「喫煙可の飲食店」ドヤ顔でタバコを吸う愛煙家に疑問


矩子幸平[ライター]

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我が国で習慣的にタバコを吸っている「成人喫煙率」の割合は、現在19.3%(2016「厚生労働省国民健康栄養調査」)。この数値を高いと見るか、低いと感じるかは、人によってそれぞれであろうが、日本人の2割に満たない程度が「愛煙家」ということになる。

筆者は、いわゆる「嫌煙家」であり、タバコを吸うことができる飲食店には、極力行かないようしている。それでも「喫煙可」の店にゆくことはある。最近は、終日禁煙の飲食店が多いものの、「インド料理(カレー)」「タイ料理(他アジア料理)」などを中心に、いわゆる「エスニック料理」はほとんどが「喫煙可」であるからだ。

悲しいかな、エスニック料理はおいしい。しかも、家庭で作ることができるような料理ではない。そうなると、いかに嫌煙家とはいえ、「喫煙可」になっているエスニック料理店に行かざるをえないわけだ。

もちろん、そのような場合でも、できるだけ喫煙客がいなそうな店を狙うし、仮に喫煙者がいても、喫煙量が少なそうで我慢できるギリギリのレベルであれば、できるだけ喫煙者から遠い場所に座ることもある。

喫煙客からできるだけ遠い位置に陣取ったのに、後から来た喫煙客が横にすわった時の残念感、不愉快感はこの上ない。店内に入り、タバコ臭が充満しているような場合は、すぐに店を出る。「嫌煙ジプシー」になってしまうこともしばしばだ。

【参考】<タバコ非合法化を>生産農家には莫大な税金とJTの内部留保金で補償?

・・・とは言うものの、当然であるが、「喫煙可」の店でタバコを吸っている客が悪いわけではない。少なくとも「喫煙可」であることは事実であり、法律違反をしているわけではないからだ。

もしかすると、「嫌煙ジプシー」とは逆に、喫煙できる場所を探し回った「喫煙ジプシー」であり、ようやく喫煙しながら食事ができる場所を見つけた苦労の人かもしれない。

そのためか、「喫煙可」の飲食店では、喫煙者たちは遠慮することなくタバコを吸っている。普段は、小汚い喫煙スペースを探し回って細々と吸わねばならない環境にある人がほとんどであろうから、なおさら快感なのだろう。

しかし、「喫煙可」の飲食店で当然のごとく、周囲を気にすることなく喫煙する愛煙家たちを見て、疑問に思うことがある。「この人たちは、何か勘違いをしているのではないか?」ということだ。

「喫煙可」の飲食店は、「タバコを吸っても良い」というだけで、「喫煙専門店」とは限らない。少なくともエスニック料理店であれば、「喫煙推奨店」になっているわけではあるまい。あくまでも、「今のご時世、なかなかタバコは吸えないけど、うちは特別に吸っても良いですよ」という意味と理解すべきが近年の先進国の感覚だろう。

「喫煙可」の飲食店には、タバコを吸わない人も来るし、その中には、嫌煙家がいてもおかしくない。その飲食店が人口の2割未満の少数派である喫煙者に配慮をしてくれている、というだけに過ぎない。「ペット可の飲食店」と「ドッグカフェ」が違うのと似ているかもしれない。

そのため、「喫煙可」の飲食店であっても、タバコを吸う時は、それなりに肩身の狭い思いをしてしかるべきである。吸っても良いが、その時は、周囲に一言かけて、その上で煙が人にかからないようにしたりと、細心の配慮をして初めて許される喫煙であるはずなのだ。「喫煙可」とはいえ、非喫煙者たちを不愉快にさせる権利はない。

なぜなら、喫煙者以外で、タバコの煙や臭いを気持ち良く思っているような人はいないからだ。

にもかかわらず、「喫煙可」の飲食店にいる愛煙家たちは、「愛煙家専門店」か「喫煙推奨店」でもあるかのごときドヤ顔で、タバコを吸っている人が多い。周囲に一切配慮しないその振る舞いは「喫煙可の飲食店では吸わない人がマイノリティ」と言わんがばかりだ。

こう書くと、「喫煙者の権利」云々を言う人がいる。確かに、現行法では合法である煙草が、一般販売されている商品である以上、それを購入し、楽しむという権利はあるだろう。しかし、それは「悪臭マニア」「汚物フェチ」と同様、第三者に迷惑をかけないように、個人的に楽しむ権利は有するし、その限りにおいて差別されたり、罰せられない、という「権利」だ。「汚物フェチ」が汚物を公共空間で撒き散らす権利を認める人はいないだろう。

もちろん、やみくもに「喫煙者が悪い」と言いたいわけではない。しっかりとマナーを守り、第三者に煙草臭を嗅がせないように、努力している喫煙者も少なくない。そういう人であれば、「悪臭マニア」「汚物フェチ」と同様に、心ゆくまで自分の趣味を満喫してほしいと思う。

ようは、それを嗜好しない人にとって不愉快な行為は、仮に合法であっても周囲に不愉快な思いをさせないように細心の注意をはらえ、ということに過ぎない。

【参考】<メディア取材でも違法>接待大国・韓国で2800円以上の接待が禁止に

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日本は世界的に見ても先進国としては、極端に喫煙の敷居が低い国である。改めて確認してみると、日本のタバコが先進国に中では、飛び抜けて安い価格であることがわかる。「マールボロ」を例にとって比較してみたい。

日本の「マールボロ」は1箱「460円」である。

以下に、OECD(経済協力開発機構)が先進国として定義する高所得会員国32ヵ国の「マールボロ」の価格が高い順に示す。1位(最高額)はオーストラリアの2070円で、最低(最安値)が韓国の217円である。

なお、いわゆる「先進国」としてのイメージがある国は、概ね600円以上になっている。500円以下の国は、先進国といわれても、あまりピンとこない国だろう。その中に「460円」の日本はある。

・オーストラリア 2070円
・ニュージーランド 1761円
・アメリカ合衆国 1521円(ニューヨーク)
・ノルウェー 1517円
・カナダ 1247円
・アイルランド 1097円
・イギリス 1097円
・フランス 948円
・スイス 826円
・アイスランド 826円
・オランダ 812円
・スウェーデン 772円
・フィンランド 758円
・ベルギー 705円
・デンマーク 690円
・ドイツ 690円
・イタリア 677円
・ルクセンブルク 623円
・オーストリア 610円
・スペイン 596円
・ポルトガル 555円
・ギリシャ 528円
・イスラエル 528円
・チリ 452円
・【日本】440円
・チェコ 433円
・ポーランド 393円
・スロベニア 379円
・スロバキア 365円
・ハンガリー 364円
・エストニア 270円
・韓国 217円

筆者としては、日本の経済感覚からすれば、煙草1箱の適正価格は1500円以上であると考えている。

その理由は、1箱1500円もする燃えてなくなる贅沢品を楽しむような喫煙者なら、マナーだって悪くないと思うからだ。

 

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矩子幸平

矩子幸平(かねこ・ゆきら)フリーライター。徳島県出身。早稲田大学第二文学部(思想・宗教系)を苦学してないにもかかわらず6年かけて卒業。編集プロダクションなどでの文筆労働・編集労働に従事後、フリー。ライトな記事からヘビーなテーマまで幅広く執筆することがモットー。