脳内To Do Listの活用で「フロー100%」に[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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何かに集中して、時間が経過するのを忘れるような状態を「フロー」という。アメリカの心理学者チクセントミハイの概念である。フローの状態において、人はパフォーマンスが最大になる。行為自体がよろこびになる。

一日のうち、ほとんどの時間がフローになるように生活するのが一つの理想である。そしてそれは可能である。朝起きてから眠る時まで、常に、その時々にやっていること、「今、ここ」に集中して、フロー率をほぼ100%に持っていくのである。

フロー100%にするためには、いくつかのコツがある。一つには、気分転換や行動の切り替えのタイミングを見誤らないこと。煮詰まりそうになったら、さっと切り替えて、歩いたり、他のやらなくてはいけない行動をする。そのようなスイッチングによって、フローを継続していける。

【参考】脳科学者が考える「To Do List」を使うべきではない理由

To Do Listは、どこか外部に書いておくのではなく、心の中に思い描いていることを推奨しているが、そのような脳内To Do Listは、フローを継続する上では役に立つ。常に、実際に行動できる以上の事項を脳内To Do Listに置いておくことで、臨機応変に切り替えるのである。

常に「今、ここ」に集中すること、そして、行為の切り替えをスムーズにそして柔軟に行うこと、常に多くの脳内To Do Listをイメージしておくことで、朝起きてから夜寝るまでのフロー時間を、限りなく100%に近づけることは可能である。

フロー100%への道は、脳内経済政策に似ている。ある時は自由放任に、別な時は敢えて刺激策をとる。また、思いつきで突然予定外のことをやるのも良い。結果としてフローが100%近くになるのは可能だし、そこを目指して生活するのが楽しい。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。