<「夜空ノムコウ」の行方>解散SMAPのメンバーは「SMAPの曲」を歌えるか?

エンタメ・芸能

小林春彦[コラムニスト]
***
SMAPの解散が決まってしまいました。
普段はアイドルグループのコンサートに足を運ばない筆者も、珍しくSMAPだけはファンクラブに入っていた知人に誘われ、東京ドームのコンサートに行ったことがあります。5色のレインボーカラーが入ったタオルを振って絶叫する知人の姿に自分の居場所を失くしたものです。
確かに音楽的なことを言えば、音程が不安定だとか、声量が不十分だとかを、嫉妬半分で口にする「アンチSMAPな人」もいます。しかし、どんなに音楽的な揶揄がされようが、誘われてコンサートに行っただけの筆者でさえ、それぞれのソロパートのフレーズとユニゾンになるサビ、そして5人が揃って聴き手を揺さぶるSMAPのオーラと演出に感動させられました。
その時のコンサートのことを回想しつつ、「メンバーたちは、解散したら、SMAPの曲は歌えなくなるのか?」と思わず考えてしまいました。
【参考】<SMAP解散>北朝鮮状態のジャニーズは芸能界の縮図
SMAPのメンバー5人が解散したら、今後ソロ活動を行うと発表しているメンバーがライブやテレビ番組でSMAP時代の曲を歌うことはできるのだろうか。
どれだけ知られているのか分かりませんが、曲の著作権を持っているのはジャニーズ事務所ではなく、作詞家と作曲家です。そこに、作家から著作権を譲り受けた音楽出版社も加わります。
たとえば名曲「夜空ノムコウ」は、作詞・作曲のスガシカオさんと川村結花さん、そしてジャニーズ出版が権利者ということになっています。
一方で著作権者の多くは音楽著作権管理団体に管理を委託しており、泣く子も黙る管理団体「JASRAC」には、SMAPの500曲近くの楽曲が登録されています。
しかしながら、JASRACをはじめとするこの手の管理団体には、正当な交渉があれば著作物の利用許諾を拒んではならないという「応諾義務」があります。そのため、決められた使用料を支払えば、原則として自由に楽曲を使うことが可能です。
つまり5人が離れ離れになったソロライブでSMAPの曲を歌うことがあっても、主催者がJASRACに許諾手続きをとれば問題はありません。テレビ局各社に関して言えば、JASRACと包括契約を結んでいるため、個別に手続きをとる必要もなく、歌うことは可能ということになります。
【参考】<「所属」という病気>ジャニーズを離れない「解散SMAP」
ただし、これはあくまでも法律上の問題はクリアできる、という話に過ぎません。SMAPが契約レコード会社であるビクターエンタテインメントとどういった契約を交わしているかは分かりませんが、例えば、「契約終了後の実演は認めない」といったような制限があるのだとすれば、そちちらに従わなくてはなりません。つまり、歌うこと(実演)はできません。
もちろん、解散してバラバラになったメンバーたちに、SMAP時代の曲を歌わせることをイメージ管理に厳しい天下のジャニーズ事務所が認めるのか、といった別の問題も残ります。解散しようが、独立しようが、芸能界で活動する以上、ジャニーズ事務所を敵に回すことは、そうそうできることではありません。
わざわざテレビ局が、解散SMAPに楽曲披露のステージを企画するというのも当分は考えにくいので、このまま解散となれば、5人のメンバーたちが、数々のSMAPのヒット曲を披露する機会は失われてしまうように思います。
筆者も物心ついたころにはSMAPがTVと共にあった世代です。またSMAPの楽曲が彼らの声で聴けることを願わざるにはいられません。
 
【あわせて読みたい】