<森友疑惑が第2ラウンド>値引き交渉詳細を酒井康生弁護士から聴取すべし -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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連休明けの国会では衆参両院の予算委員会で安倍首相出席の下で集中審議が行われる。

森友疑惑が第2ラウンドを迎える。安倍首相は2月17日の衆議院予算委員会質疑で、

「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」(議事録251)

「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」(議事録255)

と答弁しているから、安倍昭恵氏が森友学園の土地取得問題に「関与」していた場合には、首相と議員を辞任することになる。極めて重大な事案である。この問題が首相辞任、議員辞任に直結する重大事案であることを明言したのは、安倍首相自身であるという事実を踏まえて与野党は対応する必要がある。

些細な問題ではなく、安倍首相が極めて重大な事案であると位置付けているという事実を踏まえる必要がある。なぜ重大であるのかと言えば、国有財産が不正に低い価格で払い下げられたという疑惑が存在するからである。しかも、その不正売却に首相夫人が関与していたということになれば、当然、重大事案となる。このことをしっかりと踏まえる必要がある。

問題は鑑定評価額が9億5600万円とされた国有地(8770平米)が1億3400万円で払い下げられたことにある。隣接する国有地(9492平米)が2011年3月10日に豊中市に14億2300万円で売却されていることを踏まえると、そもそも鑑定評価額が適正であったのかどうかについても疑問が残る。

土地の形状変化については国土地理院が公表している航空写真によって確認できるが、隣接地と際立った相違はない。(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-e2a8.html

客観的な事実から判断すれば、1億3400万円での国有地払い下げは財政法第9条が定める「適正な対価なくして譲渡してはならない」に反する財政法違反事案であり、背任罪が成立する疑いが濃厚である。問題の核心は、「不正売却」であったのかどうかという点である。

森友学園が不正に補助金を受領した疑いがあるなど、他にも問題が存在するが、国政上の最大の焦点が「不正売却疑惑」であることを認識する必要がある。

この点に関して、2015年9月4日の会議で、廃棄物撤去費用が膨大になるとの指摘があったとの報道がある。この報道内容は、財務省による大幅値引きを正当化する根拠として用いられる可能性のある内容だ。逆に言えば、そのような目的でこの情報が流布されている疑いもある。

このことに関連して、廃棄物が掘り起こされず、撤去されなかったとの証言も伝えられており、そうなると埋設物撤去費用として1億3176万円が支払われたことの妥当性についても疑義が生じてくる。

2015年の埋設物撤去等の工事を請け負ったのが株式会社中道組、2016年以降の建設工事および、その後の埋設物発見等の工事を請け負ったのが藤原工業株式会社である。そして、藤原工業の下請け企業とされる田中造園土木株式会社の秋山肇社長が本年3月6日に急死されている。廃棄物処理を請け負ったとの情報もある。

さまざまな情報が飛び交って真相は定かでないが、巨額値引きの根拠が地下埋設物、廃棄物であることを踏まえると、亡くなられた秋山氏が重要な事実関係の核心を知っていたことも推察される。森友学園の籠池泰典元理事長は3月23日の国会証人喚問で、大幅値引きの経緯について、次のように述べている。

「あの土地にヒ素や鉛などの有害物質があるということは契約上も明らかだったのですが、平成28年3月に入って工事が始まってから新たに生活ゴミが出てきました。

その後、工事を施工していました中道組に北浜法律事務所の酒井康生弁護士を紹介して頂きまして、土地取引に関する一切の交渉をお願いしましたところ、最終的に土地価格は8億円余りも値引きされた1億3400万円になったとお聞きして、想定外の大幅な値下げに、その当時はちょっとびっくりいたしましたが売買契約を結びました。

私は交渉の経緯については詳しく承知していないので、値引きの根拠などについては近畿財務局、当時の迫田理財局長、酒井弁護士にお聞き頂きたいと思います。」

4月28日の民進党によるヒアリングでは、このことについて突っ込んだ事情聴取がなかったが、詳細を知るのは酒井康生弁護士であると考えられる。

依頼主の籠池氏が「値引きの根拠などについては酒井弁護士にお聞き頂きたい」と述べているのであり、酒井康生弁護士を参考人として招致することを検討するべきである。籠池氏は酒井弁護士を埋設物処理等の工事を施工した中道組から紹介されたとも述べている。

安倍昭恵氏の公の場での説明を求めることが当然必要不可欠だが、同時に酒井氏から値引き交渉の詳細をヒアリングすることが極めて重要である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。