カレーパンは日本文化の凄さを象徴した「ZEN」である[茂木健一郎]

社会・メディア

茂木健一郎[脳科学者]
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先日、私がホストをさせていただいているTokyo FMの番組「ドリームハート」のゲストに、作家の村山由佳さんがいらした。新作「LaVie en Rose」のお話をうかがったのだが、村山さんに、ブラインドスポットの平塚さんが同行されてきた。
ブラインドスポットの平塚さんと言えば、業界で知らない人はいないスーパーウーマンである。書籍の広報戦略を担当される。平塚さんの凄さはまた別の機会においおいお話するとして、その平塚さんが、カレーパンを2つくださった。
白い袋に「ビーフカレー」と「とろ〜り半熟卵カレー」と書いてある。あっ、これは、ヤバいやつだ、と思って、収録に来ていた、植田工にやらずに、もらって帰ってきて今朝たべた。やっぱり、ヤバかった。
【参考】<SEALDsの運動に新しい歌はあったか?>映画『わたしの自由について~SEALDs 2015~』を観て[茂木健一郎]
どこのカレーパンなんだろう、と白い袋を見ても、店名が書いていない。それで、「カレーパン 袋 卵」で画像検索してわかった。「天馬」さんだった。天馬のカレーパン、うまい。植田工、やらなくてわるかったな(笑)。
話は変わるのだが、カレーパンのような存在は、日本の文化の吸収と洗練の凄さを象徴していると思う。カレーにせよ、パンにせよ、外から入ってきたものなのに、いつの間にか、「カレーパン」といういかにも日本的な洗練のかたちにしてしまう。
カレーパンとは何か、と言えば、やはり「ZEN」であろう。これ以上、引くものはないという、引き算の美学。シンプルな形状の中に奥行きを表現して、ごたごたとしない。
嗚呼、カレーパン、たかがカレーパン、されど、カレーパン。ブラインドスポットの平塚さんの持ってきたカレーパンの余韻に浸りながら、私は、今朝、心の座禅をしたのであります。

 (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 
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