<女子大生事情>ボケとツッコミを軽視する人間はコミュニケーション下手?


影山貴彦[同志社女子大学 教授/元・毎日放送 プロデューサー]

***

筆者の大学でのゼミにての話。

漫才のボケとツッコミについて発表した学生がいた。ボケとツッコミは、日常のコミュニケーションにおいても、重要な要素である。軽視する人間は、大抵コミュニケーション下手であろう。

熱心に下調べしており、とても良い発表になった。

「最近気になるコンビいてる?」

と、教え子に聞いてみた。

「『かまいたち』にもっと売れて欲しいです!」

との発言。その答えだけで、彼女が純粋に「お笑い」が好きだと分かる。見る目あり、だ。

ちなみに、ゼミ生のうち半数はキョトンとしていた。

「かまいたち」を知らないのだ。お笑いブームも、やはり絶頂期とは言えないのかもしれない。

ちなみに、筆者のゼミは手前ミソながら、笑いのセンスの長けた学生が集っていると思う。大阪出身者もとても多いのだ。

こんなコミュニケーションもあった。別の日、大学院の講義での話。

終戦直後のヒット曲、並木路子さんの「リンゴの唄」の話をする。すると、一人の受講生が、

「その歌、知らないでんです。どんな感じの歌ですか?」

と筆者に聞いてきた。

「終戦直後の描写をする際、映画とかドラマの1シーンで闇市とかのラジオから流れてくることもしばしばあって・・・」

と、一般論を背景から説明しかけていたら、別の学生が、絶妙の間でさらりと、

「赤~いリンゴに、くちびる寄せて~、だまって見ている~青い空~・・・」

とワンフレーズ、歌ってくれた。言うまでもないが20代前半の教え子だ。軽く歌っただけだが、どても上手かった。心にズンと響いた。

「めっちゃ、ええやん!」

と、何度も褒めた。携帯を引っ張りだして、サイトを検索して学生に聴かせるより数段良かった。講義も彼女のおかげで、さらに盛り上がった。

こういうセンス、ちょっとした度胸は、男性より女性のほうが一般的に長けていると思う。筆者にできるのは、講義の中で学生がそういうことをやりやすい雰囲気を漂わせることくらいだろう。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

影山貴彦

影山貴彦(かげやま・たかひこ)同志社女子大学 学芸学部情報メディア学科・教授。早稲田大学政治経済学部卒。専門は「メディアエンターテインメント論」。毎日放送(MBS)プロデューサーを経て現職。日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」「おっさん力」「百恵讃」「社会人大学院生入門」など。