観ていない人の妄想を膨らませる「シン・ゴジラ」の百聞


茂木健一郎[脳科学者]

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私は、今話題の『シン・ゴジラ』をまだ見ていない。見たくないわけではなくて、見たいんだけど、時間がとれないのだ。ところが、まわりの人がみんな見ていて、先日も、ゼミのランチの時や飲み会で聞いたら、みんな見ていた。

『シン・ゴジラ』を見ていない状態で、見た人の話を聞いていると、いろいろと妄想が膨らんでくる。たとえば、ゴジラが最初に登場するときの「かたち」(?)がヘンらしい。これは複数の人の証言である。なんか、幼生? みたいなかたちらしい。

『シン・ゴジラ』を見た人同士の会話を聞いていると、「未経験者」としては妄想が膨らんでくる。

「背中からビームが出るときの、あの出方はびっくりするよな」

「そうそう、あんな出方って、幾何学的に可能なのかなって思うよな。」

「京浜東北線が、あんなところ通るかな」

「通るんじゃないですか」

「京浜東北線と、平行して走っているあの線が、ああなるなんてことはないだろう。」

「あのシーンは、鉄道マニアにはたまらないですよね」

って、いったい、どんなシーンなんだ!(笑)。『シン・ゴジラ』を見ていない私には分からない。

「首相の消え方がすごいよな」

「あっさりしていて」

「今回のゴジラは、容赦ないよな」

「そうそう」

「昔のゴジラみたいな、情緒、というか、手加減の感じがないよな」

「そう、あの、徹底的にやるところがいい」

って、一体、どんなふうに徹底的にやるんだ?! あ〜『シン・ゴジラ』が見たい!(笑)

【参考】ハリウッド版『GODZILLA』は「ゴジラ」を名乗らなければならない宿命が失敗だった

『シン・ゴジラ』を見た人同士の会話を聞いていると、面白いことに、いわゆる「ネタバレ」というよりも、ますますこっちの疑問というか妄想が膨らむ。なんのこっちゃ、よくわからない。百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、『シン・ゴジラ』の百聞をいくら積み重ねても、実際に見ないとわからぬ。

というわけで、私は一体いつ『シン・ゴジラ』を見るのだろうか。そもそも、『シン・ゴジラ』の「シン」が、「真」なのか「神」なのか「新」なのかもわからずにいる私は、劇場でさまざまな謎が解けるその日を楽しみにしている。「あ〜このことだったのか!」と。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。