***

新年の誓い(New Year’s Resolution)というのは、小学生の頃は何となくやるものだと思っていたけれど、最近は全くやらなくなってしまった。一つには、そもそも「年」という区切りが、人為的であまり意味がないと思うようになったこともある。

もう一つには、Derek Sivers がTED talkで触れていたが、「人生の目標を公的にアナウンスすると、それ自体で満足してしまって努力しなくなる」という効果。新年の誓いをすると、それ自体で満足してしまって、努力しない可能性がある。

目標を人に言うことで、ある程度の満足感が得られてしまうというのは、特に思春期に多く見られる現象のように思う。仲間内で「未来はこうしよう」とか言い合っているけど、結果として何もしないし、ならない。自分や友人でも、身に覚えがある。

最近でも、学生などが、「茂木さん、オレ、将来、ビッグになりますよ、見ていてください!」などと言ってくるけど、そのような彼(ないしは彼女)が実際にビッグになることは、比較的少ないように思う。どうも、目標を宣言することは、あまり効果がないようだ。

もちろん、目標の宣言が、実際にそれをやるというコミットメントとしてとらえられれば、本人に対するプレッシャーになるだろう。しかし、実際には、新年の誓いのようなものは、本人が一時的にいい気分になる(feel good)効果の方が、大きいようだ。

生きる上で、目標はあった方がいい。しかし、やたらと目標を友人などに言うと、それだけでいい気分になって、満足して、かえって努力しない。このディレンマをどうすればいいのかというと、「サプライズ追求」というやり方がいいように思う。

自分で、目標を立てるのはいい。しかし、それを誰にも言わずに、自分の中でとどめておく。そして、コツコツと努力する。実際にその目標を達成できた時に、友人たちに披露して「サプライズ」した時の効果を予期して、それを楽しみに努力するのである。

目標を決めても、それを誰にも言わず、実現した時に周囲がびっくりするのを目指して、コツコツと努力する。今年の新年の誓いは、そのような「サプライズ追求」型にすることをおすすめします。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。