<安倍首相辞任が秒読み>安倍自民は「こんな人たち」に負けた -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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山は動いた。

「安倍一強」というフェイクニュースが現実の結果として否定された。そもそも「安倍一強」という事実は存在しない。

小選挙区制の下での選挙で対立候補が乱立したこと、選挙に際してマスメディアが安倍政権与党に有利になるような情報流布を行ったことが、民意とかけ離れた議席配分をもたらしただけである。

また、公明党が自民党に選挙協力してきたことも重要な要因であった。今回の都議選に向けて、拙ブログ、拙メルマガでは、都議選で、

『政治私物化安倍政治 はっきりNOと 絶対投票』

『もりかけの 政治腐敗正すには 都議選自民 大敗北しかなし』

『都議選で 政治腐敗源泉の 安倍自民に 鉄槌下す』

などの訴えを示してきた。

今回の都議選で自民党が大敗し、都民ファーストが大勝した。共産党の躍進も際立つ。選挙結果をもたらした最大の要因は、主権者が安倍腐敗暴政に明確にNO!を突きつけたことだ。

安倍首相は選挙戦最終日の7月1日に、秋葉原駅前で街頭演説を行った。秋葉原街頭では、多数の主権者が「安倍やめろ」のコールを連呼した。この主権者に対して安倍首相は、指を指して「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と絶叫した。公道は安倍氏のものでない。

主権者の居る公道で、自民党が街頭演説をしているのであって、その主権者には思想・信条の自由があり、言論の自由がある。安倍首相は言語道断の国会運営を強行し、政治私物化の不祥事が次々に明らかになるなかで、最低限果たすべき説明責任さえ果たしていない。

日本国憲法第53条は、「議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めている。すでに議員の4分の1以上が国会招集を要請しており、内閣は国会を召集しなければならないが、この憲法の規定を無視する行動を示している。このような安倍首相に、主権者が厳しい声を浴びせることは当然のことである。

その主権者に対して、指を指して、「あんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言するところに、この人物が民主主義政治の根本をまったく理解していないことを鮮明に示している。

今回の都議選で、もうひとつ特徴的な結果が表れている。それは、国政における野党第一党の民進党も惨敗したことである。安倍自民が大敗したのであるから、野党第一党の民進党が大躍進する千載一遇のチャンスであった。しかし、民進党は大惨敗した。

これも必然の結果である。小池新党は根っこの部分で与党勢力と気脈を通じている。既得権勢力が目論んでいることは、与党勢力によって議会を占有してしまうことである。小池新党が国政にも進出すれば、与党系勢力による二大政党体制が構築されてしまう危険が高まる。

与党系勢力が推進する政策は戦争と搾取である。戦争をする国に転換し、弱肉強食を推進する。この路線に沿う二つの勢力が議会を占有してしまう。これが既得権勢力の究極の目標である。

大事なことは、この政策路線とは明確に異なる政策を明示する政治勢力を結集することである。本来、民進党がその主軸を担うべきところであるが、民進党自体が隠れ与党勢力によって支配されてしまっており、この民進党の存在自体が、たしかな野党勢力結集の最大の障害になってきた。

この意味で、都議選における民進党惨敗は歓迎するべきものである。民進党を解体して、たしかな野党勢力の結集を図らなければならない。

国政は7月2日を境界に、確実に安倍退陣の流れに移行する。このなかで、安倍政治を打倒し、主権者のための政治確立を目指す勢力は、次の衆院総選挙に向けて、政策を基軸にした勢力結集を急がねばならない。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。