EUを離脱したイギリスの思い上がりが連合王国を解体させる[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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先日、東京大学駒場キャンパスでの授業のあと、飲んでいたら、イギリス出身で今はドイツのベルリンにいる、という人がいた。それで、いろいろ話していたのだが、ちょっとおもしろい点があった。

彼によると、EUの構成国のほとんどを占める大陸ヨーロッパの雰囲気としては、今回の英国の離脱を、残念がる気持ちの一方で「せいせいした」という意見もあるというのである。

英国は、これまでのもEUのやり方に対して、いろいろな「文句」を言ってきた。EUのメンバーでありながら、EUのさまざまな改革、路線に対して、いわば「抵抗勢力」であり続けた。その英国が抜ければかえってやりやすくなる、というのである。

【参考】<EU離脱は英国「終わりの始まり>スコットランドと北アイルランドも独立の気運

彼は父親がアイルランド出身なので、アイルランドのパスポートをとることができるから、そうするかもしれない、と言っていた。アイルランドのパスポート申請者が殺到していて、「ちょっとまってください」ということになっているらしい。

英国内では、以前から、ユーロ懐疑派が存在して、EUのあり方に対して、いろいろと文句をつけてきた。その際に、自分たちは特別だという、「上から目線」があったことは、事実だと思う。EU離脱で、そのような英国のあり方に対する反発が噴き出しているのだろう。

英国は、世界的に見れば、もはや特別な存在ではないのに、自分たちだけは別だと思い上がっているところがあったのかもしれない。

EU離脱の火遊びをしているうちに、スコットランドも、そして北アイルランドも離脱し、連合王国自体が危機にひんしているのは、皮肉なことである。

  (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。