御用報道機関に堕落した「公共放送NHK」-植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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7月2日の東京都議選で安倍・下村自民党が大惨敗した。

原発・戦争・格差拡大推進の安倍暴政に対する主権者の反対が根強いことに加えて、安倍政権の政治腐敗、政治私物化の実態が広く主権者の認識されるところとなり、安倍政治が終焉の危機に直面している。

こうしたなかで、7月23日には仙台市長選が、7月30日には横浜市長選が投票日を迎える。大事なことは、安倍政治に対する主権者の「NO」という声を絶やさないことだ。

仙台市長選挙では自公プラス日本の心が支持し、宮城県知事の村井嘉浩氏、前仙台市長の梅原克彦氏が支持する菅原裕典氏に対して、民進党と社民党が支持し、共産党と自由党が支援する元民進党衆議院議員の郡和子氏が出馬している。

これ以外に、元自民党衆議院議員の大久保三代氏と元みんなの党衆議院議員の林宙紀氏が立候補している。選挙戦序盤の情勢では郡氏がやや先行し、菅原氏がこれを追う展開になっていると伝えられている。

野党共闘の中核である民進党に対する主権者の支持が弱く、これが郡氏の弱点になっているが、自公支援候補を勝利させるわけにはいかない。民進党は早晩解体して、政策を基軸に二つに分離する必要がある。

自公プラス日本の心サイドは、共産党が支援する候補に勝たせるわけには行かないと主張しているが、共産党が支援する候補を勝たせるべきでないという理由がない。民進党のなかで共産党とは選挙協力したくない、選挙協力すべきでないと考える者は、民進党を離れて自民党なり公明党に移籍させてもらえばよい。

原発・戦争・格差という主要問題に対する「政策」が何よりも大事なのであって、共産党を含む、安倍政治に対峙する政治勢力が基本政策方針で一致するなら、選挙協力=選挙共闘を否定することがおかしいのである。

こうしたなかで、私たちが留意するべきことは、情報空間を支配するマスメディアの大半が、既得権勢力側に立脚していることだ。

民間メディアは大資本の資金によって存立しているから、民間メディアが既得権勢力の側に立つことは避けがたいが、より深刻な問題は、「公共放送」を標榜するNHKが、既得権勢力の御用報道機関に堕していることだ。
2017年入り後のNHK日曜討論のテーマは次のとおりだ。

1月8日「2017年 政治はどう動く」 与野党8党へのインタビュー

1月15日「徹底分析 トランプ次期大統領で日本は」

1月22日「通常国会 与野党論戦の焦点は」 与野党8党での討論

1月29日「論戦スタート 政策責任者に問う」与野党5党での討論

2月5日「稲田・マティス会談 今後の日米同盟は」

2月12日「徹底分析 日米首脳会談」

2月19日「与野党に問う 日米同盟・北朝鮮問題」 与野党5党での討論

2月26日「キム・ジョンナム氏殺害 事件の背景は?」

3月5日「論戦白熱 参院幹部に問う」 与野党8党での討論

3月12日「震災6年 “未来”をどう描く」

3月19日「進むミサイル開発 北朝鮮にどう向き合う」

3月26日「論戦激化 与野党攻防の行方は」 与野党8党での討論

4月2日「超高齢社会 どうする私たちの介護」

4月9日「▽米軍事攻撃 シリア情勢は?▽挑発繰り返す北朝鮮 米中首脳会談で何が…」

4月16日「核・ミサイル開発 どう向き合う 北朝鮮」

4月23日「与野党論戦 北朝鮮問題・“テロ等準備罪”」 与野党5党での討論

4月30日<休み>

5月7日「緊張続く北朝鮮情勢 事態打開の糸口はあるか」

5月14日「与野党に問う 北朝鮮・憲法・テロ等準備罪」 与野党8党での討論

5月21日「“新型”ミサイル発射 対北朝鮮 国際社会はいま…」

5月28日「賛成?反対? 激論“テロ等準備罪”」

6月4日「与野党論戦 終盤国会にどう臨む」 与野党5党での討論

6月11日「迫る会期末 与野党に問う」 与野党8党での討論

6月18日「きょう会期末“激突”国会を問う」 与野党8党での討論

6月25日「“戦後3番目の景気回復”日本経済をどう見るか 」

7月2日「IS拠点奪還“大詰め”も… テロ“拡散” 世界で何が」

7月9日「北朝鮮“ICBM”発射 国際社会はどう動く」

7月16日「日EU EPA・“米抜き”TPP 激動の世界 通商戦略を問う」

年初来、NHK日曜討論は27回放送されている。本来は28回放送のはずだが、4月30日には不自然な放送休止が行われている。このなかで、8党討論が行われたのは、わずか5回だけだ。27回放送があったのだから、その半分の13回は与野党8党での政治討論を行うべきなのだ。

しかし、与野党8党による政治討論を行うと、安倍政治の本質が主権者の前に明らかにされてしまうため、NHKはこれを妨害している。北朝鮮、IS、日米関係を議題に11回も放送が行われているのに対して、8党討論はわずかに5回だけなのである。

政権交代を実現したら、直ちに放送法を改正して、NHKの抜本改革を実行しなければならない。その出発点は報送受信契約の任意性への意向である。NHKと受信契約を締結したい者だけがNHKと受信契約を締結する制度に変更するべきなのだ。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。